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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
第22章 残暑ってお得な気がするよ。
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884 走るのって楽しい。11/14

ようやく海辺ルートに出てきたところで、やっと外の匂いとか

景色とかが見えるように・・はならないんだけどね。

 見えてないことをもう気にしない。とは言え、ずっと(くだ)って行く(あいだ)蹴飛(けと)ばされないようにとか追突されないようにするのが大変だった。

 周りにはぐるり人の壁があって体力満タンな人達の鼻息でちょっと暑い。

 みんなが意識を向けてくれないのと同じように誰かとかの認識が出来ていないんだけど消したりっていうヒドいことはしない、なんてウソ。

 誰がハジメマシテなのか分かんないんだもの。丁寧(ていねい)な言葉遣いはゴマカシているだけ。話しかけて来る人はほぼいないからバレそうだけど(うたが)われることはないよ。


 隣街は元々海の方に人があんまり住んでいない。所有って感覚はなくて家に(こだわ)る事も無いようだった。たぶんお仕事が火薬作りばっかりになってリアル汚物を扱う人達が主役だったし、全体に収入があって欲しいものが思いつかない程度は豊か。

 それなら生活はあくせくしない。

 生活としては理想に近いんだろうけど、いつまでも閉鎖して生活は出来なくて、あと収入源がヤバい。

 センソウの火種は絶った方が巻き込まれることがないし、争いが大人しくなるかなあってね。供給が潤沢(じゅんたく)だったから推定だけど国全部分あって余剰を他国に流せるほどだった。それが負けないだけの国が強国になった要因のひとつだし外貨獲得、それが日常に(あふ)れてわけわからん種類の通貨が流通してたほどのチカラだった。

 調査ではそっちにズバリの鉱石を算出する鉱山があったんだけど注目するのは金銀銅に鉄くらいだもの。試堀しただけで止めている。


 必要なら買えばいいっていうくらい豊かだから農業が縮小して、穀物畑だった海の方が休耕田になって農民が移動というか火薬づくりしてた。

 仕事終わりはキレイに身体を洗って中心街に繰り出す。汚物を扱う反動のようで地域はキッチリ分かれて不潔ではなかった。

 刹那的(せつなてき)な感じがしていたのはドカンもあるキケンなものだっていう意識があったからかもしれない。

 当然多少の開発はしていて、火筒の改良が飛ばすだけじゃなくて楽しむに発展したのは当然の流れだと思う。

 最初に注目したのは花火を作ってるってだけで、ものすごい量の火薬を製造している場所というのはまだ知らなかったし興味なかった。

 精霊石の道具で出来るとしてもリアルでもしたかった。理論が完璧であれば事故は起きないものだけど、そういう技術者は見つからない。その時はどこかにはいるだろうくらいで僕にとっては当たり前の技術だったからね。

 一人で作るとキレイだね、すごいねはあっても「驚き」はないの。完全に仕上がりを予定しているんだから当然なんだけど、それじゃあ物足りない。

 (となり)でしているのなら、その技術に僕のを乗せて作ってすればきっと感動っていうものが得られるんじゃないかって。

 僕はトロいから一緒に苦労してコネコネするのはできないんだけど、その成長を観察することはできる。先行してものすごく苦労して工夫して獲得したんだけど、教えるというのがエラそうに見えちゃうんだろうね。


 坂道でペースが早かったはずだけど船着場出発の一群とは合流はしなかった。

 あっちは(自己申告だけど)最速の人達で4H切るのを目標にしてる。こっちは6Hまでだから速いのは当然のことでも、思っていたのと実際が違うのは良くあることなので現実は甘くなかったねっていうのが出るかなって。

 速いのはナンバーの(けた)が違うからすぐに分かる。このナンバリングルールだと増えたら対応ができなくて、次回はさらに増えそうだから今回だけかもね。

 走り抜けるのが先の方に見えたはずだけど、人の壁がずっとでようやくスキマが出てきたねってところ。

 少し内陸で木をたくさん植えたから海は見えないよ。震災の時は木がポツポツくらいで海は見えたんだけど、潮風の影響を防いだりトリやケモノが住めるようにとか美観とか道が砂々しないようにとかで木を植えるのは大事。

 駅伝イベントで砂々いっぱいだったから効果はかなりある。準備でお掃除の精霊石道具を使って差は確認してて道の掃除はしないとって考えていて、その頻度とか簡易舗装の劣化度とかもチェックした方がいいかな。

 予想では10年で補修が必要にしてて今までのよりかなり短期なんだけど、安いし早いし簡単でさっさか造るのにはすごく良いんだよ。

 軽い思い付きだった簡易の仕上げだったんだけど、効率が良くて最近のはそればっかりになってる。精霊石の道具とも相性が良かったからね。

 新しい方法を色々試しているのは建物の方もで今は木造がイチオシかなあ。

 アチコチの森を手に入れたってこともある。


 ただ走るっていうのは続かないって意味で難しくてコツコツ出来るのはすごい。

 村では崖なところは(飛ばされそうで)危ないので砂浜をタッタッタってするんだけど1人じゃ続けられなくて、ニャーニャートリさんやシャチや何かのオサカナが応援してくれるから出来てるだけ。

 正しい姿勢で正しい重心移動をしないと足を取られる。いるときだけだけど浜を行ったり来たりをしてからタイソウをする。飛行の道具でも出来るはずだけどやったことはないし、やろうとも思わない。基本なストレッチや筋トレもどきはするけどね。

 ごはんを用意する必要があるから自分の分も作るだけで、誰かがいないと食べようとしなかったりするから、いてくれることは大事、必要、ありがと。

 そういう仕方ないって理由なしにかけっこの練習を続けた人達がこんなにいっぱいいるんだなあって、明らかに走りが上達しているのがわかる。

 前回、棄権した人は少なくない人数がいて・・あんな無茶なペースで変な走り方してるから・・新聞の特集で完走するためにこういう運動しようねってしたくらいでコースを短い方にしましょうとはしなかった。相変わらずフルなのがほとんど。


 今回の足切りは10H。

 街灯は設置しているけど暗くなったら危ないからっていう理由にしてて、日没から時間切れを回収をする。

 かけっこ大会なので歩いて完走というのはおかしい。普通にあるいたら着く時間なんだから、ごはんタイムや休憩を取っても余裕で到着するはずだしね。

 前はテストも兼ねていたから色々準備してケアもしたけど、今回は提供だけで実際それ以上はするつもりはない。こんなことあったってレポートを渡してあるんだから余計な事をして頼られ(命令され)たら困る。

 ゴールは役所棟前の狭い広場で着いたら解散するから大丈夫って考えているようだけど、長い距離を走ってヘトヘトな人達がすぐ去るとは思わない。

 去年は街を紹介したかったから屋台並べて多くの人達が夜遅くまでいたし、帰りの便もちゃんと用意してたんだよ。

 あんまりそういうの考えてなさそうだったけど、念のために()いて余計な事にならないように納品したらサッサと帰るのを徹底してもらってた。

 どうかなあ。僕は着いたらすぐに帰るけど。


 ここの海辺ルートが結構長いんだけど、海が近いくせに(しお)の匂いもしないし海が見えないという期待した分、退屈な区間。救いなのが応援の人達が途切れなくて元気をもらえるところ。前の時もそうだったし前よりもっとの人がいる。それにこっちの役所の対応が良いから支援も多めにしてる。役所からパートも配置してくれて給水所も問題無く運営してくれてる。

 それで水を飲んだら出るモノがあるから、参加者に比例してトイレもいっぱい用意してある。これはレンタルなので費用は役所になるし、ブツの片付け先の手配もしないといけない。タンク部分は買い取りになるからね。

 そういうのに理解がある(火薬原料だったし、今は処理して肥料化する)から、押し付け合うようなことはないんだけど問題はあっち。

 ウチが回収を外注しているとはいえ処理場だけ。契約外の分をタダでとはいかないし無茶を言うようなら処理場も止めることになる。


 あっさり5KMの給水場を過ぎて、もう10KMが間近なんだけど降りる人用のレーンが分けられていてイイナって思う。

 前の時は少なかったからか、ぞんざいだったような気がしていて20KMの時のように行き先を分けるんじゃなく、前もって分けるというのは考察にチョロッと書いただけだったはず。

 今回は参加者が多くなったから、その分ここで終了という人達もかなり多い。

 隣街はケチケチしないし話合いにも参加出来る。あっちの除外っぷりでこっちに好意的になるってことだろう。オーダーよりも多めの援助してそうな飾りだ。

 記念品のタオルは大判になって吸水性の良い厚手のもの。走った後はそのままにしていると汗で急激に冷えそうだし、くるんだ方がいいよってことで用意した。

 前はこの辺りでもう息が上がっている人もいたんだけど、そういう人達はここで降りる誘導をするということも、ちゃんと練習したみたい。

 スポーツ熱が高まっている時だったからそういう風な盛り上がりになって、それで病気やケガが減った。病気の方は置き薬効果のような気もするし、気軽に診てもらえる体制がようやく受け入れられたってところかなあ。

 クスリのギルドはそういうのに対応っていうより薬剤全般の生産業をコントロールって感じだもの。あと化粧品関連も管轄だよ。


 レーンの違いと分かりやすい誘導があって、トラブルや混乱もなく進んでいるけどフルのゴールはまだまだずっと先。

 銀村出発組の時はあっちの距離が短かいから、すでに前方にいて追い越していくようになってたんだけど、海辺スタート組の方はその差くらいで先行を許すことはないはずだもの。ゴチャゴチャいる人達に(わずら)わされることなく爆走してるはず。

 僕はこの集団から落ちないようにするのが精一杯だけどね。

 速いモノには風の流れが出来て後ろのモノを引っ張るチカラが働くんだけど、そんなの関係無い人の集団でも引っ張ってくれる何かが働いている気がする。

 オレが風を防いでるとか言いたいんだろうけど、整備した林が海風を防いでいて前後からの風も影響のあるほどではない。

 どちらかというとペースメーカーみたいな働きをしているから集団というのを形成するんじゃないだろうか。

 去年は20KM地点までみんなを引っ張る人がいて、3Hを切るペースだったんだけど、その人が抜けたら急に遅くなって後続の集団に追いつかれた。そっちまで遅くなって渋滞したから、こういう時のためにって少しの間引っ張ってもらって集団を伸ばすってことをしたんだったよね。

 少ない集団なら効果的だけど、多いと安心するみたいで足が遅くなる。暫定世界記録が多くの人達に届きそうだと目標にならないし、大舞台で厳しい走りが出来なくなるんじゃないかって心配した。

 先頭を走るのはストレスらしくて消耗するみたいだから、()き付けてまたペースが戻ればお役目はおわり。追い込みのためのエネルギーを残してもらわないとね。


 ずっと考えながらだったもの。マーカーとなるものがあれば、ただ走るのを楽しむだけになってラク。まだ駆け引きとか考えなくていい序盤。これでいいってことにすれば妄想がはかどるよ。

 今回は音楽も放送もなくてツマンナイし現状がどうなっているのかが分からなくてって、そういう調整役ではないんだけど、それがいつもだったから気になる。

 給水所は今までのところちゃんとしてて、提供した(運動用の特別な)水とか軽食とかは参加人数やパートが分かっているからお手伝いしてくれるのを期待した上乗せ分しかなくて、この先の河を渡ると管轄が変わる。

 2度延期になった後に参加が増えているんだけど数量の追加しているのかな。

 発注をサボっていたりしていないよね。なんて心配をしちゃう。

 飲み物やゴハンやオヤツは自前でフワフワ付いてきてて、ゴチャっているところは危ないから近づかない。それでどうなのか分かんないし、在庫が表に積んであることはないだろうしね。


 どこの給水所もスル〜。取り方を検証して改良したんだけどみんなが殺到する中で、ぶきっちょが走りながら取れるとは思わないって(あきら)めてる。

 飲みたいと思えばスルスルと管が出てチュウチュウする。用意したのはバナナ風味、チョコ風味、イチゴ風味にあとレモンがあって()きることはないの。

 味はホンノリ程度、要は水だしね。売っているスポーツ用のより味を薄くしてるのは甘さって飽きるし、それに引きずられて味覚がおかしくなる気がする。たくさん飲むことになるからね。

 軽食の用意はしているけど食べなくても平気っていうか、落ち着いてユックリ食べたいから着くまでガマンしとく。

 渡ってすぐの給水所が何か騒がしいっていうのを横目でも見ずに通過。というか何かが飛んで来たら危ないのでギリギリまで離れて通り過ぎた。

 応援してくれる人がいなくなったのは送迎の手配がされていないからで、誠実に運営して市民のことを考えてるよっていう言ってみれば役所の人気取りのイベントなんだから、走っている人達を鼓舞(こぶ)したり応援したいって気持ちに応えることは必要なことだと思うんだけどな。

 実際、隣街地区は満遍(まんべん)なく人がいてくれて気持ちがポカポカしたから、その差で(さび)しさが(きわ)だっている。感情のない僕でもそう思うんだから、ニコニコ手を振って走っていた他の人達はさぞや(こた)えることだろう。


 その後はずっと静かな道だったんだけど、それじゃあツマンナイし、僕は冬イベを考えながら晩春用の新しい曲作りをしたりしてた。

 20KM地点はまっすぐ行くとハーフのゴールで、まだまだ続くって人達は今までのと比べると狭い左の道に行くんだけど、小さい標識があるだけで誰も立っていないし事前の案内表示もなかった(よね?見落としたかな)ってスッと曲がる。

 ここからしばらく上りになる。前の方に走っている人が見えるんだけど、すごく少ないなあって。ボンヤリ考えていたから遅れたかなってペースを上げてみた。

 何か先行している(つまり性能が上の)人達に覇気(はき)がない感じでアッサリ抜いてしまった。まあどうでもいいかな、かけっこ楽しいもの。


 高台まで行って右っていうのも分かりにくい。僕は地理が頭に入っているから間違うことはないんだけど、それならもっと大きな看板にするとか誰かがいて誘導すべきなんじゃない。たぶん担当者はこのコースを見ていないんだろう。

 現地に行って実際に手前から走ってランナー目線で考えるというのは当然の事だったし、隣街は観客という人の壁が自然に案内のような効果をして声かけも行っていただけであっちのも同じ。役人さん達って机上でばかり考えてるから働く(走る)人達の気持ちが分からない。

 自分達だって市民の1人なのにそういう視点ではみていないんだろうね。

 ・・なんて一応の注釈をつけるだけで僕らの仕事じゃないなんて考えてるのはヒドいことなんだろうし、たぶん言わないだろうなんて冷たいのかもね。


 ゴールが近づいて、やっと観ている人がパラパラとしてガンバレって言ってる視線が後ろの方をみてる。

 くるっとみると人がワラワラいてどうやら集団の先頭だったみたい。それがプツンと切れて後続の人はいないなあって思っただけ。

 僕は運動でしんどいっていうのになったことはなくて、いっぱい考えると疲れるなあって感じ。かといっていつまでも走れるってことはないだろう。

 ゼンマイ人形には動く時間があって誰かが巻いてくれないと止まってしまう。

 それが今は人では無いというだけ。

 ゴールという検知ラインを越えてクローネに記録。ぼくオツカレサマ。

無事完走した。タイムがどうなのかは分かっているんだけど、またね。

応援・・は違う人にだろうけど、誰かのおめでとうを自分のものにしてもいいよね。


次は金曜なんだけど、がんばったねって()めてくれてもいいんだよ。

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