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第六話~友愛編~「幸福」

数十分王宮の中をさまよい続け、やっとのことで講義室へ辿りついた。大学の教室を貸し切ったような、無駄に広い部屋だ。

オリヴィアの授業は非常にわかりやすく、流石国一番の秀才さんといったことろだった。

この初めての授業は、この国に関する基礎的な知識を要約したものだった。

今回得た知識は、これからこの国で生活していく上で追々必要になって来るのであろう。


授業も終わり、昼食も食べ終え、ふと時計を見る。

・・・まずい。

昨日の出来事を思い出す。

―――「じゃあ明日の正午、ここで待ってるね!」

そしてその時刻まで残り数分といったことろだった。

急いで制服に着替え、犬耳としっぽを着け、正門から坂を駆け下りていく。

そして息を切らしながら到着した昨日、約束をしたこの場所

…大正門通りの入り口、シャトー公園。

辺りを見回し、あの少女の姿を探す。…が、見当たらない。

「あれ?ここで合ってるよね…?」

暫くきょろきょろしていると、後ろからブレザーの裾をぐいぐいと

引っ張られる。

慌てて後ろを向くと、そこには昨日と変わらぬかわいらしい少女の姿があった。

「ロラちゃん!」

「お姉ちゃん、昨日ぶりだね!」

なんだろう、この無性に守ってあげたくなる感覚は。

これが母性というものなのだろうか…。


―――今日も彼女に街を案内してもらうと共に、私の洋服も一緒に選んで

もらった。やはり外出着が制服というのは気が引ける。

するとロラがお店の一角にあるアクセサリコーナーを指さした。

「お姉ちゃん、あのブレスレットお揃いでつけようよ!」

お揃い…そんなの、元の世界でもやったことなんてなかった。

そんなことができる友達なんて、いなかったから。

…でも今は、独りぼっちじゃない。

「うん、じゃあ私がロラちゃんの分も買ってあげるね!」

「本当!?ありがとうお姉ちゃん!」

この裏表のない純真無垢な輝いた目を見ているだけで、非常に幸せな気分になる。


 お揃いのブレスレットと、新しい洋服で膨れ上がった買い物袋を手に下げ、

今度は街角のカフェへと向かった。

テラス席に腰かけ、私の前にはコーヒー、ロラの前にはオレンジジュースが

置かれる。ウェルカムドリンクというやつだろう。

だが、ロラはその甘い飲み物を前に、どこか不服そうな顔をしている。

「ロラはコーヒーも飲めるのに…。」

この木組みと石畳のお洒落なカフェで、少し背伸びしたくなるのもよくわかる。

「シャンシャの女の人はおしとやかなのに…私、そんなに子どもに見えるかなぁ?」

そんなに悲しい顔をされると、なんだか焦る。

「だ、大丈夫だよ!私は小さくてかわいいロラちゃん大好きだし!」

「それ、フォローになってないよ…。」

空振った。

 彼女の言う"シャンシャ"というのは、"シャンシャ族"の事である。

このアムール王国には、前世…すなわち人間界で生存していた際の動物の種が

そのままこの世界でも引き継がれる。

そしてその数えきれない程の多様な動物の種を、この世界では四つの民族に

まとめたのである。その民族は、

イヌ科・ネコ科の動物を祖体とした民族であるシャンシャ族。

リス科などの齧歯目や、クマ科の動物を祖体とした民族であるラパン族。

トリ系の動物を祖体とした民族であるプーレ族。

馬、ラクダ、牛、アルパカなどを祖体とした民族であるシュヴァル族

の四つである。


カフェでおやつを食べながらロラと話している間に、もう夕方になっていた。

そして唐突に、ある重要な記憶が…私の重大な使命が頭を過った。

このロラという少女…いや、この私の初めての友達に

それを伝えるのは、間違った行為じゃないだろう。


「ロラちゃん、私ね、話さなければいけないことがあるの。」

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