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シャボンの香り

気が付くと自室にいた。どうやって帰って来たのかは覚えていない。ただカバンはあるし、靴も履き替えている。制服のままベッドに座って床を見ていた。


視界がにじんでいる。目の両端が痛い。どうやら泣き続けて、未だに涙が止まっていないようだ。


部屋の中は真っ暗だ。カーテンのすき間から差し込むのは夕日どころか月の光となっている。あぁ、夕ごはんどうしたんだろう?せっかく献立考えてたのにな。


おばのことだ。なんとでもしてくれたのだろう。なんならすみれが何か手を打ってくれたかもしれない。


ただ私は深く後悔していた。


私はあんなことをアイツに言うつもりはなかったのだ。アレに対して、私は無関心を貫かなければいけなかったのに。あまつさえ、りこを返して(・・・・・・)。りこは物じゃないのに。りこを理由にして、人に当たった。最低だ。


おばの部屋に行こうか。何もできなかったことを謝ろう。すみれにも、多分心配させてしまっただろうから、一声かけなければ。


時計を確認すると、夜の10時を回っていた。今の時間ならば、おばは晩酌でもしているか、とりあえず起きてはいるだろう。私はそっと自室のドアを閉めた。


おばの部屋に行くと、明かりがついていた。ごく当たり前のことだが、先ほどまで真っ暗な部屋にいた私には目に刺さるほどの眩さだった。


「あら、さちちゃん。おなか空いてない?」


「あの、おばさん。ごめんなさい、今日何も出来なくて」


「今のさちちゃんの姿を見れば、様子は分かるわよ。制服のまま。目は真っ赤。それでもここに来てくれたのね」


ふわり、と抱きしめてくれた。お酒のにおいはしない。ただ優しいシャボンのにおいがした。

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