13 二人の殿方に愛されてしまいました
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ブルーノ様とお会いして数日が過ぎた。
「ねえ、フォリー、ここ数日、公爵様のお姿を見ないのだけれど」
「公務がお忙しくて、王城につめておられるようです」
「そう」
元々、かなり、ご多忙な方だもの。
プリシラの事も聞きたいけれど、でも任せろと仰っていたから、私ができる事なんて今はない。
それよりも今日はパステーラのお祖母様が来てくださる日。
公爵様のところに面会希望のお手紙が来たらしく、ご許可くださったの。
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アリッサに与えられている次期公爵夫人の居間にて。
ミレーヌさんとフォリーがお茶の用意をして、そっと扉を閉めて下がっていった。
お祖母様と二人きり。
「元気そうで安心したわ」
お祖母様にお会いするのは一年ぶりかしら。
お父様が亡くなった時にお会いしてから、プリシラの暴挙でとんでもないことになってお会いできなかったわ。
「はい、お祖母様、よくしていただいています」
「ドレスもアリッサに良く似合ってるわ。公爵様のお見立てかしら」
「気がついたら、衣装部屋にたくさんあって」
「ホホホ、できる殿方と言うのは口数少なく不言実行するものですよ。少しはそう言うことも学びなさい」
お祖母様は扇をひらりとさせて笑っておられる。
「……」
「ねえアリッサ、公爵様は定期的にあなたの近況をお知らせくださっているから、アリッサの様子はわかっていたのよ。でも数日前にサフィエル侯爵家からお手紙がきたの。侯爵様も少し困っておられるようで。あなたブルーノ様とどういうお話になっているの?」
「こちらに向かう寸前に、お祖母様にお手紙を出したでしょう?そこに書いた通りよ。ブルーノ様には、ベルモント領のことを一番に考えたつもりで、お付き合いはここまでにしてくださいって、書いたのだけど。それに元から婚約していなかったし。どんなにお慕いしているかよりも、家門と領民を守るべきことは貴族の務め」
「そうよ。婚約に関しては、伯爵にも問題があったけれど、確かにサフィエル家と婚約は成立していなかった。それはそうとして、ねえアリッサ、ブルーノ様の情熱を受け止められる?」
「え?どういう」
「まだ彼は若いわ。サフィエル侯爵様も、国政にも関わっていらっしゃるし、更に二つの領地経営は、侯爵家ではそう簡単ではないとわかっておられるの。もしブルーノ様が、アリッサと婚姻してベルモント伯爵を継ぐ場合、サフィエル侯爵家の傘下に入ることになる。でも、ブルーノ様だけで領地経営は難しい。だからパステーラ侯爵家にも後ろ盾になって力を貸してほしいと」
「そんなお話が?」
「それはそうでしょう?パステーラもサフィエルも侯爵家としては大きいけれど、公爵家とは何もかもが違いすぎる。だから陛下は、エメルディ公爵様にお願いされたのよ」
「私も、こちらでお世話になって感じました。使用人の皆様が凄すぎて」
「それはそうよ。王家の血筋を引く方よ。陛下の次に力がある方なのだから。それに、アリッサ。あなた治癒魔法をお受けしたでしょう」
「ええ」
「本来なら、身内以外には使ってはならない、という王家の規則があるのよ」
「えっ」
「知らなかったのね。王族の治癒魔法は、王族の血筋を守るためのもの。直系血族か、将来子を宿すことができる妻子にしか使えないの。それだけ大切にしてくださっていると言うことよ」
知らなかった。何もおっしゃらなかった。
無言の私に、お祖母様は、扇をパチリと閉じて仰った。
「アリッサ、二人の殿方から想いを寄せられている。それは、あなたが素晴らしいレディであると言うことでもあるわ。でも、真のレディになるために、答えは自ら出しなさい」
「……私が?」
「そう、選ばれれば良い、と言う問題ではないの。領民のため、家門のため、それもあるわ。でもあなた自身が少しでも多く幸せを感じられるご縁を掴みなさい。手を伸ばせばいいのよ」
私は息を飲んだ。
ノブリス・オブリージュ。自己犠牲ばかりだと思っていた。
「お、お祖母様は、選んだのですか」
お祖母様が扇を広げ、笑い声を立てる。
「当たり前でしょう。私も、あなたのお母様も、ちゃんと想いを貫きましたよ。パステーラの血を引く女は、大切なものは逃さない。好きに生きていいのよ。プリシラ、あれは全く別物だけど。アリッサ、あとは周りを信じなさい。おほほほ」
お祖母様は私に大きな疑問を投げかけ、凛々しく辞してお帰りになった。
二人の殿方。
私はどうしたらいいの。




