最終話
視界が青から白に変わる。足元に、チクリと痛みが走った。足を振り払う。何かに当たった。
光の玉。太陽だった。下を向く。怯えたクレチア兵が多数いた。
「殺せ、殺せ!」
一番後ろにいる男が叫んでいる。数十本の矢が飛んできた。手で振り払う。手の甲に当たる前に、風圧で散
らばっていく。
また足がチクりと痛む。重装兵が、斧で叩いている。見たことのない足だった。灰色の皮膚。長い爪。自分の足だとようやく気づいた。
重装兵は、すぐに逃げた。手を見る。足と同じように、灰色の皮膚だった。手の甲にまで、綺麗に毛が生えている。
「魔王だ」
誰かが言った。頭の中で、炎のイメージが浮かび上がる。オルスは大きく息を吸った。肺が熱くなる。地面に向かって一気に吹いた。
口から、炎を吹き出す。周囲からいくつもの悲鳴が聞こえた。吹き終わる。目の前に、最後まで叫んでいた姿の灰になった、人間達がいた。
オルスは踏ん張った。そして跳躍する。地下室を突き抜け、一気に世界が見渡せた。
山間、麦畑、川。ずっと空中にとどまっている事に気がついた。背中に違和感がある。後ろを見ると、羽根が生えていた。
オルスは体を横にし、遠くに見える城に向かって、加速していく。周りの風景がぼやけていく。だが、あの城だけは、ハッキリと見えていた。
城門の前に着地した。兵士が怯えている。何かを叫んでいる。
「国王はどこだ!」
オルスは叫んだ。城を睨む。二階のテラスに、人影が動いた。そこへ跳んでいく。国王、王女、赤子がいた。
「魔王だ」
国王が叫んでいる。オルスは赤子を掴もうとした。その時、右手に激痛が走る。振り払う。何かに当たる感触がない。
一人の兵士が宙返りをし、すぐにロングソードで構えた。オルスは大きく息を吸った。
「キャノンボール!」
口元に衝撃が来た。そこには、緑のローブを着ている青年。杖を持っていた。オルスは攻撃をやめ、対峙した。
「国王、二人と共に逃げてください。ウラヌス、仲間は呼んだか!」
「ああ」
青年の兵士と魔法使いは、オルスに怯えず、じっと睨んでいる。間合いを計っている。オルスは手の平に、爪痕が残るほど、固く握っていた。
咆吼した。オルスが動いた。手の平から、青い光が産まれる。兵士に投げつけた。だが、紙一重で避けた。
「ウォーターウォール」
目の前に、滝のような大量の水が落ちてきた。振り払う。ふくらはぎに激痛が走った。
オルスは体を反転する。もう一度、赤子に手を伸ばす。視界の隅で、国王が王女を突き飛ばしたのが見えた。伸ばした先に、涙を流し、怯えた女が現れた。
オルスは掴んだ。そして、外に向かって飛んだ。
羽根を広げ、振り返った。国王が睨んでいる。兵士が、宙に浮いているオルスに、槍を投げようとした。魔法使いも、唱えている。
「ハッシュ、ウラヌス。やめろ。あの女はくれてやれ。後で助ければ良い」
掴んでいる王女は、なんども国王の名前を叫んでいる。
「私に救いを求める者達と一緒に、お前の国を滅ぼす。お前達が生き続ける限り、私は死なない。詫び続けない限り、私達は倒せない!」
オルスは三人に向かって叫んだ。そして、魔王城に向かって飛んでいった。
以上で、この物語は終わりになります。
二ヶ月間、観ていただき、ありがとうございました。
はじめてのなろう投稿、色々と良い経験をさせていただきました。
さて、もしかしたら、お気づきの方もいるかもしれません。
名前で、「あれ?」と思った方。素晴らしい!!
そう、知る人ぞ知るRPGが元ネタになっているんです。
私が「過去、最高のRPGと言ったら?」となると、この作品をあげるでしょう。
今年、その作品がリメイクされます。一度、体験をしてみてください。
それでは、さようなら。




