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第59話:偽りの改革者_白日開示編②

ーー久世フェーズ


投票日前日の夜。


会議室の端に、播磨が座っていた。


味方ではない。


味方の席へ座らせているだけだ。


山上とあさみは、別室で最終確認を進めている。


二人が扱うのは、選挙と会社と表向きの政策だけでいい。


「播磨さん。法曹協会側はどうですか」


「表立って支援はしない。だが、敵対もしない」


播磨は続けた。


「久世君。政治は、裁判や喧嘩とは違う。勝った後の方が難しい」


行政では、敵を殴っても何も終わらない。


書類。


議会。


予算。


人事。


国からの通知。


誰かが奪われた後でも、手続きが足りなければ動かない。


制度は、動かない理由まで用意している。


「自分の目で確認しますよ」


播磨を見る。


「誰が、どうやって俺の足を止めるのか」


播磨が黙った。


ひとみが腕を組む。


「気に食わん奴がおったら、殺してまいそうやな」


めぐみが頷く。


みずきも頷いた。


播磨まで目を逸らした。


「……誠に遺憾ですね」


「政治家らしくなってきたやん」


わずかに空気が緩む。


「黒瀬麗奈は?」


みずきが画面を切り替えた。


過去の番組。


出演した識者。


制作会社。


政治家との接点。


どれも仕事の範囲で説明できる。


怪しいのに、怪しく見えない。


「選挙前に、報道局と喧嘩する気か」


播磨が低い声で尋ねる。


「調べているだけですよ」


ひとみが鼻で笑う。


「恒一。報道を敵に回すんは危険やで」


「そんなこと、考えなしにはしませんよ」


全員がこちらを見た。


誰も同意しない。


本当に、誠に遺憾だ。



午後九時。


会議室のテレビに、黒瀬麗奈が映った。


「投票日を明日に控えた、大阪市長選挙についてお伝えします」


画面の右側に俺の写真。


左側には、対立候補の玉木。


俺の写真は、実物より穏やかで頼れそうに見えた。


番組は俺を、若き改革者として取り上げた。


実業家。


弁護士。


被害者支援。


治安改革。


商店街で俺を評価する声。


防犯研修に参加する高齢者。


どれも事実だ。


だが、持ち上げ方が不自然だった。


「この編集、嫌いやわ」


ひとみが呟く。


めぐみも、もう笑っていない。


「宣伝してくれてるように見えるけど」


みずきが首を傾げる。


「上げすぎや。どこで落としたら派手になるか、測っとる」


ひとみの言葉で、意図が見えた。


黒瀬は玉木を勝たせたいわけではない。


俺が危険なのか。


利用できるのか。


その反応を見ている。


番組は、今夜俺を持ち上げた。


なら、落とすのは投票日の朝だ。


放送後、検索数が跳ね上がった。


若い。


変えてくれそう。


被害者の味方。


好意的な言葉に交じり、危険思想、排除、加害者更生という言葉も増えている。


攻撃は、もう始まっていた。


ただし、これは本命ではない。


黒瀬麗奈。


報道を使い、人の痛みへ照明を当てる女。


持ち上げられた高さは、そのまま落とすための高さになる。

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ここまで読んでいただきありがとうございます。 この物語は 「正義と暴力の境界」 「人間と異種の曖昧さ」 をテーマに進んでいきます。 少しでも続きが気になれば、 ブックマーク・コメントで応援いただけると嬉しいです。 #現代バトル #社会問題 #ダークヒーロー #復讐 #高校生主人公 #社会風刺
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