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第1話 雪道

 ところは打って変わって、再び群馬県の超山奥。そこが筋金入りの豪雪地帯てあることは今更言うまでも無い。しかも真冬と来てる。


 そんな山中をずぶ濡れでトボトボと歩き進む年若き2人の男女はと言うと、なぜか凍結マンモスになって無かった。


「ココは気合いデス! りんサン、足は大丈夫デスカ?」


「何をこれしき! マーメイドは待っちゃくれんよ。ポール君!」


 そんな2人の気合いが、きっと氷を溶かしてくれてたんだろう。


「タシカニ、マーメイドがどっか行っちゃったら、マズイんですけどネ......デモこう寒くちゃやってラレマヘン。へ、へ、へクション!」


「あとちょっと進めば炭鉱跡だわさ。地下に潜れば暖かいんやないか? へ、へ、へクション!」


「だとイイんですケドネ......へ、へ、へクション!」


 やっぱ空元気だけだったらしい。当たり前だ。ずぶ濡れで雪山の中を歩いてる訳だから、凍死して無いだけでも神様に感謝しなきゃならない。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 ここで、ちょっとばかり話を前に戻しておくことにしよう。


 40分程前まで2人は、地下のBARでカクテル片手に語り合ってた。すると突然観覧車が倒れて来て、凛が100キロの木製カウンターの下敷きに。その際、凛は不覚にも足に傷を負ってしまう。


 それは正にメガトン級の大地震。そんな大揺れのお陰で火の手があがり、不運にもプロパンボンベに引火して大爆発を引き起こしてしまう。


 ポールと凛の2人はこれまた不運にも、転がって来たゴンドラと共に飛ばされて、源氏池に見事着水。


 そこからずぶ濡れのまま【炭鉱跡】へと向かって雪道をトボトボ歩くこと30分。今に至ると言う経緯だ。


 思い出して頂けただろうか?



 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 そんな寒さが2人の体力を容赦無く奪い続ける中、突如凛の顔が引き締まり、次の瞬間足をピタリと止めた。


 それに呼応するかのように、ポールの顔からも笑顔が消える。


 極寒の世界の中で、それは無理矢理作り上げてた『ゆるかわムード』が終わりを告げた瞬間だったに違い無い。


 一体何が起こったと言うのだろうか? その理由は、他でも無かった。



「隠れろや」


「リョウカイ」


 見ればなんと、生い茂る木々の間から複数の光が! それでそんな光の数々は一定の距離を保ちながら、ゆっくりと左右に動き続けてるでは無いか。


「あれは警備兵の灯りやな」


 大木の隙間からちょこんと顔だけを出して、状況を推理する凛。


「慌ただしさガ感じラレナイところをミルト......まだ見付かったワケじゃ無さそうデスネ」


 一方、凛の身体の上からこちらもちょこんと顔だけ出して語るポールだった。



 どうやら20メートル程先は木々が伐採されてて平地が広がってるように見える。


 きっと複数の光は、そんな平地を巡回する警備兵達のものだったのだろう。


「警備兵ガ警備してるってコトハ......」


「そう......あの先に炭鉱跡への入口が有るんや」


「ホウ......ヨク調べマシタネ」


「ここまでは森の中で目立たんから何度も来とる。でも20メートル先は何も無い平地や。身を隠すところなんか有りゃしないし、警備も厳重で近寄れん」


「じゃあ、ドウスルんデスカ? 2人で行ったりシタラ余計目立つデショウ」


「そこでなんやが......」


 凛は一瞬不敵な笑みを浮かべると、何やら足元の雪を払い始めた。


「イッタイ何を始めたんデスカ?」


「いいから手伝えって」


「ハァ?......」


 手伝えと言われたんだから手伝うしか無い。ポールは意味も分からぬまま、凛に倣って足元の雪を払い始めた。

 

 かなりの重労働ではあったが、冷え切った身体にはちょうどいい運動。少しづつだけど、身体がポカポカして来る。


 やがて額に汗が浮かび上がり始めたちょうどその頃、土の上に敷かれた布のような物が姿を見せ始めた。


「コレハ?」


「そっち持って」


 見れば土色と化した2メートル四方の分厚い布切れ。それはまるで、その下に存在する何かを隠してるかのように思えてならない。


「......」


 ポールはそれ以上聞くのを止めた。論より証拠、この布切れをめくれば分かることだ。


 そんでもって、


「「せ~の~、よっと!」」


 2人息を合わせて、そんな布切れを剥がしてみれば、なんとその下には?!


「コ、コレハッ?!」


「見ての通りや」



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