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第30.5話:久世くんに魔法を与えよう_閑話

ーー天界・アステリアフェーズ


「よし、久世くんに魔法を与えよう」


「賛成!」


私が少し席を外している間に、これだ。


久世が集落で窮地に陥っている頃。


天界では、久世をどう助けるかについて、勝手に話し合いが進められていた。


『なあ』


「はい!」


メルと女神たちが、同時にこちらを見る。


『これ以上、久世に干渉するなら』


一人ずつ、顔を見回す。


『私も、手段を選ばない』


空気が凍りついた。


女神たちは互いの顔を見合わせる。


そして。


一人。


また一人と、その場から姿を消していった。


最後に残ったのは、メルだけだった。


「アステリア様は、久世くんが死んでもいいんですか?」


『いいわけがない』


久世がいる集落へ視線を戻す。


『だが、それはあいつ自身の運命力の問題だ』


何も与えられず。


誰にも助けられず。


それでも、生き残れるのか。


『強い人間は、どのような状況でも生き延びる』


「それは……」


メルが、不満そうに頬を膨らませた。


「主人公補正とか、魔法とか、剣とかがあったからでしょ」


小さく息を吐く。


『現代で、未来の記憶を持ったまま人生をやり直せる』


メルへ視線を戻す。


『それだけで、十分すぎる魔法だ』


「でも、久世くんには魔力もないし、特殊能力もないですよ」


『だからこそ、見る価値がある』


言い切った後。


一つ、気になっていたことを尋ねる。


『お前』


メルの表情を観察する。


『なぜ、そこまで久世に執着する』


メルは、一瞬だけ黙った。


そして。


満面の笑みを浮かべる。


「好きになっちゃったんです!」


(違うな)


即座に分かった。


こいつが誰かへ向ける感情は、そんな可愛らしいものではない。


『お前は』


「アステリア様」


言葉を遮られる。


「私、本気なんです」


先ほどまでの軽い声とは違った。


「久世くんを、絶対に死なせたくない」


その目には。


確かに、強い執着が宿っている。


「でも、これ以上、私が直接手を出したら怒るでしょ?」


一瞬。


メルの口元が歪んだ。


「だから」


嫌な予感がした。


「私も、協力者を使います」


『待て』


呼び止めるより早く。


メルの姿は、天界から消えていた。


思わず、舌打ちする。


(すでに仕込んでいるくせに)


今さら、協力者を使うつもりではない。


とっくに。


誰かを盤上へ置いている。


そして、もう一つ。


(私の協力者にも気づいている)


面倒だ。


何より厄介なのは、メルの性格だった。


欲しいものは、どんな手を使ってでも手に入れる。


手に入れた後は。


気が済むまで触り。


飽きれば、壊す。


『……歴代最悪の女神だな』


軽く頭を押さえる。


久世を見つけたのは。


ただの暇つぶしだった。


本来なら。


少し変わった人間の人生を、遠くから眺めるだけのはずだった。


それなのに。


いつの間にか。


いくつもの思惑が、久世の周囲へ集まり始めている。


『ただの暇つぶしだったはずなんだがな』


誰もいなくなった天界で。


私のため息だけが、静かに落ちた。

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ここまで読んでいただきありがとうございます。 この物語は 「正義と暴力の境界」 「人間と異種の曖昧さ」 をテーマに進んでいきます。 少しでも続きが気になれば、 ブックマーク・コメントで応援いただけると嬉しいです。 #現代バトル #社会問題 #ダークヒーロー #復讐 #高校生主人公 #社会風刺
― 新着の感想 ―
アステリアはロリ巨乳の可能性アリ。
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