心に寄り添う雑炊
「ごめんね、おはさん。落ち着いた」
私は温かいお茶を前に鼻をすすった。
「大丈夫よぉ」
とキッチンからおばが返事をする。リビングには温かな出汁と生姜の香りが漂っている。
「はい、どうぞ」
おばが作ったのは雑炊だった。長ネギの緑と卵の黄色、透き通った出汁からは生姜の香りがした。
「いただきます」
湯気の立つそれを私は少しずつ食べた。無言の時間が続くが、おばもお茶を飲みながらそっと待っていてくれた。
「鶏としいたけの出汁に生姜をとかして、水で一度洗ったご飯を入れてひと煮立ち。とき卵を流し入れて、最後にネギを乗せて、ふたをする。たまごが余熱でほんのりと固まれば出来上がりよ」
と作り方も教えてくれた。
「何があったのか、私からは聞かないわ。話したければ話していいし、話したくないとか聞かれたくないなら無理に話そうとしなくていいの。でもね、こうやって温かいごはんは用意するから、それを食べてほしいわぁ」
「ありがとう。今度からはちゃんとするね」
「ちゃんとなんてしなくていいわよぉ。ただごはんを食べてっていうだけだからね。人間、温かいごはんさえ食べてれば何とかなるものよ」
それがおばなりの考えなのだろう。励ますでもない、何気ない気遣いが、今はとてもありがたい。
何があったか聞かれたら、本当に全部話さないといけないし、また心の中がぐちゃぐちゃになるだろう。それを知ってか知らずか、おばは私にとっては最良の対応をしてくれた。
何があったか、話すべきだろう。だがそれで康太だけが悪者になるのは、璃子ならば望まないと思う。
「うん。明日はちゃんと元通りになるよ。明日は何作ろうか?」
「そうねぇ・・・・残ってるほうれん草はごま和えにして、肉じゃがでも作ろうかしら?」
「いいね、買ってくる材料はある?」
「じゃあ豚こまと、おしょうゆお願いできるかしら」
「うん、わかった」




