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103 収納がゴミ屋敷になりそう

鑑定で“美味“と表示された、甘酸っぱい香りのするスモモ位の黄色い果物を買って試食してみた。

1口齧ると、ジュワっと果汁が溢れてきた。

ジュルジュル。

慌てて果汁を啜る。

ちょっと行儀が悪いけど服が汚れそうだったから仕方が無い。

「果汁が凄いだろ。 齧った所から果汁が溢れるから、それを啜ってから2口目に行かないと、服に垂れるぞ。」

果物屋のおっちゃんが教えてくれた。

「うん。 ありがとう。」

「冬は果物が少ないが、冬だからこそ甘くなる物もあるから、見て行ってくれ。」

「うん。」

市場の店員さんはみんな元気で愛想が良い。

見て回るだけで、元気を貰えそうな気がした。

鑑定に美味と表示されたビワっぽい果物を買ってみた。

一口齧ると、さっぱりとした味で洋ナシの様な食感。

確かに美味しいには美味しいが、転生初日に見付けたボカン程では無い。

あの時は極端にお腹が空いていたし、喉も渇いていたから美味しく感じたのかも知れない。

空腹は最高の調味料って言うのは本当なのだろう。



あれ?

ふと思い出したが、収納にはまだボカンが残っていた筈。

収納を調べたら、ボカンが沢山入っていた。

ギルドでは毎日無料で定食を食べられたから、ボカンの事はすっかり忘れていた。

1年半前の果物がどうなっているのか、ちょっと不安になって1個取り出してみた。

「・・・・。」

”どうした?“

“1年半前に採った果物が、腐らずにそのまま入ってた”

”ショータの収納には、時間停止の場所と時間の流れる場所が有る。 品質が変わるものは無意識のうちに時間停止の場所に収納しているようじゃ“

“そうなんだ”

始めて知った。

レイが住んでいるから、収納内の時間の流れは外と同じだと思っていた。



“倒した魔獣も時間停止の場所に入っているから腐る事は無い”

”倒した魔獣?“

魔獣を倒した覚えなんて無いぞ。

”荒野の訓練場で倒した鳥の魔獣じゃ。 収納に入れたであろう“

そういえばベロにせがまれて鳥さんをバリアで倒した覚えがある。

あの時の鳥さんは普通の鳥では無く魔獣だったらしい。

ベロが咥えて来た鳥さんが、収納に入れたままになっているらしい。

”どうしたらいい?“

“無限収納だから量的な問題は無い。 使いたいと思うまで入れて置けばいい”

“そうか、そうだよね”

何となく収納がゴミ屋敷になりそうな気がした。

もっとも、元伯爵屋敷2つと闇のナーベの本拠地に有った物を色々と放り込んだので、収納の中は既にゴミ屋敷に近いとも言える。



鑑定で“美味“と表示されても、美味しいだけではアイドルの食レポと同じで味の想像が付かない。

果物やパンなど、その場で食ベられる物の中で、”美味“と表示された物を次々に買って試食する。

食べ物の好みは人それぞれ。

絶対に不味いのはピーマンだけ。

ピーマン差別?

俺は親父の遺言で高い所とピーマンは禁止されている。

地に足を着けた人生を送れ、ピーマンを食ってはいかんが親父の口癖。

俺の年齢を考えると、親父はたぶんまだ生きている筈だけど。

それはともかくとして、鑑定で”美味“と表示された物は全部美味しかった。

どうやら鑑定の判断基準は俺が美味しいと思うかどうからしい。

あれ?

ピーマンが嫌いなのは前世の俺だよな。

また少し前世の俺を思い出した?

ほんの少しずつ思い出すのは何故なんだ?

判らん。



ギルドで貰う給金は将来に備えて貯めているけど、伯爵屋敷や暗殺ギルドで貰ったお金はあぶく銭。

自分で稼いだお金を使うのは嫌だが、あぶく銭を使う事には全く抵抗が無い。

値段も聞かずに次々と商品を買って食べてみる。

財布を気にせずにお買い物が出来るのは嬉しかった。

小腹が空いた時に摘まもうと思い、美味しかったパンや果物などを少し多めに買い込んだ。

収納に時間停止機能があるなら、どれだけ買っても腐る事は無い。

ふと気が付くと、監視員達が必至にメモを取っている。

俺が買い込んだ品と量を記録しているらしい。

そういえば、かなりの量を買い込んだような気がする。

一応魔法袋に入れている振りをしているので、魔法袋の容量を計っているのだろう。



野菜や果物などの区画での鑑定が終わった。

肉や乳製品などは中央にある広場の向こう側にある店舗。

広場に行くと、沢山の屋台が出ていて結構賑わっている。

丁度お昼を食べる時間だからなのだろう。

俺はあちこちで試食したので、お腹は空いていない。

ベロの気配の方に目を遣ると、屋台から少し離れた広場の1画に人だかりがあった。

人だかりの真ん中で黒い毛玉が大勢に撫ぜられながら、串肉らしき物を食べているのが見える。

”ベロ、大丈夫?“

”大丈夫だ。 我はまだまだ食える“

結構長い時間食べていた筈だが、まだ食べるらしい。

ベロもレイも俺の魔力があれば何も食べなくても問題は無い。

食べるのはいわばおやつ。

ベロの周りで撫ぜているお姉さん達は、左手で持った串肉をベロに差し出しながら、右手でベロを撫ぜている。

串肉が無くなるとベロから離れ、屋台に行って次の串肉を買うらしい。

3つの頭と尻尾の蛇さんが居るので、1度に4人が定員?

“太っても知らないよ“

“再召喚すれば余計な脂肪は落ちる”

知らなかった。

そう言えば毎日ギルド前で色々と食べているけど、太ってない。

時々俺に送還と再召喚をさせるのは、召喚の練度上げでは無くベロがダイエットする為だったらしい。

”そうなんだ。 でも、程々にね“

“うむ、 ゆっくりと店を見て来るが良い”

ベロは御機嫌らしい。

尻尾の蛇さんも俺の方を向いて元気に揺れている。

ベロはそのままにして、肉や乳製品の区画に行く事にした。



肉の区画では色々な魔獣肉が売られていた。

鑑定で観ると、魔獣の強さや攻撃法、弱点などが表示される。

鑑定の練度が思っていた以上に上がっているのが良く判った。

魔獣と戦うのはまだまだ先の事だけど、この市場で大量に肉を売っていると言う事は、ベルン周辺にいる魔獣の筈だから、強さや攻撃法、弱点などは心に留めて置く事にした。

色々な干し肉を売っていたので、少しずつ買って試食してみる。

気に入った味だった時は少し多めに買って収納に入れた。



乳製品の区画には色々な種類のチーズがあった。

この世界に来て初めて?のチーズ。

討伐祝賀会の時に出されていたかもしれないが、全く気が付かなかったので初めてという事にした。

結構おいしいチーズが多かったので、これも少し多めに買い込んだ。

チーズはそのまま食べられるから好き。

俺もレイも調理が出来ないし、勿論ベロにも出来ないので、買うのはそのまま食べられる物だけ。

魚もあった。

ベルンには川が多いらしく、並んでいる魚は全て川魚。

帝国の西側は海に面しているが、ベルンは帝国の東端。

帝国で最も海から遠いのがベルンなので海の魚が無いのは当然だった。

魚は調理が必要なので鑑定の練習だけで買う事は無かった。



大きな市場だったので、一通り回ったらもう店が閉まる時間になっていた。

市場は朝が早いので、店じまいも早い。

広場に戻ったら、寝転んだベロがデロンと伸びたままモフられていた。

尻尾の蛇さんがユラリユラリと揺れているので気持ちが良いらしい。

「ベロと遊んでくれてありがとうね。」

モフっている女性達に声を掛けたら、ベロがゆっくりと起き上がった。

ベロがトコトコと歩いて俺の横に立つ。

「ワゥ(ありがとう)。」

「ベロも有り難うって言ってるよ。 また見掛けたら遊んであげてね。」

「あなたがベロのお散歩を頼まれたの?」

20歳前後のお姉さんが声を掛けて来た。

「頼まれたっていうか、ベロは俺の召喚獣だから。」

「えっ? ・・・、ひょっとしてあなたが竜滅?」

「まあ、そうかな?」

「何で疑問形なのよ。」

「竜滅って言う名はあまり好きじゃないから。 ショータって呼んでくれる方が嬉しいな。」



「竜滅って大男じゃ無いの?」

それは芝居の話だぞ。

「こんなに小さいなんて、・・・。」

お姉さん、股間を見ながら言わないで。

「誰よ、髭面の恐ろしい顔って言ったのは。」

俺は髭どころか、あそこの毛も生えて無いぞ。

思わずそう反論したくなったが、慌てて言葉を飲む。

自分の恥を晒してどうすんだよ。

自分で思って、自分で傷ついてしまった。

「巨大な○○〇をぶら下げてるって嘘じゃない。」

お姉さんも、股間をガン見するのは止めて。

「大きな宝玉の付いた杖なんて持って無いじゃない。」

「マントはどこに置いて来たのよ。」

おばさんやお姉さんが口々に喚き始めた。

1部如何わしい事を大声で叫んでいるお姉さんもいた。

それは吟遊詩人や芝居の話だから。

俺はマントも着ないし、杖も持たないぞ。

感じ取れる気配からして、女性達は皆相当な強者。

お籠りで多少は女性に慣れたつもりだったけど、大勢に囲まれるとやっぱり怖い。

「えっと、・・今日はもう帰るからごめんね。 またベロと遊んであげてね。」

ほうほうの態で市場を後にした。


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