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第31話 八方塞がり

「どうだ? お前達の仕出かした失敗がいかに大きなものだったか痛感しただろう。でも今更そんな事を言っても始まらん。問題はこの後の行動だ。


 残念ながら、警察にも公安にも大勢のスパイが潜伏しやがる。俺が変装までしてここにやって来た理由も分かるだろう。俺達の行動は奴らに筒抜けって事だ。


 因みに、こんな大規模な仕掛けは、たかが帝工1企業だけで出来る技じゃ無い。裏にでっかい黒幕が居る事は明らかだ。


 現時点でこの難局を乗り切れる強者は、どう考えたってお前達しかいない。なんせ極東ロシアであの『ヴァローナ』を壊滅させたんだからな。


 まずは『マーメイド』が運ばれたであろう山岳地帯へ飛べ。それと丸の内の帝工本社ビルを徹底的に調べ上げ、奴らの陰謀を暴くんだ。


『マーメイド』の奪還、それと関与した全ての人間の逮捕。それが全て成し遂げられた時点で初めてお前達の濡れ衣が晴れる。


 つまり今回の事件に当たる事は、俺からの依頼じゃ無くて、お前達が自分達の為に勝手にやるって事だ。だからギャラは一切出んぞ。よし、分かったな! じゃあ俺は引き上げるとしよう。健闘を祈る!」


 バサッ、ツカツカツカ......


 言いたい事を全て言い終えると、山上局長はあっさりと圭一の『家』から立ち去って行った。


 言いたい事を言い切って、言われたく無い事を言わせないで消えていく離れ業は、きっと公安局長のテクニックなのだろう。さすが! としか言いようが無い。



 一方、後に取り残された5人の『盗人集団?』はと言うと、何となくしらけムードと言うか、虚無感の塊と言うか......


「一体俺達にどうしろって言うんだ?」


「まともに外モ歩けないってイウノニ......」


「まぁ、八方塞がりって事ね。フッ、フッ、フッ......」


 実際に八方塞がりだった事は言うまでも無い。


 帝工がつるんでいる組織の情報も無ければ、『マーメイド』を売り飛ばそうとしているマフィアの情報も皆無。


 分かっている事が有るとすれば、群馬と新潟の県境に『マーメイド』が運ばれて行ったと言う事くらいだ。しかも自分等の顔は今や世間に広まり切っている。


 この状況を八方塞がりと言わずして、他に何と言うのだろうか?


 誰もが頭を垂れ、よもすればヤケっぱちなり掛けたその時の事だった。



「よし、それじゃあ事件解決の為の手順を話すぞ」


 予想を覆し、エマがポジティブな発言を繰り出した。


「えっ、手順?」


「マ、マジっすカ?」


「さすがエマさんね!」


「な~にこんなの簡単さ。まずはあたしとポールが、こうしてああしてと......そんでもって圭一と美緒が、こうしてああしてと......そんでそれが終わったらまたこうしてああしてと......


 以上! そんなプランで行ってみよう。どうだ? 簡単だろ。それじゃあ、宜しく!」


「「「ラ、ラジャー!」」」



 正直なところ......


 現実は美緒が語ったように『八方塞がり』だった事は間違い無い。


 しかしエマが笑顔で『簡単』と言えば、何となく他の3人も簡単なのかと自然に笑顔が浮かび上がって来てしまう。それはまるで魔法のようだった。


 実はそんな魔法に掛かった者が、他にもう1人居たことも事実だったのである。



「そんであたしはどうしたらいいの?!」


 無意識のうちに、身を乗り出している摩耶だった。


「摩耶......お前は止めとけ」


「マスターの所デ大人しくしていてクダサイ」


「素人が来たって、足手まといになるだけよ」


 一方、そんな反応を示す圭一、美緒、ポール。それは至極当然な反応と言えた。ところが摩耶は、果敢に食い下がった。


「足手まといですって?! あたしは『マーメイド』の事を全て分かってるし、帝工本社ビルの細部まで知り尽くしてる。むしろあたし無しじゃ何も出来ないんじゃ無いの? まぁ、余計なお世話かも知れないですけどね!」


 すると、


「『マーメイド』か......」


「本社ビルか......」


「それも一理有るかもね......」


「わ、分かればいいのよ!」


 タッ、タッ、タッ......

 タッ、タッ、タッ......


 一気呵成に飛び出して行くエマ、ポール、美緒、摩耶の4人。そしてダンボールハウスをもはや用済みと、たたみ始める圭一だった。


 ギリギリのところで、『マーメイド』を奪われてしまった面々......


 しかし、7回転んで80回起き上がる強者揃い。『EMA探偵事務所』の辞書に『泣き寝入り』と言う語句の記載は無かった。


 この日を持って、エマ達4名は過去最強の『敵』に戦いを挑む事となる。そしてその『敵』とは正に『見えぬ敵』だった。


 エマ達が戦おうとしている相手は、マフィアなのか、国家なのか、はたまた世界なのか?


 その答えを知る時が来るとすれば、それはきっとこれから始まる壮大なバトルが終演を迎える時なのだろう。


 ただ間違いなく言える事は、エマ達の敗北が人類の滅亡に直結すると言う事。


 今はただ祈ろう......


 エマ達の命運が尽きぬ事を。人類の未来の為に。



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