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境界ダイアローグ - 差し伸べる手は人を救うか -  作者: 和琴
”劇”の準備、始めよう。
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第二十七話 - 作劇

縁の下ギルドを出発し、

炎天下の中長袖…水を飲みながら石畳の道を歩く。


トルトル、ソルティとアレックスの三人組に囲まれながら、

オペランさんの屋敷にたどり着いた。

門に近付くと、水の音色と共に温度が下がった。

お金持ちは…やっぱり少し違うね。


案内されて門を入ると、4人で別館に案内される。


そこは…広く、20人以上が立てそうな舞台と

観客席、そしてオペランとアルテさんの姿があった。


「俺たちは外で待機してた方が良さそうか?」


「トルトルさん、多分…」


「いや、一緒でいいよ。

作劇が目的なんだろ?

相談相手は多い方がいい。」


「ありがとうございます。

トルトルさん達、礼儀には気を付けてね。」


「「ああ。」」

「分かった。」

驚いたように二人を見たアレックスさんだけ少し遅れて、3人が返事した。


観客席はテーブルと椅子が置いてあり

話ながら、舞台を見れる形になっていた。


舞台側だけ椅子がない、ちょこんとした机が並んでいる。

オペランが指を鳴らすと、意外と質素な

しかし滑らかな表面をしていて、ゆらゆらする黄色いモノが運ばれてくる。


「音を立てず、食べ過ぎないようにね。

…と言っても、うちのシェフは喜ぶから

幾らでも食べていいけど。

でも食べ過ぎると、醜くなるからね。

スポンジ菓子…と言われる、古代から伝わるお菓子さ。」


私達は控えめに言ってこの場に適さない服装だ。

それでも分け隔てなく見てくれるオペランは

もしかしたらとても紳士なのかもしれない。


「有難く摘まませていただきます。」

アレックスが頭を下げると

それを持ってきたシェフが頷いた。


「色んな意見を取り入れたいから、我慢されると面倒だ。

思うだけ食べて、感想を言いなさい。

それが私の適応力を鍛えてくれる。」


それを聞いて、顔の長い男のソルティが

黄色つまんで断面を眺めた。


私も眺めると、つまんでるだけなのにへこんで柔らかそう…

その後、ソルティが口に入れた。

「この断面。これは立派ですな兄貴…

手が汚れなくていいですが、

柔らかくて溶ける…旨いですぜ…!

砂糖の板でも有れば…いや、すみません。」


「照明に合わせて付けることもある。

でも劇を考えながらだと

手がべたついたら嫌かなってね。はは。」

シェフさんも気軽でいい人だ。

…心構えも、懐も凄い。


「さて、君は劇の案を考えたんだろ?

大枠でもいいから書けるかい?」


オペランの合図で

執事に差し出されたペンとインクで

スラスラと紙に思いを書き止める。


素人だし、でも本当に…伝えたいことなら書ける。

思ったことをそのまま書き記した。


…


「えっと、」こんなことを考えていましたと言おうと思った。


でも、書いている間に他の劇の準備をしていたみたいで…

オペランとアルテさんは幕を見て楽しんでいた。

私も、そのまま眺めよう。



始まった演目は宝石の夢化粧


====

小屋に暮らしていた女性は

そこで生活しながら通りがかる人々を助けていた。

森で迷った子供を助けたり、

やせ細った男性に食事を分け与えた。


ある日小屋に暮らしていた女性は

一通の手紙を受け取る。


それは狩りをするため

二人組でこの小屋を定期的に

使わせてほしいというお願いだった。


狩りで手に入れたお肉もくれるというので

女性はそれを受け入れ二人分の寝具を追加で用意すると

男たちは女性を蹴り飛ばし、穴に落としてしまう。


女性はもうろうとする意識の中、

その穴の中に水晶柱が有るのを見かける。


余りに綺麗で触れようとすると

精霊から警告を受けた。


触れると外に出られるが

そのままの姿で出ることは出来ない。


本来の姿を失う代わりに、

お前の望む姿として、

ここを出ることになるだろう。


女性は熊として狩人に復讐することに決めた。


外に出ると小屋を襲い、あっという間に二人を殺してしまうが

毒のナイフを突き立てられ

意識がもうろうとしてしまった。


穴を探して元に戻ろうとするも戻れず、

以前助けた子供にも逃げられる。


そんな中倒れると、以前の男性が

パンを分けてくれる。


それを食べながら女性は安らかに眠りにつき

男性は用意していた指輪を、そこに置いていった。


彼女が傷を抑えていたハンカチが

男性に正体を教えてくれたからだ…

===


「悲しい…」

劇を見て涙をナプキンで拭く。

なぜか手元にあった、彼女のナプキン。

これも演出なんだ。


「悪くないね、短期間で作らせた劇も。

五分劇にしては上出来だ。」


ご、五分!?

あれだけの演出が入ってるのに?


「観客を引き付けるストーリーに

感情を連動させる音楽…

それにちょっとした心遣いが有れば

劇としては成り立つ。

それを伝えたかったんだ、評論家としてね。」


なるほど…

私の考える劇に、足りないのは何だろう。


「ご主人様、日葵さんの感情が収まるまで

喋らないほうが紳士ですよ。」


ちょこんと頭に手を当ててオペランがこちらを向いた。

「そうか、すまない。

君は悲しいと言ったね。

どんなところがそう思った?」

ちゃ、喋らないんじゃ…?


えっと、それは…

「姉貴なら、熊にはならない…いや済まねえ。」

ソルティさん。そう思う。


「彼女には、それしかない運命だったんだと思う。

帰っても、帰らなくても、復讐しなくても

大切なものが消えちゃうようで儚かった。」


涙をもう一度拭いて、胸の奥から声を出す。

「でも、それでも私は信じたい。

狩人たちを、男の人を

どんな姿でも守って、幸せにできるって。」


「…少なくとも、結末は変わるな。」

アレックスさんの言葉に、私は笑いかけ

また涙をぬぐった。


「…ふ…眩いほどの憧憬は

幸せの中でなく、悲劇の中にあるのだ。

少なくとも、没入する観客の頭にはね。

不幸の中の幸せほど、眩しいものはない。」

オペランが髪を撫で上げ私の紙を見た。


「どれどれ…」


そんなに書いていないけど、10分ぐらい

その紙を眺めていた。


次第に全員が、

その紙を回しながら読んでいた。


待っていると…シェフの人が、砂糖の板を載せた楊枝付きの

ふわふわをくれて、爽やかなシュンとする香りの付いた

お菓子の甘くて柔らかいを楽しんでいた。


そのお菓子があってすごくうれしかった。

書いたことは…昔の思い出。

あんまり思い出したくは…ないからね。


感傷に浸っていると突然、私の肩をアルテさんが掴んで

真正面からのぞき込んできた。

「日葵さん、まさか、これ…」


一瞬飛び上がりそうになって、背筋が震え寒気が走る。

私にとって、やっぱり踏み込まれるのは怖い。


でも、一息入れて頷いた。


「やっぱり、そうなんですね。

…どうしてそんなに…」


そんな中オペランもこちらに顔を向けた

「ははは…これを勇者教の奴らに…やるのか?

これは劇じゃない、まるで日記…

随分手直しが必要だぞ。」

半笑いで尋ねるけど、私は大まじめに頷いた。


「…うーん、セリフ回しも

何だか庶民的だし、整えた方がね…

それに、主役の見せ場が少ないよ。

もう少し前から書いたほうがいい。

転機になる場面があったりしないかい?

書き出しておいてくれ。」


「…そういう事か。」

「どういう事だアレックス。」

「兄貴…こしょこしょ」

「本気かよ…」


「じゃあ…事前に、こういう場面を入れて

ここから始まって、それで先ほどの紙に

飛ぶ形なら…」

私は、皆が見守る中で

…暫く”日記”を書いた。

そして、渡した。


「流石に竜は、作り話だよな。

とりあえずこのセリフの通り、

今、イメージを膨らませて演技させてみようか。

…いや、君がするのか?」

私は頷く。


「じゃあ始めよう、歌と劇のレッスン…

今日は終わらなそうだな。」


私が劇の主役を務める必要があるから。

勇者教の前に役者が立つのはさすがに危険だし、私自身がお話しするためにも。


…


つーかーれーた…

オペランと、劇団員からの檄で

耳に瘤が出来そう…


なれないことは、大変だ。

ギルドに帰って、食事を食べ今日は早く寝た。


キャロスさんがバルドさんに明日の朝来るようにって

言っておいたらしい。


次の準備は、これで進める…

ニューフィールドへ。




Zzzzz…

★境界からの独り言★

えっと、何でこの時間の投稿なんだって…??


2026

にゃんにしろ


9171

くいない様に過ごせますように!!!!

ってお祈り!!


猫ちゃん!宇宙果実持ってってあげるから待っててね!

…なーーんて元から設定あったのに、

〇る〇る〇るねにうちゅうのフルーツ味があってぞっとした。

みんな同じようなことを考えてるね…味にするなんてすごいや。

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