第14話 翌朝のこと
小鳥の鳴く声がする。白く薄いカーテンが柔らかく日を遮っている。
眩しさで目が覚めたルナリアは、「……起きなきゃ」と身じろぎする。しゃらしゃらと細い鎖が音を立てた。枷の輝きが目に入る。
「……そうだった」
彼女は体を起こすことをやめて寝返りを打つ。陽気がぽかぽかと気持ちいい。思わずうとうととしていると、お腹がくぅ、と鳴った。
「……お腹すいたな」
ぽつりとつぶやいたその時、ドアがコンコンとノックされる。
「ルナリア姫、僕です。入っても?」
カントの声だ。ルナリアは「いいわよ」と軽く答える。すると彼はがちゃりと音を立てて部屋に入ってきた。彼の手にはお盆がある。
「おはようございます。朝ごはん、食べます?」
「……何それ」
「ヨーグルトですよ」
「……食べる」
カントは微笑むとサイドテーブルにお盆を乗せた。白い器に入ったヨーグルトには、果物がごろごろと入っている。ルナリアはそれにじっと視線を向けていた。
「……食べないんですか?」
「……食べさせて。……食べにくい」
「なるほど。いいですよ」
彼は小さく笑うとスプーンでヨーグルトを掬う。そのままそれを彼女に食べさせた。甘い果物がさっぱりとしたヨーグルトに包まれていてとても食べやすい。
「……美味しい」
「それはよかったです。では、もう一口」
「……ん」
カントが差し出すスプーンを口に含む。それを何度も繰り返していると、いつのまにか器は空になっていた。
「口に付いていますよ」
「拭いてよ」
「仕方ありませんね」
カントは苦笑しつつ、持っていたハンカチでルナリアの口元を拭く。その後彼は彼女の枷をずらし、その下の手首を確認する。
「傷はできていないようですね」
「悪くないわよ、付け心地」
「気に入っていただけたなら」
彼は軽く笑う。ルナリアはなんとなしにその様子を見ていた。
「……姫?」
「それ、やめてよ」
「それとは?」
「……呼び方。気持ち悪い」
顔を顰めながらそう言うと、カントは「分かりました」と微笑む。
「では、ルナリアと」
「うん」
ルナリアが頷いたのを確認した彼は、お盆を片付けながら口を開いた。
「メイドをつけておきますので、何かあれば彼女に」
「……あんたは来てくれないの?」
「貴女が呼ぶのでしたら、飛んできますよ」
「本当に?」
「もちろんです。僕が来なかったこと、ありましたか?」
「……確かに」
彼女はクスリと笑い声を漏らす。カントはお盆を持って立ち上がると、「ゆっくり休んでください。ご用があれば、いつでも」と伝えて部屋を出て行った。
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