↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの一億円ゲーム〜この中に、主催者Xがいる〜  作者: こよみん
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/54

第1章 第33話「誰から受け取った?」

挿絵(By みてみん)


 DAY27。

 午前6時42分。

 第1回X投票まで、あと3日。

 俺は昨夜届いた個別メッセージを見つめていた。

『彼の説明を聞いたあと、もう1つだけ質問してください。』

『その封筒を、誰から受け取りましたか?』

 九条レイは今日、初日の拾得物について話すと約束している。

 差出人不明のメッセージが示した質問を、俺はノートに書き写した。

 ただし、これを正解として扱うつもりはない。

 匿名の言葉は、STORE Xで購入した情報とは違う。誰が、何のために送っているのかも分からないのだから。

 俺が確かめたいのは、レイ自身の言葉だった。

     ◇

 午前8時。

 食堂に入ると、いつもより会話が少なかった。

 レイはまだ来ていない。

 レンが俺の隣に座った。

レン:「今日、話すんだよな」

ユウキ:「うん。昨日、そう約束した」

レン:「じゃあ朝飯は食っとけ。空腹で推理すると、全部食べ物に見える」

ソウタ:「お前は満腹でもそうだろ」

レン:「俺への信頼が揺るぎない!」

 眼鏡をかけたソウタは、返事の代わりに味噌汁を飲んだ。

 向かいでは、シオンが昨日までの調査内容を整理していた。

シオン:「レイの話を聞く前に、確認できていることをそろえよう」

 俺は頷いた。

 初日の黒い封筒は、参加者13人のうち1人が島へ持ち込んだ。

 これは購入済みのINFO-001で確認された事実だ。

 レイが撮った写真には、発見前の封筒が西側通路の台に写っていた。

 同じ通路では、初日に拾得物が1件受け付けられている。

 ただし、拾得物が封筒だったかは未確認。

 そしてレイは、その内容を知っていると言った。

 ここまでは、全員が共有できる。

     ◇

 午前9時。

 レイが食堂へ入ってきた。

 彼は集まった顔ぶれを見渡し、静かに言った。

レイ:「昨日の約束を守りに来た」

 カイトが椅子を引いた。

カイト:「じゃあ、聞かせてくれ」

 レイは座らなかった。

レイ:「まず、昨日見つかった拾得物記録のことから話す」

 俺はノートを開いた。

レイ:「DAY1、西側通路で届けられた拾得物は、黒い封筒だった」

 食堂が静まり返る。

 リナがすぐに確認した。

リナ:「その内容を、どうやって知ったの?」

レイ:「僕が届けたから」

 俺は顔を上げた。

ユウキ:「……レイが?」

レイ:「うん」

 レイは頷いた。

レイ:「西側通路の台に置かれていた封筒を見つけて、施設の受付に持っていった」

 俺は昨日までの写真を思い出した。

 台の上の黒い封筒。

 そのあとに記録された、拾得物の受付。

 初めて、2つがつながった。

     ◇

 午前9時15分。

 シオンが静かに質問した。

シオン:「レイが撮影した写真は、拾う前に撮ったもの?」

レイ:「そう。通路を撮ったときには、封筒だと意識してなかった。あとから台の上に気づいて、近づいて確認した」

ヒナ:「写真を撮ったあと、封筒を拾ったんだね」

レイ:「うん」

ソウタ:「拾得物として届けた記録は、本人なら確認できるのか?」

レイ:「受付時に控えが発行された。今も持ってる」

 レイは端末を操作し、画面を俺たちに向けた。

『DAY1 拾得物受付控え』

『拾得場所:中央施設・西側通路』

『品目:黒色封筒 1点』

『届出者:九条レイ』

 俺は画面を見つめた。

 少なくとも、レイが封筒を届けたという説明には、記録の裏付けがあった。

 ただし、控えが示すのは受付時の行動だ。

 島へ持ち込んだ人物までは分からない。

     ◇

 午前9時30分。

 カイトが腕を組んだ。

カイト:「だったら、なんで最初から言わなかった?」

 レイは目をそらさなかった。

レイ:「届けたとき、受付の人に確認されたんだ。『どこで見つけたか』『誰かが置くところを見たか』って」

ユウキ:「それで?」

レイ:「置くところは見てない、と答えた。そのあと、封筒は確認のために預かると言われた」

 レイは少し間を置いた。

レイ:「でも、みんなの前に現れた封筒が、僕の届けたものと同じだと分かったのは、あとからだった」

 ソウタが首を傾ける。

ソウタ:「拾得物の封筒は、受付で預かったんだろう? それがなぜ、みんなの前に現れた?」

レイ:「分からない」

 レイの声が低くなる。

レイ:「僕も、そこを確認したかった」

 俺は息をのんだ。

 台から受付へ。

 その先の移動が、まだ空白だった。

     ◇

 午前10時。

 俺は、昨夜のメッセージに書かれていた質問を思い出した。

『その封筒を、誰から受け取りましたか?』

 レイは台から拾ったと説明した。

 ならば、質問の前提は違うのかもしれない。

 それでも、聞く価値はある。

ユウキ:「レイ。封筒を拾う前に、誰かから受け取ったことはある?」

レイ:「ないよ」

 即答だった。

 俺は続けた。

ユウキ:「じゃあ、受付で預けたあと、誰かから返してもらった?」

 レイの表情が変わった。

 ほんのわずかに、眉が動く。

レイ:「……ある」

 俺は息を止めた。

ユウキ:「誰から?」

 レイは端末の受付控えを見た。

レイ:「受付の人から。確認が終わったから、指定された場所へ運んでほしいって」

 食堂がざわついた。

カイト:「待て。お前、封筒を運んだのか?」

レイ:「うん」

 レイは静かに頷いた。

レイ:「僕が運んだ」

     ◇

 午前10時15分。

 俺はノートを見つめた。

 レイは封筒を拾った。

 受付に届けた。

 そして、返された封筒を運んだ。

 彼が回答を保留していた『運んだか』という質問に、ようやく答えが出た。

 だが、これだけではXとは言えない。

シオン:「どこへ運ぶように言われたの?」

レイ:「中央施設の案内室。そこに置くよう指示された」

リナ:「その指示は、端末に残ってる?」

レイ:「残ってる」

 レイが表示した通知には、受付番号と搬送先が記されていた。

『確認済み拾得物の搬送依頼』

『搬送先:中央施設・案内室』

 俺たちが黒い封筒を確認したのは、その案内室だった。

 これで、封筒の移動経路がつながった。

 西側通路の台。

 拾得物受付。

 案内室。

 そのうち、後半を運んだのはレイだった。

     ◇

 午前11時。

 カイトがレイを見据えた。

カイト:「そこまで知ってて、なんで黙ってた?」

レイ:「受付で聞いたことを、確かめたかったから」

ユウキ:「何を聞いたんだ?」

 レイは少しだけ唇を結んだ。

レイ:「封筒を届けたとき、受付の人が言ったんだ。『これは参加者が持ち込んだものです』って」

 俺は目を見開いた。

 INFO-001で確認された内容と同じだ。

レイ:「でも、その人は持ち込んだ参加者の名前を教えてくれなかった」

ソウタ:「つまり、受付側は搬入者を把握していた可能性がある」

シオン:「ただし、その発言が記録に残っているかは別だね」

レイ:「うん。僕も、受付の人が何を根拠に言ったのかは知らない」

 レイは俺たちを見渡した。

レイ:「僕が黙っていたのは、封筒を運んだことを話せば、僕が持ち込んだと思われるかもしれなかったから。それと、受付で聞いた言葉だけで別の誰かを疑わせたくなかったから」

 彼の説明には、筋が通っていた。

 だが、重要な情報を長く伏せていたことも事実だった。

     ◇

 昼休み。

 俺は食堂の窓際で、ミオと向かい合っていた。

ミオ:「レイくん、話してくれたね」

ユウキ:「うん。封筒を運んだのはレイだった」

 俺は水を飲んだ。

ユウキ:「でも、島へ持ち込んだかどうかは、まだ分からない」

ミオ:「そうだね」

 彼女は静かに頷いた。

ミオ:「拾って運んだことと、最初に持ち込んだことは別だから」

 俺は頷いた。

 その通りだった。

 ただし、レイはまだ、発見前に封筒を持ち込んだかという質問に明確には答えていない。

 俺は、その点を見落とさないようにした。

     ◇

 午後1時。

 資料閲覧室で、俺たちはレイの受付控えと搬送通知を照合した。

 受付番号は一致している。

 品目は黒色封筒。

 搬送先は案内室。

 リナが頷いた。

リナ:「少なくとも、レイが届けた封筒と、運搬を依頼された封筒は同じ受付番号で管理されてる」

ソウタ:「問題は、その前だな」

 俺はノートに線を引いた。

『港 → 西側通路の台』

 ここだけが、まだつながっていない。

 レイが運んだのは、台から先。

 台へ置いた人物は不明。

 島へ持ち込んだ人物も不明。

 俺はレイを見た。

ユウキ:「レイ。今なら答えられるか?」

 彼は俺を見返した。

ユウキ:「黒い封筒を、島へ持ち込んだ?」

 レイは静かに答えた。

レイ:「僕は、持ち込んでいない」

 食堂が静まり返った。

 俺はその言葉をノートに書いた。

 これはレイ本人の申告だ。

 まだ、独立した裏付けはない。

     ◇

 午後2時。

 シオンが、ここまでの事実をホワイトボードにまとめた。

『確認できたこと』

『レイは西側通路で黒い封筒を拾った』

『レイは拾得物として受付へ届けた』

『レイは受付から封筒を受け取り、案内室へ運んだ』

『レイは島への搬入を否定した』

『搬入者と、西側通路の台へ置いた人物は未確認』

 アカリが小さく息を吐く。

アカリ:「じゃあ、レイくんがXって決まったわけじゃないんだね」

ソウタ:「もちろんだ。封筒を運んだだけでXなら、宅配業者は全員主催者になる」

レン:「俺の通販、毎回ラスボスが届けに来てたのか……」

 張りつめていた空気が、少しだけ緩んだ。

 だが、レイを見るカイトの表情は硬いままだった。

カイト:「説明は分かった。でも、もっと早く話せたんじゃねえのか」

レイ:「……それは、そうだと思う」

 レイは否定しなかった。

     ◇

 午後3時。

 俺は1人で西側通路へ向かった。

 黒い封筒が置かれていた台。

 ここまで来れば、港から運んだ人物が封筒を置くことはできる。

 だが、誰かが置いたところを見た人はいない。

 俺は周囲を見渡した。

 台のすぐ横には、案内板が立っている。

 その裏側に、小さな金属の留め具があった。

 何かを固定するためのものらしい。

 ただ、それが封筒と関係する証拠はない。

 俺は写真を撮り、ノートに記録した。

 推測だけで、次の犯人を作らないために。

     ◇

 午後4時。

 資料閲覧室へ戻ると、ヒナが端末を見せてきた。

ヒナ:「ユウキくん。DAY1の写真、もう1枚見つけた」

 画面には、港の出口が写っていた。

 参加者たちの後ろ姿。

 その中に、暗い服を着た人物がいた。

 手元には、黒い長方形。

 昨日まで見ていた写真と似ている。

 だが、今回の写真には、別のものが写っていた。

 その人物の肩にかかったバッグ。

 持ち手の付け根に、小さな飾りが揺れている。

 青い、丸い飾り。

 俺は息をのんだ。

ユウキ:「……青い?」

 ヒナが画面を拡大する。

 だが、画質は粗い。

 青い飾りなのか、光の反射なのか。

 まだ分からない。

 俺の脳裏に、12年前の写真が浮かんだ。

 幼い俺の隣にいた少女。

 その手首にあった、青いビーズ。

 同じ物だと考えるには、材料が足りない。

 それでも、俺は画面から目を離せなかった。

     ◇

 午後5時。

 今日の調査結果を全員に共有した。

 レイの説明によって、封筒の移動経路の一部が確定した。

 だが、港から西側通路の台までの経路は、依然として不明だ。

 そして、青い飾りの写った写真。

 その持ち主も、まだ分からない。

 カイトが言った。

カイト:「結局、持ち込んだ奴は分からねえままか」

シオン:「そうだね。ただ、レイが何をしたのかは、昨日より明確になった」

 俺は頷いた。

 疑いは、証拠で確かめなければならない。

 レイが封筒を運んだことは事実。

 だが、それだけでXだとは言えない。

 俺たちには、まだ3日ある。

     ◇

 夜。

 自室に戻った俺は、ノートを開いた。

『レイは黒い封筒を拾い、受付へ届け、案内室へ運んだ』

『レイは島への搬入を否定』

『港から西側通路までの経路は未確認』

『港の写真に、青い飾りのようなもの』

 俺はペンを止めた。

 青いビーズ。

 12年前の約束。

 黒い封筒。

 この3つが、偶然同じ色でつながっているだけなのか。

 それとも――。

 そのとき、端末が震えた。

『神崎ユウキ様へ』

 差出人不明の個別メッセージ。

 俺は開いた。

『九条レイは、今日、自分が何をしたかを話しました。』

 続けて、文章が表示される。

『ですが、封筒を運んだ理由と、封筒を持ち込んだ理由は、同じではありません。』

 俺は画面を見つめた。

 最後の1行。

『青い飾りを見つけましたね。』

『その持ち主を、写真だけで決めないでください。』

 俺は端末を伏せた。

 差出人は、俺たちが何を調べているのか知っている。

 少なくとも、そう思わせる文章だった。

 だが、その人物がXだという証拠はない。

 俺はノートの最後に、もう1つ書き加えた。

『青い飾りの持ち主を確認する』

 DAY27。

 第1回X投票まで、あと3日。

 黒い封筒の行方は、少しずつ明らかになっている。

 だが、その先にいる人物の顔は、まだ見えなかった。

第1章 第33話 完

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


この作品では、物語の中に少しずつ「主催者X」につながるヒントを散りばめています。


ぜひ皆さんの推理を聞かせてください!


**「Xはこの人だと思う!」**


**「このセリフが怪しい!」**


**「この行動、もしかして伏線?」**


**「この人物は逆にXではなさそう」**


など、どんな予想・考察でも大歓迎です。


もちろん、物語そのものについての感想や「このキャラが好き!」といったコメントも、とても嬉しいです。


皆さんが現時点で**誰をXだと予想しているのか**、ぜひ感想欄で教えてください。


そして「続きが気になる」「面白かった」と感じていただけましたら、評価やレビューで応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!


果たして――


**13人の中に潜む主催者Xは誰なのか?**


あなたの推理、お待ちしています!


毎日19時10分と20時10分更新予定です!!


ブックマークお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。