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第19話 もう身代わりの査定官じゃない
身代わりの判子は、今日で終わりにする。
翌朝、局の審問会議が開かれた。行政医療課、救助隊、スポンサー企業、《白狼ストリーム》、三上、片瀬。私は一つずつ証拠を出していく。
偽装重傷の映像。
裏在庫。
消えたカルテの炭紙。
坂巻の領収書。
公開査定のロット照合。
片瀬の証言。
「深夜救護室と査定室は、スポンサー案件の見栄えのために重傷判定を盛り、高級回復薬と補償請求を流していました」
三上が立ち上がる。
「一部の現場混乱だ」
「ならこれは?」
灯がスクリーンへ映したのは、三上自身の入館履歴と裏在庫端末の操作記録だった。桐生が追い打ちをかける。
「先日の事故では、森崎の組んだ救護順で全員生還した。現場結果も出ている」
スポンサー企業の担当が顔を伏せ、《白狼ストリーム》の代表が青ざめる。逃げ場はもうない。
三上は最後に私を睨んだ。
「お前一人が正しいわけじゃない」
「ええ」
私は答えた。
「だから私は、誰が見ても同じ答えになる記録だけを持ってきました」
会議室は静まり返った。片瀬が涙をこぼし、行政医療課の課長が処分手続きを口にする。
私はそこで、ようやく肩の力を抜いた。
もう私は、誰かの都合で責任を被るだけの査定官じゃない。




