それぞれのタイミング
「・・・・・・さちのペース」
「そうよ。誰にだって呼吸やタイミングがあるわ。奥野くんにとってのタイミングが今であっても、皆がそうとは限らないでしょう?」
「でもっ、・・・・・でも前に進むにはこうしないと」
「前に進む必要ってあるのかしら?」
「そんなの、当たり前ですよ」
「皆同じ方向にしか行けないの?そんなの人生つまらないわよ」
「人生・・・・・」
「気分のまま、好きな方向に歩いて、たまに立ち止まったりうつむいて、また気ままに歩くのだって人生じゃない?誰かに強制されるなんて、その人の人生なんて言えないと思うわ」
「じゃあ、さちがうつむいてるの、放っておけばいいですか?」
「手を差し伸べて待ってあげればいいじゃない。あの子のタイミングで顔を上げた時に手を取れるように。無理矢理手を引いて立たせる必要はないんじゃない?」
「・・・・・・・・・おれは、」
「さ、ここからは寮監としてのペナルティです。奥野くんはさちちゃんとおしゃべり禁止1週間ね。少し、考えてみなさい」
「・・・・・・はい」
「さちちゃんには、どうしようかしらね」
朝になって、ひとみ先輩の部屋で目を覚ました。普段と違うから、早めに目が覚めてしまったらしい。
「んー・・・・・あ、起きた?さちちゃん」
「はい、ごめんなさい。ひとみ先輩。ありがとうごさいました」
「いいのよー。でも一度自分の部屋に戻ってシャワー浴びておいで。顔、しっかり洗ってね」
多分涙の痕がひどいんだろう。
こうして私は自分の部屋に戻って、スマホを充電するとシャワーを浴びた。顔はむくんでいるし、目の周りも痛い。
ここから先、私はどんなことを考えるのだろうか。




