表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これが普通の恋じゃないなんて、思ってもいなかった。〜家庭崩壊済みの彼女がヤンデレ化したら、俺が1番の被害者になった件〜  作者: 古治


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/13

第8話 お、お仕置き⋯⋯?

「なぁおい、あいつに何した?」

「⋯⋯えっとぉ。⋯⋯誰?」


 ちょうど結愛が席を外したとき、誰かが話しかけてきた。


「おいおい、もう名前忘れたのか?」


 俺はコクリとうなずく。


「まじかよ」


 誰かはやれやれというかのように、頭を抱えた。


「俺は東郷千鶴(とうごうちづる)だ。覚えとけ」

「⋯⋯あー」

 

 俺は目を細めながらそいつ、千鶴を見る。――覚えてねぇ。


「まぁいい。で、あいつはどうした?」

「あぁ、結愛? あいつは確か――」

「ちげぇよ。武蔵だ。武蔵稜峨(むさしのりょうが)


 うーん、誰だっけな。なんか聞いたことあるような⋯⋯。

 俺はあごを手に置きながら考えた。


「覚えてねぇのか?」

「えっと――」

「覚えてないに決まってるじゃん?」


 俺でも千鶴でもない声が、鼓膜を通過した。

 そこに響くは、すごく甘いような、冷酷なような声だった。


「だって、優磨くんの記憶は、私で埋め尽くされてるんだもん」


 渾身の笑顔でそう言う結愛。とても反応しづらい。


「ねぇ、千鶴くん、だっけ?」


 千鶴は、この世の終わりのような顔をしていた。


「ゆ、結愛、様⋯⋯」

「あぁ結愛、戻ったのか?」


 結愛は、俺に満面の笑みを向けたあと、千鶴にはそれとは真反対の表情を見せる。


「ねぇ、千鶴くん? 放課後、空いてる?」

「⋯⋯き、今日は、無理――」

「空いてるよね?」


 結愛は、すべてを圧迫するような声を放つ。


「⋯⋯空いてます」


 さすがの千鶴でも、結愛には負けた。


「だよねっ! よかった!」


 結愛はそう言って俺に視線を向ける。


「ぜーんぶ、私が()()、してあげるから」


 そう言いながら、結愛はウインクをした。



 ******



 放課後、千鶴は結愛につかまっていた。

 

「優磨くんは、先行ってて?」


 結愛は千鶴の腕をガシッと掴みながら、俺に言った。

 そのときの千鶴は、なぜか顔が赤くなっていた。相当痛いのか?

 

「おん」


 俺は短く返事だけして、家に帰る。

 


 家に着き、玄関を開けた。


「ただいまー」


 俺がそう言っても、返事はない。


「そうか。今日は俺だけか」


 結愛のいない下校は、かなり久しぶりだった。

 散らかっている靴もなければ、あの高い声も聞こえない。そんな帰宅が、不思議でならなかった。


「ふぅ」


 俺は自分の部屋で一息つき、ベッドに横たわった。



 ******



「優磨くんっ! ただいまー!」

「ん、あぁ。おかえり」


 今までなら、俺にこう言ってくる存在はなかった。だが、今は違う。


「ねぇ、私さ、優磨くん以外の男の子とたくさんしゃべっちゃった」


 結愛は、なぜかかしこまりながら言った。

 そんなにかしこまる必要を一切感じない。


「だからさ、()()()()、して?」

「お仕置きって、別に怒ってねぇよ」


 何を言ってるんだ、結愛は。俺にはわけがわからない。


「だめ! もっと怒ってよね! じゃないとお仕置き受けれないじゃんっ!」


 結愛は、なぜかお仕置きを受けたがってる。


「はぁ? そんなの、ない方がいいだろ?」

「じゃあ私がお仕置き、してあげるよっ!」


 結愛は満面の笑みで言う。それが逆に怖いのだが。


「お、お仕置き?」


 俺はゴクッと口の中のつばを飲み込む。ってか、なんで俺がお仕置きされるんだ?


「えーっと、よしっ、決めたっ!」


 結愛はそう言いながら、俺に抱きついてくる。


「今日から、ずーっと――だね!」

「え、お、おん⋯⋯」


 俺は、それを認めたくなかった。ただ、認めざるを得なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ