狐の嫁入り
お昼。今日も4人で集まってお弁当を食べる、という話になった。
「すみれ、部活はどう?コンクールが近いんでしょ?」
「んー、今いろんなインスピレーションが出たりしてるからちょっとずつやってるよー」
「今回は立体?それとも絵画?」
「絵のほうだよー」
「締め切りっていつなん?間に合いそう?」
「今月末までだから、ちょっと頑張るよー」
「今日の部活の時間に少しその絵を見に行ってもいいかしら?」
「いいよー」
当たり障りのない言葉。やはり昨日はたまたま部活に用があっただけだったのだろうか。
放課後になり、蘭と明も一緒にすみれの絵を見に行くことにした。
「これだよー」
すみれが美術準備室から絵を取ってきた。
水に浮かぶ睡蓮の花。光がきらめき、無数の波紋が美しい。
晴れの光と雨の波紋、そしてなにより水の美しさ。
「凄い絵ね。タイトルは?」
「んー、『狐の嫁入り』かなぁ。天気雨の絵だし」
「凄い絵だね。あたし見てるだけで鳥肌がたったよ」
「そうね、迫力というのかしら?心を掴まれるような美しさがあると思うわ」
「これで完成ではないの?」
「水の質感とか、光の加減とか、考えてるところなんだけど・・・もっといい表現ができないかなーって思ってねー。思いついたことをとにかく試してるんだ」
「昨日は何を描いたの?」
「まだスケッチなんだけどね」
とクロッキー帳を見せてくれた。
「もっと『光』とか『水』とか、フォーカスを絞るべきかなーって言われて、思いついたのを描いてたの」
クロッキー帳には雄大な滝や、光が反射する机の上に転がるビー玉の絵など、たくさんのものが描かれていた。
「ずいぶん気合入ってんね」
「そりゃもう。頑張らないといけないもん」
「なにか理由があるの?」
「ん?んー・・・特にはないよ?」




