表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/114

第106話:再会

ーーめぐみフェーズ


私は状況を整理していた。


鷹宮によれば、私と恒一はほぼ同時に拉致され、一時間半ほど経過しているらしい。


その短時間で、みずきはできる限りのことをしてくれた。


私が短く残したメッセージから監視カメラを追跡し、この場所を割り出した。


そこから最も近くにいた山上を向かわせ、同時に鷹宮と真壁へ連絡。


この短時間でここまで動ける人間はそういない。


本当に見事だった。


山上もそうだ。


ひとみの葬儀の日。


恒一とぶつかっていた。


あの日にはもう覚悟を決めていたのだろう。


人型の生き物を初めて殺した。


怖くないはずがない。


それでも逃げなかった。


私は、自分の人を見る目の良さに少し感動していた。


そして今。


私は監禁されていた隣の部屋へ向かっている。


この階層には二つしか扉がない。


壁は厚いコンクリート。


頑丈な鉄扉。


こういう用途で使われる施設としては、珍しくない造りだ。


それなのに。


胸の奥がざわつく。


この違和感は何だろう。


私の勘は、不思議なくらい外れない。


良い時も、悪い時も。


そして嫌な予感だけが、強くなる。


鷹宮が扉を二度叩いた。


反応はない。


数秒後。


扉がゆっくり開き始める。


五十センチほど。


その隙間から、人の気配は感じない。


「……」


鷹宮は拳銃を構えたまま、一歩ずつ近付く。


その瞬間だった。


部屋の中から、人影が現れる。


ゆっくりと。


こちらへ歩いてくるわけではない。


倒れ込むように。


男だった。


上半身は血だらけ。


首元は原形を留めていない。


死体。


扉から廊下へ転がり落ちた。


扉は、その男の身体が通れる分だけしか開いていない。


部屋の奥は暗く、何も見えない。


(デコイ……?この惨状で立ってられるわけがない)


鷹宮もそれは察知している。


一切の警戒を解かない。


ここで、思考が巡る。


誰かが意図して押し出したのではないか。


そう考える方が自然だった。


死んでいるのは恐らくデポル。


やたらと首が損傷している。


この戦い方。


この壊し方。


何度も近くで見てきた。


考えを巡らせている間に、山上が目で合図し、鉄扉へ手を掛ける。


ゆっくり開く。


重い扉が軋みながら全開になった。


それでも。


誰も出てこない。


静かすぎる。


鷹宮が腰を低くし部屋に近づく。


拳銃を構えたまま、ゆっくり部屋へ踏み込む。


身体が半分ほど入った、その時だった。


短い金属音が響く。


「くっ……!」


部屋の中で誰かと交錯している。


「鷹宮さん!」


山上は短剣を握り締め、そのまま部屋へ飛び込もうとする。


その瞬間。


私の違和感が限界まで膨れ上がった。


私と同じように拘束されていたなら。


何かしらの方法で脱した可能性がある。


そしてーー


「待って!二人とも!」


思わず叫んでいた。


だが、遅かった。


乾いた銃声。


狭い室内で閃光が走る。


マズルフラッシュが一瞬だけ暗闇を照らした。


その一瞬。


私は見た。


血まみれの男。


右腕に強烈な違和感。


鷹宮の銃弾を受け。


飛び込んできた山上の短剣が、その身体を斬り裂く。


それでも立っている。


そんな人間を、私は一人しか知らない。


私の目に焼き付いたのは。


味方の手によって傷つけられる恒一の姿だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここまで読んでいただきありがとうございます。 この物語は 「正義と暴力の境界」 「人間と異種の曖昧さ」 をテーマに進んでいきます。 少しでも続きが気になれば、 ブックマーク・評価で応援いただけると嬉しいです( ^ω^) #現代バトル #社会問題 #ダークヒーロー #復讐 #高校生主人公
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ