ケンカ
「待てよ、さち!」
肩を掴まれ、無理矢理前を向けされた。
肩に走る痛みは無視して平手を振りかぶった。
ぱぁん!と大きな音が響いた。
「私に向かって、璃子を忘れろ?いい加減にしなさい」
「そっちこそ、何するんだ!」
「忘れるなんて出来るわけないでしょう!命を馬鹿にするな!」
「馬鹿になんてしてない!落ち着けよ!」
「璃子の想いを勝手に決めるな!私の思いを否定するな!何もかも、お前が悪いんだ!」
「いい加減にしろ!」
顔を叩かれる。
「さちの気持ちは知ってる!いつまでも璃子のこと引きずって、大人ぶって、自分で幸せになろうとしない!かっこつけてんじゃねぇよ!」
「私の幸せは自分で決めるわよ!あなたに決めつけられることじゃない!」
「ただチャンスをやるってだけだろ!決めつけてなんかない!」
「・・・・・あなたはいつもそうよね。私の気持ちは知らないまま押し付けて。迷惑なのよ」
「話さないんだから分かるわけないだろ!」
「話したくないのよ。それも分からないからこうなってるんじゃない」
「幼馴染だろ、話したくないわけないだろ」
「決めつけるなっていってるのよ。いい加減にして」
だめだ。話が通じない。
「あなたがどう思ってもいい。でも私はあなたを幼馴染とも、友人とも思ってない。私に関わらないで、奥野くん」
「話は終わったかしらぁ?」
おばが笑顔でこちらを見ていた。いや、多分寮生全員が各部屋から出てきてこちらをうかがっていた。
「はい、ひとみちゃん。さちちゃんのほっぺ冷やしてあげて」
「ガッテンです。さちちゃん、私の部屋においで」
「奥野くんは私の部屋にきなさい。ほっぺを冷やします」




