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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
第22章 残暑ってお得な気がするよ。
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880 冬になったなあって。11/4

11月4日 水曜(旧暦冬、このぐらいの時にお買い物は済ませとこうね)

ずっと冬は籠もるだけで、じっとガマンしていれば通り過ぎるものだった。

それが急に長くなって街ではどうしようとかさせないでお買い物を楽しんで

元気に冬を過ごしていたんだよ。

じゃあその他は・・なんて細々(こまごま)とみることはないから分かんない。

 去年は表通りよりも裏通りに人がいっぱいいた。今までだったら大商店のいくつかが冬期閉店する頃だけど一昨年は暖かいって10月(今までの年末)もお店が開いていた。だけど直前買いの人達だから冬物は売れない。それを処分して春物を売ろうとしたら、どんどん寒くなっていったんだよね。

 7月から9月は秋だよってアノ国が言って、政府が今まで通りって言う。

 古着しか買えない大多数の庶民は傍観(ぼうかん)するだけなんだけど、立ち売りのニュース誌は「本来の1年は月が12あってこれからはこうなる」って秋の特集をして過ごし方の提案とか紅葉がキレイだよとか書いてある。

 反対に政府からは粗い布に木版で「季節はいつも通り。(だま)されるな」というのを衛兵が配布しているんだけど「オレは聖国推しだけどな」だって。

 いつまでも暖かくて大商店が春物に入れ替えたのと同時に、ついこの前まで表通りで並んでいた毛皮を裏通りの店が激安で売っているというのを聞いて庶民が殺到して、それを着てただ歩くって人達がいっぱいいる。

 商品の店頭陳列をしているから、それを眺めながらってだけ。表通りには高い店が揃っているんだけど、厚い扉で閉じているだけで貧乏人に用はないって感じ。

 裏通りには店がいつの間にかいくつか出来ていて楽しい。広場で立ち売りや屋台売りをしていたものがいつでも買えて、あの時に安いと思った値段のまま。

 広場で売ることがなくなって裏通り・・になったのが去年。ポーンっと羽突(はねつ)きをする人達がいて明るくなったんだけど欲張った店のいくつかが閉店ってことになった。閉じられているし庶民に縁はないから変わらないし気付かないんだけど。

 だけど悲惨なお話はなくて、オーナーはニコニコしていたし従業員達もそれなりに就職先がすぐにあった。

 裏通り店舗の人がそうだったりするけど、お金持ちはこっちには来ないから気が付かない。ちょっとアレだった人達はウ〜ンだったみたいというのもニュース誌で知っただけで関係はなくて、裏通りが一層賑やかになったってだけ。


 去年は一昨年がビックセールスだったから納入していた僕らとの取引店舗が増えて裏通りに商店街っぽいのができたし、そう仕向けた。

 今年は(昨対から)大きく落ち込むと思ったんだけど固定客が付いて目標を楽々クリアーをして追加をしたくらい。さらにユールキャンペーンをして表通りの店舗と遜色(そんしょく)ないどころか上回ったんじゃないかな。向こうの売上げは不明だけど。

 ウチのは仕入れ値が安いし、ウラは賃料も安いから手元に残る利益は多くなる。それなのに気弱な(フリをした)尻尾の人には強気だし、子どもだからって(あなど)った対応をしてくるのがいくつか。

 なので経営権をとったり従業員を取り込んだりした。横流しはただ取引を終了しただけ。(おろし)は成り行きだし、商売はいけそうだったから服を売ってみただけで他のはマーケットリサーチ的なものだもの。

 尻尾の人達や子ども達がニュース誌をしながら、自信を付けてくれれば程度でガツガツ(もう)けたいってことではなくて、立ち売りは大変だからってスタンドにしたし、それも他の子にやらせてる。

 そんなんだから信用はされていないどころか奪う気満々な人とは仲良くは出来なくて、(だま)せるとか(おど)せば流通ルートを奪い取れるとか思っていそう。


 小さい商店は目玉となるものが安価では手に入らないから利益が少なくて誘いやすかったんだけど大きな売上げは隠していた欲を掘り起こしたり増長するみたい。

 商売の基本は誠実と信用のはずだけど、だいたいの人が忘れていて(だま)すのが良い商人だと思っているみたいで、そういう人のお帰りはこちら。

 ポンとスタンプだけして僕らの誰かが騙されないようにマークしておくね。

 目利きは大事な事だろうけど、それをみんなに求めるのは難しい事で修練ありきではあっちこっちに店を出したりはできない。まして素人が運営するは無理。

 なので目利きの要る業務は基本しないし、相手が分かっていないのを良いことに原価割れで買い取りというのもしない。

 行商人の持って来る掘り出し物というのはまずニセモノで、ゲージュツ品は分かんないからお断りしてる。けど職人はウェルカムだし働きたいは大歓迎だよ。

 値引きありきの価格付けでは収益の予測がつかないし販売効率が悪すぎて多くの商品を扱うことが難しくなる。子ども達に商売をやってもらうつもりはなかったから、おとなの協力者は必要だった。


 ストリートチルドレンだったときの経験は人物観察になっていて、みんなで合わせると多くの人達の事を覚えていることになるのすごいなあって。

 文字を覚えて学びをしてオイシイして新しい服を着て、最初は良かったしてくれるんだけど文字はようやっとで、比べると(意欲が薄いから)留まっているようにみえる街の人達はちょっと変わってくる。

 これまではその辺にいるガキだったのがキレイな服を着て、街売りで頭が良さそうに大道芸のような口上をしてる。学びの本、スポーツのセット、タオルなどなどを温かくみていた人達がいつの間にか立場が反転したように感じるようになった。

 貧しさや不遇の象徴だった孤児院をキレイにしたのがそれを助長したのかもしれないし、石鹸の香りとかツヤツヤの髪で差を感じたのかもしれない。

 でもそれは誰もが届くものなんだけど、誰かに不満を言うだけでがんばらないオトナはただモヤモヤを貯めるだけなのかもね。

 討ち入りの行動力で希望を感じたんだけどそれだけ。


 だれかのせいにするのはラクだし同調はしやすいんだろうけど、立ち止まっているままで、その先にはいかないみたいだから連れ出すことにした・・っていうと、弱い人達を助ける優しい?人みたい。

 実情はちょっとだけしてがんばった気になって、大勢の流れに乗って押し入ったり関係のない商店を襲ったりするような人達。その程度だからクーデターにはならなかったし、この環境を甘んじてというか、そこまで考えていなかったんだよね。

 軍隊で何をしていようが競技会の勝ち負けだってそんなに興味がなかったのに、不正をキッカケに大騒ぎしたかっただけ。ちょっと強気になったくらいで分かろうとはしてくれない。何も変わっていなくてガッカリした。

 僕らに露骨に政府がネチネチな嫌がらせする。確実に変わっていく子ども達をアノ国の名前を出して庇護(ひご)したつもりが逆の結果になっていた。

 このまま政権奪取かという行動は毎回すぐに沈静化する。上は安堵(あんど)して臭い街とかこういうのとかはきっとこのまま。これをなんとかはできるけど、この人達をハッピーにしたいとは思えないんだよね。

 ということで連れだしたのは子ども達だけで、オトナはホンのちょっと。

 関わった良い感じの人やまあまあな大人とサヨナラはしないよって、いちおう持っていたスラムと言われていた地区を大改造(はみだ)してステキな総合店を造ったってわけ。


 賃貸な裏通りに人が来るようになって商店が増えたけど、ガラの悪い強欲な貸主が賃料を一気に上げるとか言ってきたから、もういいかなって。

 街で店をすることを終わりにするでも良かったんだけど、成り行きで住む人を選んじゃうことになっていて造った村に人が増えていない。

 そんなんじゃ来てもらっても今までのような商売はできないだろう。過疎(かそ)村くらいの人数だし住民の子ども率が高いし。

 孤児院の売却金は村造りに使っちゃったなあで、そういえば街中の大使館用地を返したときにドコもスラムっぽいところ押しつけられている。確かに広めの土地だけど空き地は前よりなくて建築予定の看板を建てただけで放置していた。

 じゃあそこでってしただけで仕方なくって感じ。農業や工芸の組合も別っこにするってことだから、立ち売りや裏通りでも売らないようにしていた農作物やごく普通の日用品なんかも並べる。


 僕らが抜けても裏通り商店街というのが無人街とならずにあるみたいだし、表通りの方は客層が違う。旧来のルート(組合関連から)の仕入れらしい。

 新たな客層は下層民って地位の一般市民だけど扱き使われている気分的底辺労働者の人達。彼らは収入が少ないから買うのは売れ残り品だった。

 スラムっていわれていた地域はそういう人達が多くてイメージするようなヤバいところではないの。あれはエライ人達の都合や欲で出来たようなもので必要な場所らしいから監視の立場っぽい僕らに関わらせたくはないだろうね。

 僕らが新たに相手にするのは現行の商売とは違う層でお金がないけど一番多い。いっぱい働いて実質街を支えているのはこの人達だと思う。

 お店に並ぶのは今までの良いモノではなくて、効率重視で大量生産したもの。

 (がら)が付いているものの方が少なくて、型抜きフリルがあるくらいのシンプルなものばかり。カトラリーは木製だけどってだけ。

 収穫祭で見せて食べた食材が並んで、インショップも飾りを少なくした安いものにしてもらってる。ウチの生地や素材は上質だし、たくさん作ったからかなり上手くなって安物感はないと思う。

 どの店も規格に沿ったものだから、サイズが揃っていて重ねられるし、バラバラしがちでセンスが問われないようにシリーズで揃えれば統一感があるんだよ。


 がんばって働いている人達がハラペコだとかオイシイや楽しいを知らないっていうのは面白くない。成り行きだったけど、決してイヤイヤではなくこういう人達を助けたいって気持ちがあるみたい。

 東の判官贔屓(ほうがんびいき)気質をふ〜んって聞き流していたのに、そんなようなことになっていて面白い。まあ弱者だからって優遇したりということはなくて、あくまでも結果的にそうなっているってだけね。

 農業大国が聖国圏から離脱してモノが手に入りにくくなるだろうと思って、生産量アップして準備してたんだけど既存のルートとがあるようで、ありがとうとはいかないというのは分かっていた。

 いままでの仕入れができないはずだから普通なら仲良くとなるはずだけど、人は大義よりメンツや利益を優先するようだから悪手なんだけど握手はしてくれない。

 春からずっと誘っていて収穫祭で結論づけたようにみせたし、そう喧伝(けんでん)した。

 エライ人達はきっと経済(流通)の仕組みが分かっていない。全体を見る視点がないから何度も警告を(ニュース誌で)したんだけど、いつも通り来ると思っているんだろう。だから新しい購入先なんか必要ないとしたんだろうし、メンツや管理下にないものがあってほしくないといったところかな。


 モノを売るときには対価が要る。古くは物々交換で今は明確に価値が分かるお金があって便利なんだけど、そのお金が無くなったらどうなるのかって。

 今までお金で買っていただけなんだから相手が欲しがるものが分からない。

 近場で大量に売ってくれる人がいたら買いに行かなくて済むし、今までと変わらないとなったら手間をかけてまで海を越えていかないよね。

 大国は囲い込みたい北の諸国にしか船を出していなくて、偉ぶりたい聖国圏には「来い」ってしてた。物々交換ならどうするのって不安を(あお)って売り込んだ。

 運搬コストや準備が面倒くさくなくて、今まで人達に違約金を払ってもトントンとなれば買うよねえ。

 という感じで見込み通り売れて街に入ってくるのが変わらない。量が重視とはいえ味だって向上している。入荷にトラブルがなく売れ行きも良いとなれば、元々の購買層が違うウチに(から)んでくることもない、はず。

 SCMに入れているのは従来のより品質が良くてゴミ(作業で入った皮とか石臼のカケラとか)が無いし、いちいち恩着せがましい粉挽きオヤジとかパン屋とかもいなくて美味しい食べ方を教えてくれる店員やいっぱいの種類から選ぶ。

 ストレスなく良いモノを着て楽しんでみんな元気。消費傾向になって経済も好調になるから細々な税がなくなっていっても税収はほぼ横ばい。払える人が増えたってだけで人頭税だし、物品税の方は彼らってごまかすのが上手で僕らのは安いモノなので、あんまり変わっていないだろうね。


 寒くなって熱病が流行(はや)る時期になっているんだけど、常備薬はウチの店でしか買えなくて症状が出ている人のみに売ることになっている。

 それは東の沿海所領と違って置き薬にするには土着性質な人達ではないし、トンズラしそうなのばかりで転売しそうって信用がないの。

 診てもらうと吹っ掛けられるのが当たり前だった医師や薬師の化けの皮が剥がれそうで、そんなのより気軽に買えるウチの薬の方が効くみたいだしね。

 例の資格を問う事態(国が認定した医師や薬師は自称で能力がないのが発覚)になっていて期限を待たずに名称の使用禁止という通達が聖国から出てる。

 去年落ちた人達は期待できそうなレベルに達していないし、来春の受験申込期限が過ぎたってことで実名で発表している。とばっちりのようなまだ期限になっていない中くらいの国も対岸の火事を決め込む事は出来ないよねえ。

 まだまだ先の事って思っていたはずの小国が再編されて中くらいの国になっているから、要は全部。


 試験結果は所属する国にお知らせしていて知っていたのに隠していたってニュース誌が号外って聖国圏に満遍なく配布した。

 医療とか法律とかの重要免許を取った人達が組織にいたんだけど((うと)まれて)移住になったから、国の医師・薬師資格取得者はゼロということになっている。

 じゃあどうなるというのは示されていないけど、無資格行為に厳しい内容を国には通知してあるというか、通貨サンプルを配布した時のと同じのを再度。

 ニュース誌だけの発表だったから詳しいことは知らないままだけど庶民は号外の口上で読めない人達も知るし、口コミで末端にまで伝わる。

 国がそれを当人達にどう伝えるかどうかは分からないけど、看板や認証の取り下げは素早く動くだろうね。

 来年の夏くらいには潤沢に用意できるので常備薬の販売制限を解除する。

 劣化した医療を取り戻したり健康の指導ができないと短命のままだし、晩年に病気を抱えて苦しむとかツマンナイよねえは国が考える事。

 環境や考え方に注文を付けたくなるけど、口出すつもりはなくて優しくてがんばるように変わっていけば、それでいいんだけどね。

冬になったらなんかお熱が出てケホンケホン。

やさしい看病が嬉しくて、味を感じないオートミールもオイシイって

言っちゃうよ。だってそう思えたんだもの。

苦くてイヤだったクスリも小さな粒になっていてゴクンした。

そうしたら眠くなってきて、起きたら治っているといいな。


次の金曜はちゃんとアップできますようにってお願いしたよ。

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