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第7話 『畑』

 ※ ※ ※ ※ ※ ※


「どうだ? 今年の出来栄えは?」


「見ての通りです。質も量も申し分有りません」


「そうか、宜しい。それで......実験結果の方も大丈夫なんだろうな?」


「まぁ、多少の難は有りますが......刺激が強過ぎる分には申し分無いでしょう。宜しければ、ご覧になりますか?」


「ふむ、そうさせて貰うとしよう」


「ご案内致します」


「......」


 コツコツコツ......


   コツコツコツ......



 人工太陽に照らされた密室内の植物は優に1メートルを超えていた。それがきれいに列を組んで均等に植えられている。


 そんな『畑』の横通路をゆっくりと歩く真っ白な白衣を纏った2人の研究者は、共に満足気な表情を浮かべていた。


 きっとこの『畑』で採れた『作物』の出来栄えに手応えを感じているのだろう。


 ちなみに、一見『麻』のようにも見えるそれが一体何なのか? などと言うことに関しては、ご想像にお任せすることとする。まぁ、直ぐに分かることであろうから......



 やがてそんな一室を後にした2人の研究者は、次なる部屋の前で徐に足を止めた。


『楽園』


 それはそんな表札が掲げられた一室だったのである。やがて、


 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピー......カシャ。


 研究者の1人がセキュリティを解除すると、音も立てずに横引き扉が自動で開放を見せた。きっとこの『楽園』なる部屋の中には、この研究者達に取って重要な何かが存在してるのであろう。



「どうた、モルモットの状態は?」


「あっ、所長、どうされたのですか?」


 突然なる所長様のご来訪に、椅子から飛び上がるこちらも白衣の研究者だった。居眠りして無かったと言うことは、きっとこの者も勤勉なる研究者だったのであろう。


 ちなみにこの『楽園』なる部屋がどんなだったかと言うと、至ってシンプル。机1個と、その上に掲げられ10個のモニターだけ。


 ただし、1点だけシンプルじゃ無いものが存在していた。


 それは所長が言うところの『モルモット』がそれぞれ10個もの画面に映し出されていることだ。モニターが10に対しモルモットの数も10。


 そんな10個の画面には、地に横たわって死んだように動かないものや、カメラに手を向けて何かを訴えてるような仕草をしてるものやら何やら......皆それぞれ様子は異なっていた。


 ただ一つだけ共通点を挙げるとするならば、それはどれもが弱り切って見える......そんなところだろうか。


 そして最後に重要な補足を加えるならば、


 それは、なんと! 


『モルモット』はモルモットでは無く、もっと別の高等生物だったのである。



 やがて......


 そんな所長の質問に対し、勤勉なる研究者がゆっくりと口を動かし始めた。


「『モルモット』が示す禁断症状は、格段にレベルアップしております。ほんの数回吸引しただけで、ほぼ全てのサンプルが強烈な症状を示しております。ただ......」


「ただ......?」


「はい、中毒に寄る死亡率も格段に増えてしまってるんです。宜しければ......ご覧になられますか?」


「なるほど、拝見させて貰おう」


「畏まりました。では、こちらへ」


 そんな勤勉研究者が、2人の白衣を更に奥の部屋へと導いていく。


 そこは一体どんなだったのかと言うと......


 真ん中の通路を挟んでガラス張りの小部屋が左右に5つずつ。計10部屋にも及ぶ『モルモット』の飼育部屋が羅列されてたのである。


「ふぎゃあ-! 近寄るな!」  


 幻覚を見続けてる者や、


「薬をくれ......何でもするから。頼むよ......」


 おねだりを続ける者や、


「......」


 死んだように眠り続ける者などなど。


 それらは全て、『楽園』なる部屋で見たモニターの景色そのものだった。



「よし、その薬を欲しがってる奴にたっぷり薬を打ってやれ」


「この『モルモット』は○○剤漬けにして禁断症状を出させてる者です。今打つと命の補償は出来かねますが......宜しいでしょうか?」


「構わん。今日はわざわざアラルから遥々お越し頂いてるんだ。しっかりと我々の研究の成果をご覧頂こうじゃ無いか」


「承知致しました。では直ぐに準備致します」


「宜しく頼むよ」


「フッ、フッ、フッ。ショータイムってことだな?」


「はい。今ウォッカを用意させて頂いております。酒の肴にはちょうど宜しいかと」


「それは楽しみだ。遠慮無く拝見させて頂くとしよう。アラルの酒と共にな。ハッ、ハッ、ハッ」



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