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ツイン’ズ  作者: 秋月瑛
10/13

第10話 直樹VSナオキ

 某○○学園高等部……今は跡地だったりする。跡地にしてしまったのは私だ。……ふっ飛ばす気はなかったんだ、ふっ飛ばす気は……ね。不可抗力ってやつだ。

 あの日の深夜私はタロウくん3号の試運転をしていた。そしてあいつに出くわしてしまった――。


 この辺でタロウくん3号の試運転をできる広い敷地と言えば学校か愛の家だろう。そこで私は妖狐先生とともに学校へと向かった。

「ここでなら思う存分試運転ができる……ってなんでおまえがいるんだ!?」

「……それはこっちの……セリフ」

 学校に着いた途端になぜこいつがいる。なぜこいつはグランドの中心にいるんだ!?

「……星が……見たかった……ただそれだけ」

 そう言われてしまったら何もそれ以上は言えない……言ってもいけない、触れてはいけない。

「直樹くんこそ……玉藻先生と……デート?」

「あらん、たしかに若い子は好きだけど……」

「……その気[ケ]は……なぃ」

 宙の右手にはめられた人形が前に突き出された。

「オマエは直樹じゃないな! オマエは誰ダ!!」

 ……鋭い。

「ナオキちゃん、秘密を知っている者は生かしてはおけないというのは鉄則よぉん」

「どーゆーこと?」

「つまり……」

 妖狐先生はタロウくん3号に取り付けられている赤くて丸いボタンをぽちっと押した。

 ――何も起こらない。――何も起こらない。――何も起こらない。――発射された!!

 タロウくん3号に取り付けられたロケットパンチが宙に向かって発射された。

「!?」

 このマッドサイエンティストがっ!! 宙に宣戦布告するなんて普通じゃない……だからマッドなのか。

 眼前に迫るロケットパンチに全く動じない宙。彼女はこう呟いた。

「綺麗な星が……見れるかも(死)」

 ロケットパンチの軌道が宙をまるで避けるように変わり学校へと突っ込んだ。爆発炎上する学校……綺麗なお星様みたいだぁ〜。

 次の瞬間には私と妖狐先生は必死こいて逃げていた――。


「そんなことが昨日の深夜3時ごろにあった」

「昨日の3時だと!?」

 危なかった。実に危なかった。俺があの学校を出たのはだいたい1時半ごろだぞ。ヘタしたら学校と共に心中してたかもしれん。

 ……待てよ。学校を壊したのって……宙なのか? 宙は明らかに狙って学校にロケットパンチの軌道を変えてるだろ。計画的犯行だ!!

「つまりタロウくん3号をここに持って来たのは私だ、それは認める。だが、ロケットパンチのスイッチを押したのは妖狐先生だし、学校を消滅させたのは宙だ。このことから導き出せる結論は私は悪くないだ!」

「それはわかったがおまえが何が言いたいのかが見えてこない」

「つまりだ。宙こそが諸悪の根源、絶対超悪だ!!」

「……意味がわからん」

 全くもって意味がわからん。さっきっからコイツは何が言いたいんだ。

「一緒に宙を倒して世界を救おうではないか!」

「はっ!?」

 何をいきなり、唐突な!? 宙を敵に回すなんて一般高校生がしていいわけがない。その行動は人間として間違っている!!

「いきなり何言うんだよ。宙を敵に回すなんて馬鹿げてるぞ!」

「そうか……交渉決裂だな」

 アルテミスの腰に装着してあった弓が構えられ、鋭い矢先が俺に向けられた。

「は〜ははははっナオキ♂、そーゆーわけで今日こそ決着をつけてやる!!」

 弓矢が放たれ風を切る。

「どーゆーわけだよ!!」

 ブースターを全快にして空に飛び上がり矢の攻撃を避けると俺は攻撃に取り掛かろうとした。がしかし、俺の目の前にはアルテミスが瞬時に回りこんでいた。

「このアルテミスをタロウくんシリーズと比べてもらっては困る。ザ○とは違うのだよ、ザ○とは!!」

「最後のセリフは意味わかんねぇ〜ぞ」

 ありゃ、ガン○ムのセリフだろがーが。正確に言うと第12話『ジオンの脅威』でランバ・ラルがハワイ付近にてガン○ムに言ったセリフだ。

「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差でないことを……教えてやる!」

「それもガンダ……!!」

 巨大な矢の脅威が俺に襲い掛かる。紙一重で、時には海老反り、時にはマト○ックスのポーズ(どっちもいっしょやんけ)で避ける俺。

 全ての矢を奇跡的に避けた俺は体制を整えようとするがそこにアルテミスの容赦ないかかと落しが脳天に炸裂!! そのまま俺は上空15メートルから地面に叩きつけられてしまった。

「……このスーツを着てなかったら死んでたな」

「自由落下という奴は、言葉でいう程、自由ではないのでな(byシャ○)」

「そのセリフの使いどころ間違ってるし、自由じゃなくってオマエが叩き落としたんだろうが!!」

 俺のセリフをあざ笑うかのように俺’は口の両端を少し上げ言い放った。

「戦いとは、いつも二手、三手先を考えて行うものだ(byシャ○)」

 アルテミスの矢が俺に照準を合わせている。クソっ! こーなりゃー一か八かだ!! ちなみの俺は一か八かが好きだ!!

 捨て身の覚悟で相手にドロップキックを仕掛ける俺だったのだが!?

「甘いな(byシャ○)」

 の一言と同時に放たれたアルテミスの熱い張り手が俺の頬に喰い込む。……くっ、力の差は歴然だったか。こんな大きさの違いは反則だ! こんなヤツに勝てるか!!

「もげーっ!!」

 張り手を喰らった俺の意識が遥か彼方へと飛ばされてしまった――。

 人はよく言う、人間死の直前に人生を走馬灯のように見ると……。俺も見た。それも2度目だ。

 これもまた人はよく言う、人間死にそうになって意識を失っているとき、三途の川とか見たりするって……たしかに前回は三途の川だった。だが今度は……?

「ナオガイガーV立つのじゃ、立つのじゃナオガイガーV」

「ううん……」

 俺が目覚めるとそこには見知らぬじいさんが立っていた。

「立ち上がるのだナオガイガ―Vよ」

「あ、あなたはにょぷー仙人!?」

 俺の前に突如現れた老人はかの偉大なるもにゃった仙人だった。しかし、このお方がなぜ俺の前に……?

「HO〜HOHOHOHO、いかにもわしはさるまた仙人じゃ」

「どうしてあなた様が?」

「ナオガイガーVよ、今こそ星川博士の言葉を思い出すのじゃ」

「星川博士の……言葉……そうか、わかったぞ。ありがとうございました、にゅにゅにょ仙人!」

「HO〜HOHOHOHO」

 ――むにゅ仙人の姿は霧のように空間に溶けて消えてしまった。

「――はっ!?」

 俺は死の淵から目覚めた。……今のは夢か幻か……どうやら俺は一時的にイッてしまっていたらしい。

 星川の言葉か……しっかり受け止めたぜおやっさん!!

「俺’戦いはこれからだ!」

「は〜ははははっ、どこからでもかかってくるがいい!!」

「星川の作ったこのパワードスーツの実力を見せてやる!」

「みせて貰おうか、星川のパワードスーツの性能とやらを!」

 そのセリフも赤い彗星のパクリじゃん!!

 なんて思っているのも束の間、アルテミスは矢の切れてしまった弓から剣へと武器を持ち替えて俺に挑んできた。いい度胸だ、返り討ちにしてやる!

 俺はベルトに付けられたボタンを押した!

 ナオガイガーVからナオガイガーXに変身だ。ナオガイガーXは戦闘タイプで俺の身体に取り付けられていたパーツが鎧のように俺の身体全身を包み込み、右手には砲弾発射装置へと変化した。砲弾発射装置ってロック○スターに似ている。

 アルテミスの剣が俺の頭上に下ろされようとしていた。だが、今の俺はさっきまでの俺とは違う。ナオガイガーXの移動速度はマッハ1、こんな剣じゃ俺は切れないぜ!

 剣を避けた俺はすぐさまロック○スターをアルテミスへ向け砲弾を乱射する。

 砲弾は見事命中。煙を立てるアルテミス。

「き、昨日までのガン○ムとまるで違うぞ!」

「しつこいぞ!」

 俺は新たなボタンを押した。

「喰らえっ!!」

 ロック○スターから、強力な弾丸が飛び出すハズだったのだが……。実際に飛び出したのは万国旗とハト。俺はマジシャンか!?

 まずい、ボタンを間違った。説明書を読まなくては!

「それがキサマの実力か!!」

「ち、違う。これは運命のイタズラだ」

 剣はまたも俺に振り下ろされるが、それは難なく避けることができた。がしかし!! 人生そんなに甘く出来てはいなかった。完璧に避けたつもりが説明書を斬られた! Oh My God!

「何すんだ、大事な説明書だったんだぞ!」

「そんなこと知るか!」

 知るかなんって言われたら身も蓋ないだろーが。

「くそぉ〜っ」

 どうしたらいいんだ。俺はどうしたらいいんだ、教えてくれおやっさん!

 ……こーゆー時はあれだ。逃げるが勝ち。

「俺’アレを見ろ!」

 俺は上空を指差し俺’が気を取られた瞬間に逃げる作戦を実行した。

「何? 何かあるのか?」

 上を見上げる俺’――今だ!!

 マッハ1で逃走を謀る俺。だが、作戦は失敗に終わった。

「は〜ははははっ直樹♂、オマエの考えることなどお見通しだ!」

「……くっ」

 俺の前に立ちはだかる壁――アルテミスが俺を見下げている。作戦はバレバレだったのだ。

 窮地追いやられた俺はロック○スターを乱射した。

「撃つべし撃つべし撃つべし!!」

「見えるぞ! 私にも敵が見える!」

 ……くっ、もうダメだ。俺の頭上には今度こそ時空をも切り裂きそうな断○剣が振り下ろされようとしていた。最期くらいは俺だって名(迷?)セリフを……。

「ジ○ン公国に栄光あれ!」

 ……何も起こらない?

「!?」

 俺が目を開け見たものとは!!

「愛っ!?」

 そこには真剣を手にしてアルテミスの一刀を受け止めている愛の姿が!? なぜ愛が俺を!?

 鋭い目つきでアルテミスを見据えながら愛は俺にこう言った。

「直樹、おまえは世界についてどう思う?」

「は? なんだよいきなり?」

「世界はおまえを特別な存在へと……世界は本来、一人一人に与えられているのが原則だ。だが今のナオキは二人だ。君は好きな道を選ぶといい。しかし、自分の人生の選択権は自分に無いことが多い」

「意味がわからん」

「今は逃げろ。だが次に会う時は敵としてだ」

 風をなびき愛の美しい黒髪をふわりと持ち上げる。薔薇の芳しい香が辺りに立ち込めた。

 少し頭がクラクラする。俺はなぜだかわからないが愛の言うとおりに逃げようとしてしまった。

「サンキュー愛」

 俺はそう言い残すとこの場を後にした。……するわけないだろ!!

 俺はロック○スターでアルテミスを攻撃し、奴がよろめいた隙を狙って今度は愛に向かって星川からもらった銃を撃った。

 愛は気を失い倒れそうになる。俺はすぐさま愛を抱きかかえた。

「直樹♂よくもやってくれたな! 横からの攻撃は卑怯だぞ!」

「実戦において卑怯もなにもない、最後に立ってた方が勝ちだ。って言ったのおまえだろーが」

「それはさっきまでだ」

 俺に似ていい加減な奴だ。

 それよりもだ。愛を抱きかかえたまま戦うのは不可能だ。愛をどこかに……愛の寝姿って可愛いなぁ〜……じゃなかった。愛をどこか安全なところに……。

「ど〜なってんのこれは!!」

 俺がよからぬ妄想に歯止めをかけるかのごとく、女の子の叫び声が!!

 俺と俺’はその声のした方向を驚き顔(まぬけ顔)をしながら向いた。

「まったくあっちの世界から帰って来たと思ったらなんで学校が無いのよ!」

 唖然とした表情をしてしまった俺&俺’。

 俺らの目線の先にいる女の子はうちの制服を着ていた。金髪のツインテールの美少女……あっ思い出した。伝説の『アリスの左』の持ち主の鏡野[カガミノアリス]アリスか!?

 ちまたで有名な『アリスの左』という強烈なキックを持つツインテールの名前は鏡野アリス。1年の中でもかなりの美少女だ。だけどたしか彼女は数日前から行方不明になっていたハズ……?

 俺とアリスの視線が合った。

「直樹先輩? きゃ〜直樹先輩じゃないですかぁ〜……でも何ですかその変な格好は?」

「その件には触れないでくれ」

 そん時俺の頭にビビっとある名案が浮かんだ。俺って天才!

「鏡野さん、会長を頼む」

 俺はアリスに駆け寄り愛を預けようとした。

「え!? 愛さま?」

「説明は今度するから会長を連れて逃げてくれる」

「じゃあ今度デートしてくれるってことで」

「考えては置く」

「は〜ははははっ隙ありだぞ直樹♂」

 必死に俺が大事な交渉をしている最中に俺’は攻撃をしかけてきた。

「卑怯だぞ俺’」

「実戦に置いて卑怯などあるか」

「言ってることを統一しやがれ!」

 襲い掛かる剣を華麗且つ優雅に避けると、俺はその剣に乗り足場として上へと駆け上がった。

 アルテミスへ急接近した俺は全出力でロック○スターを打ち込んでやった。

 奇怪な音と火柱を立てるアルテミス初号機。

「直樹♂、今回は見逃してやるが今度は負けないからなぁ〜!」

 脱出ポットをアルテミスの機体から上空高くへと打ち上げられた。それと同時に爆発炎上するアルテミス。

「逃がすか俺’」

 ブースターをオンにして俺は俺’を追った。

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