表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/96

第14話 火龍

 やがて『炎』は、俄に吹き始めた強風に誘われ、いよいよ特大なる火柱を形成していく。


 ゴゴゴゴゴッ......


「もうこいつは、死んだも同然っす。死人に何聞かれたって怖いもん何か有りゃしません!」


「ま、まぁそうだけどよ......」



 カチャ、カチャ、カチャ......


 血に飢えたハンター達は、そんな『火柱』には目もくれず、遂に各々の銃口を獲物に向け始めていく。



 こいつはマジで不味いぞ......


 目の前には、銃口の垣根が立ちはだかってるし、背後は背後で瓦礫が『火柱』を立ち上げてる。


 あらら......手榴弾もう使い果たしてるじゃん! 真っ向から銃で応戦するには、あまりに敵が多過ぎるわ......


 そうこう苦り切っているうちにも、ゾロゾロゾロ......更なる足音が続々と近付いて来ている。


 こいつはどう贔屓目に試算しても、


 勝機は無いな......


 残念だけど、


 終わった!


 自らの視点を第三者に置き換え、冷静な目を持って戦況を推し量ったポール。


 そんな追い詰められた孤独の士は、更なる思考変換を成し遂げていく。起・承・転・結......


 かくなる上は、


 ............


 ............


 1人でも多く道連れにしてやる!



 今度こそ、本気で、本気で、本気で、本気で、『玉砕』を覚悟するポール。髪の毛は逆毛立ち、それまで蒼白かったイケメン面も、見事真っ赤に染まっていく。


 ここを『死地』と決めたポールに、一切の迷いは無かった。


 やがて、内出血する程の握力を持って、腰に隠したトカレフを握り締めると、いよいよファイナルカウントダウンが開始されていく。


 そんなポールの気迫に、風神が刺激されたのだろうか?


 ヒュルルルル......


 バザバサバサッ......


 更なる強風が吹き荒れ始めていく。


 気付けば、天に突き出た火柱が、いつしか『龍』に姿を変え、縦横無尽に夜空を駆け巡っているでは無いか!


 そして遂に、


 その時が訪れたようだ。


 素早く腰から銃を引き抜くと、2つの細い目をクワッ! と見開き、そして引導を渡した!


「死ネッ!」


 ポールがそんな魂の呪文を唱えると、


 驚く無かれ!


『天変地異』が巻き起こったのである。


 夜空を飛び交う『火龍』は神風に乗り、一気にハンター達へと襲い掛かって行ったでは無いか!


 ブウォ~ン!!!


 ブウォ~ン!!!


 ブウォ~ン!!!


 不気味な音を立ち上げながら、『炎』は一気にハンター達を包み込んでいく。


 それはそれは......想像を絶する程の激しい火力だ。瓦礫に引火した火が風で煽られて巻き起こるレベルの話じゃ無かった。


 とぐろを巻き、縦横無尽に飛び交う炎の姿は、正に『火龍』。


 牙を剥き罪人を食い千切る地獄の使者とでも言えば、表現としてそれが最も近いのかも知れない。



「うわぁ、火に呑み込まれるぞ!」


「にっ、逃げろ!」


 一方、銃を投げ捨て、頭を抱えながら逃げ惑うハンター達。髪の毛は焦げ果て、尻に引火したハンター達は数知れず。いつの間にやら大混乱が巻き起こっていた。


 しかし『火龍』は、決して血に飢えたハンター達を許しはしない。


 ブウォ~ン!!!


 ブウォ~ン!!!


 ブウォ~ン!!!


 ............


 ............


 ............


 気付けば辺りは一面焼け野原。投げ捨てられた銃と、焼け焦げた衣服が数枚落ちているだけだった。


 あれだけ大勢屯していたハンター達の姿も、いつの間にやら1人も見えなくなっている。


 残っている者が居るとすれば、それはポールと『その者』だけだったのである。


 バチバチと残り火が不気味な音を立ち上げる中、なぜか辺り一面、ガソリンの臭いが充満している。


 その理由は他でも無かった。



「またアナタに......助けられマシタネ」


「............」


「アリガトウ......取り敢えず、お礼ダケハ言わせておいてクダサイ」


「............」


 一体、誰に話し掛けていると言うのだ?


 ポールは、額に浮かび上がった汗を拭いながら、更に言葉を続けていく。


「ここニハ、僕の大事な人がもう1人来てイマス。そのお方の......安否をアナタは知ってイマスカ?」


 するとここで漸くその者が口を開いた。


「まずは付いて来いや......話はそれからだ」


 言葉は至ってシンプルだ。元々言葉少なき人物なのかも知れない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ