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131 只のすけべえかい!

「凄え。」

ドッカのダレーカの剣士が呟いた。

俺の回復でガンさんの体がどんどんと復元した事に驚いたらしい。

「ショータの回復魔法は大陸1だからな。」

バンさんがウンウンと頷きながら説明している。

「ショータ? ショータって、ひょっとしてあの竜滅か?」

「そうだ。 ベルンの英雄、竜滅のショータだ。」

「こんな小さな子だったのか?」

おい、聞こえているぞ。

“小さな”は余計だ。

「見た目は子供だが、・・・・。」

バンさんが何かを言い掛ける。

バンさんや、そこで止まっちゃだめだぞ。

そこはスッと俺を褒める所だろ。

「見た目は子供だが、・」

ふんふん、それで?

「女の乳をガン見出来る勇者だ。」

只のすけべえかい!

言い直してくれたから期待したのに、全然フォローになっていなかった。



ガンさんが目を覚ました。

「うっ、・・・俺はどうなったんだ?」

「地獄の門番に弾き飛ばされて、壁に激突した。」

付き添っていたパーティーメンバーがガンさんに説明した。

「地獄の門番?」

「あの子犬はケルベロス、地獄の門番と呼ばれるSランクの神獣だそうだ。」

「な、なんだってぇ~!」

「ガンは体中の骨が砕けていたが、ここにいるベルンの英雄、竜滅のショータ殿が治療してくれた。」

「な、なんだってぇ~!」

剣士さんがガンさんに説明したら、ガンさんが俺を見て、白目を剝いて引っ繰り返った。

「はぁ。」



どちらも孤児院出身という事で、2つのパーティーは仲良くなった。

お互いの力を知る為に模擬戦をしてみたら、ベルンの灯が圧勝。

途中からは攻撃や防御の仕方をアドバイスしながら余裕で戦っていた。

「流石にベルンの冒険者だけあって、灯の兄貴達は強いっす。」

「誰が兄貴だ。 ダレーカの方が年上だろ。」

「俺達はまだベルンに来たばかりっす。 ベルンでは灯さんが先輩ですからバンさん達は兄貴っす。」

何だ、その三下言葉は。

ベルンの灯は今年18歳。

ダレーカは全員が20代半ば。

バンさん達は兄貴呼ばわりされて戸惑っていた。



「ショータ殿は剣術が苦手なのか?」

「お前らには只の振り下ろしにしか見えないだろうが、ショータは帝心一剣流の達人であるギルマスに剣を教えて貰っている。 まだギルマスの許可が出ないので振り下ろしと右切り上げしか練習させて貰えないが、あれが只の振り下ろしでない事は、剣の上級者なら1目で判るぞ。」

「帝心一刀流って、代々帝室の剣術指南役を務めているあの帝心一刀流か?」

「そうだ。 古参の冒険者に聞いたんだが、ここのギルマスは帝都の本部道場で師範代を務めていた達人らしい。 更に腕を磨くために帝国1魔獣の多いベルンにやって来て、ベルンの街が気に入ってそのままここに居付いたそうだ。」

そうなんだ。

熊は帝都にいたんだ。

何となく帝都に熊は似合わない気がする。

帝都に行った事は無いけど。

最近ではあちこちの市街地に熊が現れるらしいから、帝都に熊がいてもおかしくはないか。

「でも、ショータ殿の剣はそれ程の腕とは思えないっす。」

ダレーカの剣士であるギンは不満そう。

「俺が横に立って同じタイミングで振り下ろしをするから、よく見ていろ。」

「「「「はい。」」」」

「ショータ、横で一緒に振り下ろしの練習をしてもいいか?」

バンさんは時々俺と一緒に振り下ろしの練習をする。

「うん、いいよ。」

バンさん横に立って、同じ方向に向かって振り下ろしの稽古をした。

20本程でバンさんの息が上がる。



「どうだ? 全身全霊を込めた振り下ろしだと、俺でも直ぐに息が上がる。 ショータは毎日1000本の振り下ろしをしている。」

ダレーカの3人が首を傾げている。

「凄いです。 バンさんの剣術はショータ殿よりも上だと思っていましたが、ショータ殿の剣は1瞬で振り下ろされるのに、全くブレがありませんでした。」

ダレーカの剣士であるギンさんだけは判ったらしい。

「ギンには判ったようだな。 ショータには剣の才能がある。 その才能を見抜いたからこそ忙しいギルマスが直接指導してるんだ。 ショータはいずれこの大陸でもトップクラスの剣士になるぞ。」

「そんなに凄いのか?」

ガンさんが首を傾げながらギンさんに聞く。

「横に並んで振って貰ったから判ったが、ショータ殿の剣は、何回振っても刃筋に1㎜のブレも無い。 剣の軌道も剣先が止まる位置も毎回全く同じ。 それもバンさんよりも振り下ろす速度が圧倒的に速いのにだ。 剣というものは、毎回全く同じようになんて振れるもんじゃ無いんだ。 あの速度で毎回同じように振れる剣士なんて、俺は見た事が無い。 Bランクの剣士でも絶対無理だ。 それなのにまだ先を目指して振り下ろしの練習を続けている。 俺にはとてもじゃないがそんな忍耐力は無い。 バンさんが言うように、いずれは剣でも大陸に名前を轟かせるだろうな。」

ギンさんの言葉にバンさんが何度も頷いている。



そうなの?

俺にはさっぱり判らないんだけど。

刃筋にブレがあると、チンを使った時に空気抵抗で砕けてしまうから、ブレ無く振れるように頑張っているだけ。

カジシさんが打ってくれた剣に替えてから、300m先までなら確実に振り切れるようになったけど、500m先のチンだと数回に1度は途中で砕けてしまう。

ドラゴンの様な強い魔獣だと500mなんて1瞬で飛び掛かってくる距離。

一振りに3秒も掛かる現状ではチンが間に合わない可能性が有る。

1000mは無理でもせめて500m先でチンを砕けずに振り下ろしたい。

そう思って毎日ひたすら剣を振っているだけ。


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