第14話 結界
「それにシテモ......よく白衣ナンテ持って来てましたネ」
「あたし達がこれから潜入しようとしてるのは研究所やさかいな。備え有れば憂い無しってとこやろ」
「ソレはそうと......【ゲオルギー】って一体誰なんデスカ? その名前出した途端、なんかドローンが怯んだヨウニ見えましたガ」
「ゲオルギーはヴェロニカの残虐な重臣だ。殺すのが趣味って飛んでも無い奴らしい。今ここに来てるってもっぱらの噂だ。まぁ、一か八かだったけど結果オーライってことだわな」
「さすか凛サン! モウ自分は兜を脱ぎましたヨ」
「そんなことよりだな......」
「ここからデスネ」
「そうだ。うちらはまだスタート地点にすら立っちゃいない。この程度のことで勝ったつもりでいたら、ここから生きて帰ることなんか夢のまた夢や。まぁ精々気張っていこうや!」
「その通りデス! 行きまショウ!」
実はこの時......
ポールはこんなことを考えてたりもした。
この人が敵じゃ無くて良かった!
まぁ、そんな感じだ。
濁流に崖から落とされそうになった時の身のこなし方は、決してエマさんに劣るものじゃ無かったし......
自分が崖に落ちそうになった時も、ロープで支えてくれたあの時のパワーは圭一さんといい勝負だったし......
更にドローンの人工頭脳を欺いた彼女の知謀は、正に美緒さんそのものだった。
そんな訳で、今ポールは何となく無傷で帰還出来るような気がしてる。
その理由は他でも無い。凛の影に頼もしき3人の姿が見え隠れしてたから。
4人揃えば恐いもの無し! きっとそんなテロップが頭の中に流れてたんだろう。何となく分かるような気がする......
やがて、
そんな飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進する2人の前に新たなステップが訪れた。
「よし、そこの扉を開けるぞ。下がってろ」
それは排水路で始めて見る造作だ。
「リョウカイ。爆破デスカ?」
「鍵が掛かってるんや。それ以外に方法はあるんか? そこに愛はあるんか? 何てな」
そして、
ドッカーン!
扉を開けてみれば、そこにはなんと!
「エレベーターや! ビンゴだ!」
そんな感じで、新たなステップが訪れた訳だ。
乗ったら最後、
降りる降りる......とにかく降りる。
そんな頼もしきエレベーターは、あっと言う間に2人を1000メートル下の世界へと誘ってくれた。
そしてこの炭鉱跡における物語は、いよいよ核心へと向かって突き進んで行ったのでした。くらばら、くわばら......
※ ※ ※ ※ ※ ※
その一方、2人が向かった下の世界はどうなってたのかと言うと、
「な、な、なんだって?! ドローンが何もしないて帰って来たって言うのか?!」
「は、はい。どうにもこうにも......いかんともしがたい状況でございまして......」
「そ、それで、奴らは一体どこに向かってるんだ?!」
「は、はい。どうにもこうにも......いかんともしがたい状況でございまして......」
「ばかもん! 2回も同じ逃げ方するな! どこに向かったかと聞いてるんだ!」
「では......言ってしまいます。驚かないで下さい。なんと、エレベーターに乗っちゃいました! 間も無くこの【COLONY】にやって来るものと思われます。イヤイヤイヤ......」
「ダ、ダ、ダ、ダメだ! ぜ、絶対に入れちゃいかん! 【コロニー】だけは絶対にダメだ! 何とかならんのか?! ハァ、ハァ、ハァ......」
現実を目の当たりにすることとなり、ショックを隠せない。所長は興奮が頂点に達し、今や酸欠状態に陥ってた。すると、
「見てられんなぁ......もう君らには任せてられん。あとはうちらで対応するぞ。君らは日向ぼっこでもしてろ。それと......この件はcoyote様に報告するからな」
自称ヴェロニカの重臣たるゲオルギーは、呆れた顔してそんな言葉を吐き捨てた。もらや彼等が言うところのここ【コロニー】の運命は、彼等だけのものじゃ済まされなくなってたのだろう。




