第16話 公開査定で崩れた嘘
公開の場で崩れる嘘は、音まで大きい。
局は信頼回復のため、週明けに『救護体制公開査定』を開くことになった。表向きは透明性の確保。実際は、問題はもう解消したと示したいだけだ。
私は桐生と灯の後押しで、査定説明役へ入った。三上の顔は露骨に歪んだが、先日の事故対応で結果を出した以上、完全に外せなかったのだろう。
会場には行政医療課、スポンサー企業、クラン関係者、一般探索者。薬棚が整然と並べられ、片瀬が柔らかい声で在庫管理の適正さを語る。
「こちらが現在のA級在庫です」
私はその箱を受け取った。
「では公開で、ロット照合を行います」
箱へ触れた瞬間、【精算】が走る。箱の中身は本物だが、外装ラベルの半分が貼り替えられている。私は番号を一つずつ読み上げた。
「この三本は、昨夜の事故で使用済み記録がある番号です」
会場がざわつく。
「あり得ません。なら昨夜の使用記録か、今ここにある現物のどちらかが偽物です」
灯がすかさずスクリーンへ昨夜の処置ログと裏在庫写真を映した。さらに坂巻の領収書、限定配信の切り抜き、空瓶映像。
片瀬が青ざめ、三上が何か言い訳しかけたそのとき、会場後方で見学者が転倒して額を切った。軽傷だが、片瀬が慌ててA級を取ろうとする。
「不要です」
私はB級と止血材を示した。
「この傷へA級は過剰です。今までこうやって、必要量以上を使ったことにしていたんですね」
会場は凍りついた。もう誰も『誤差』とは言えない。




