がんばる理由
「理由、ないの?」
ちょっと意外だった。何か理由があって情熱を持つのだと思ったから。
「私にとっては数少ない自己表現できる場だから、かなぁ?でも何かすんごい理由はないんだよ」
「こんなにすごいのに」
「私はこういう絵が描けるんだぞーって描けて満足。それを評価されるのも嬉しい。だから自己満足なのかもねー」
「でもそういうものじゃない?絵を描くのが好き、評価されるのが好き、単純に描きたいから描く。それで十分だと思うわ」
「明ちゃんありがとー」
私と蘭は少し腑に落ちていなかった。でもすみれが楽しそうだからいいか、とも思う。
「でも今回はちょっと気合入ってるんだ。かけっこみたいだね」
笑みを浮かべながら闘志を燃やすすみれだった。やはり私が心配するような何かはなかったのだろうか?
「入選したら何かあるの?」
「今回は大きいコンクールだから、賞金が出るよ」
「そうなのね。どれくらい?」
「入選すれば1万円、それ以上もあるよ」
「それは頑張りたいわね」
「うん!皆でパフェ食べに行きたいんだー。私がごちそう出来るようにね」
「あら邪な理由。そんなことしなくてもパフェならいつでも歓迎よ?」
「そーだよー。あたしも食べたいし」
「そうね。でも、それが今のモチベーションなのね?」
「うん!」
「じゃあコンクールが終わったら打ち上げしましょう。皆で甘い物食べに行きましょうか」
「やったー!」
というすみれの笑顔に裏があるとは思えない。やはりすみれは大丈夫だ。
「さ、そろそろ予鈴なるわよ。教室に戻りましょう」
教室までの道すがら「どこのパフェがいいかなー」など話しながら歩いた。すみれの努力が実を結べばいいと思う。




