表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/96

第7話 ゴンドラ

 やがて真下のゴンドラからは、性懲りも無く『銃撃』と言うワンパターン攻撃を仕掛けて来てる。


 キーン!


 コーン!


 カーン!


 幸いにもゴンドラの底だけは頑丈に出来ているようだ。分厚い鉄板が降り注ぐ銃弾を弾き返してくれた。


 一見、全く無意味としか思えないそんな敵の攻撃ではあったのだが......


「こいつは困ったぞ」


 なぜかエマは顔をしかめてた。眉毛がへの字になってる。


 なぜなら、ここから先は下り。今度は敵が頭の上に来ることになるから。


 窓ガラスは割れまくってるし、いつの間にやら、


 ビュ~!


 あらら、風で屋根が吹っ飛んじまった!丸裸じゃん......上から撃ちまくられたら終わりだって!


 さて......


 どうしたものか?



 ガタゴト、ガタゴト......観覧車の動きは、思いの外ゆっくりだった。かと言って、悠長に考えている暇など無い。


 今、正にゴンドラは頂上を越えたところ。間も無くスナイパーを乗せたゴンドラと並列になり、その次には上下逆転現象が巻き起こる。


 決断しなければならなかった。この後、頭上から吹き荒れて来る銃弾から身を守る方法を。


 やっぱ......


 やるっきゃ無いか!


 どうやら、エマは決心を固めたようだ。それまでじっと握っていた銃を口に咥え、自由となった両の手で錆び付いた窓枠を握り締めた。


 一体何をするつもりなのだろうか?


 まさか......


 ダイブッ?!



 繰り返しになるが、ここは正に地上100メートルの世界。奇跡でも起きない限り、無傷で地上に着地する事など有り得ない。


 仮に奇跡が巻き起こったとしても、地上ではハンター達がよだれを流してエマを待ち受けている。


 そんな危機的状況に追い込まれているにも関わらず、なぜだかエマの顔に焦りの表情は無かった。



 後は神任せ......


 煮るなり焼くなり、好きにするがいいさ......


 よしっ、思い立ったが吉日。


 さぁ、行ってみよう!


 そして、


 バサッ! エマは風と共に、ゴンドラから勢いよく立ち去って行ったのでした。


 行ったって......どこへ?


 ???


 ???



 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 そんなエマに対し、今にもマウントポジションに立とうとしていた次なるゴンドラの面々はと言うと......


「上には自分等が居やすし、下じゃあ後発隊が待ち受けてる訳っすから、もう逃げ道無しって事っすよね大将!」


「早まってまた落ちたりしたら大変っす! ここは大人しく下に着くまで待つに限るっしょ。ねっ、大将!」


「ううう......あんまり動くの止めましょうよ。ああ......ゴンドラが揺れてる......落ちる......落ちる」


「バカもんっ! なに日和ってるんだ?! ここで何にもしなかったら後発隊にバカにされんだろ!」


 1人熱り立つ『大将』は、シャガリ声を更にシャガらせて、たまたま一番手前に居た部下を力任せに突き飛ばした。


 ドスンッ! グラグラグラ......


「うわぁ、ゴンドラが落ちるっ! 落ちるっ!」


 高所恐怖症なるその者は、いよいよ色を失い別の部下の太ももにしがみ付くと、


「キッ、キモいなっ! 触るな!」


 ガクンッ!


「おっと、ボルトが飛んだ!」


「暴れれるとマジでヤバい!」


「落ちたらシャレにならんぞ!」


 そんな経緯で、急に大人しくなる4人の敵方様ご一行だった。



 実際のところ......


 ゴンドラはどこの箇所も錆び付いていて、見るからに頼りない。更に風は強さを増していき、じっとしてても揺れが止まらない。


 こんなドンチャン騒ぎを続けてたら、下へ着く前に落下すること間違い無しだ。


「暫くは大人しくしておこう」


 漸く状況を飲み込んだのだろう。『大将』はしゅんとして体育座りを始めた。実に懸命な判断だったと言えよう。すると、


「大将......」


 高所恐怖症部下が、珍しく自ら声を発すると、


「煩い! 話し掛けるな! ゴンドラが落ちるだろ」


 話しただけでゴンドラが落ちるか!


 などと心の中では思っていても、気弱な部下達が言い返せる訳も無い。すると果敢にも高所恐怖症部下は、


「あのう......大将」


 再び声を掛けてみる。


「だから何なんだよっ!」


「下のゴンドラの屋根が......無くなってます」


「なっ、なんだって?!」


 慌てて大将が立ち上がると、


 ガクンッ!


「またボルトが吹っ飛びました」


「おっとっと......いかんいかん」


 大将は抜き足、差し足、忍び足でゴンドラの端まで辿り着くと、恐る恐る顔を出してみる。すると、


「よしっ、攻撃の準備だ」


 急転直下、そんな勅命を下したのである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ