↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの一億円ゲーム〜この中に、主催者Xがいる〜  作者: こよみん
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/60

第1章 第29話「答えなかった理由」

挿絵(By みてみん)


 DAY23。

 午前7時10分。

 俺は昨日の写真を、もう一度開いていた。

 DAY1。南側の港から中央施設へ向かう道。

 銀髪のレイの隣に、顔の見えない人物が写っている。その手には、黒い長方形のものがあった。

 封筒に似ている。

 だが、写真だけでは断定できない。

 俺はノートを開いた。

『確認すること』

『黒いものを持っていた人物』

『レイが質問に答えなかった理由』

『黒い封筒の搬入経路』

 その下に、もう1行加える。

『P-004の裏にある、読めない名前』

 12年前の約束も、目の前のX投票も、どちらも放り出すわけにはいかなかった。

 投票まで、あと7日。

     ◇

 午前8時。

 食堂でレンに写真を見せると、彼は目を細めた。

レン:「これ、俺じゃね?」

ユウキ:「えっ?」

レン:「この服。袖の白い線、俺が初日に着てた上着に似てる」

 俺は写真を拡大した。

 確かに、画面の端に写った人物の袖には、細い白線が入っている。

ソウタ:「似ている服なんていくらでもある。本人確認には足りないな」

 眼鏡をかけたソウタが、写真とレンを交互に見た。

レン:「じゃあ、俺の顔を拡大してくれ」

ヒナ:「写ってないよ」

レン:「そこを写真の専門家の力で」

ヒナ:「撮ってない顔は出せません!」

レン:「専門家の守備範囲、今日も厳しい!」

 笑いが起きた。

 だが、レンが初日に着ていた服を覚えているなら、確認する方法はある。

ユウキ:「その上着、今も持ってる?」

レン:「ある。ちょっと取ってくる」

     ◇

 午前9時。

 レンが持ってきた上着には、袖に白い線が入っていた。

 写真とよく似ている。

 ただし、それだけでは本人と確定できない。

 ヒナは初日に撮影した別の写真を探し始めた。

ヒナ:「港に着いた直後の写真なら、正面から写ってるかも」

 数分後、彼女が画面を止めた。

ヒナ:「あった!」

 そこには、レンが同じ上着を着て立っていた。

 手には黒い冊子。

 表紙には、白い文字で『島内生活案内』と書かれている。

 俺は昨日の写真と見比べた。

 大きさも形も、よく似ていた。

レン:「ああ、これだ。到着したときにもらったやつ」

ユウキ:「じゃあ、昨日の黒いものは……」

レン:「たぶん案内冊子だな」

 シオンが慎重に頷いた。

シオン:「同じ服を着たレンが、同じような黒い冊子を持っていたことは確認できた。ただ、問題の写真に写る人物がレンだと断定するには、もう少し材料が欲しい」

 俺は頷いた。

 黒いものを持っていた人物は、レンかもしれない。

 そして、それは封筒ではなく案内冊子かもしれない。

 昨日、俺がレイの近くに見つけた疑惑は、少なくとも別の説明ができるものだった。

     ◇

 午前10時。

 資料閲覧室。

 リナが、到着時に配られた案内冊子の登録画像を見つけた。

 黒い表紙。

 白い文字。

 縦長の形。

 写真の中の黒いものと、外形が一致する。

 俺は息を吐いた。

ユウキ:「……封筒だと思ってた」

ソウタ:「思うのは自由だ。だが、思っただけで票を入れたら危ない」

 俺は頷いた。

 写真の中の物体が案内冊子だったとしても、レイが黒い封筒を持ち込んでいない証明にはならない。

 ただ、この写真を根拠にレイを疑うことはできなくなった。

 俺はノートの該当箇所に線を引いた。

     ◇

 午前11時。

 レイが資料閲覧室へ入ってきた。

 俺は立ち上がった。

ユウキ:「レイ。昨日の写真のことで話がある」

レイ:「何?」

ユウキ:「隣に写ってた黒いもの、島内生活案内の冊子だった可能性が高い。俺、封筒かもしれないって疑ってた」

 レイは写真を見た。

レイ:「……そう」

ユウキ:「ごめん。確かめる前に、疑いすぎた」

 レイは少しだけ首を振った。

レイ:「謝る必要はないよ。疑うためのゲームなんだから」

 その言い方が、妙に引っかかった。

ユウキ:「……レイは、そう割り切れるのか?」

レイ:「割り切れてるわけじゃない」

 彼は俺を見た。

レイ:「疑われるのは、気分がいいものじゃないからね」

 俺は返す言葉を探した。

 レイは続けた。

レイ:「でも、昨日の質問には、まだ答えられない」

ユウキ:「黒い封筒を持ち込んだか、って質問?」

レイ:「うん」

 昨日と同じ答えだった。

 ただ、今日は逃げずに俺を見ている。

ユウキ:「何を確認したいんだ?」

 レイは少し考えた。

レイ:「あの封筒を、最初に見つけた場所」

 俺は眉を寄せた。

ユウキ:「場所?」

レイ:「君は、誰が持ち込んだかを調べてる。でも、僕は別のことが気になってる」

ユウキ:「……何?」

レイ:「封筒が置かれたのは、いつなのか」

     ◇

 午後1時。

 俺たちは初日の出来事を整理し直した。

 黒い封筒は、初日に参加者の前へ現れた。

 その後、STORE Xで購入したINFO-001によって、参加者13人のうち1人が島へ持ち込んだことが確認された。

 だが、持ち込まれた時刻は分かっていない。

 誰が、どの場所へ置いたのかも不明だ。

シオン:「持ち込んだ時刻と、置いた時刻は別だね」

リナ:「到着時から持っていたとしても、すぐ置いたとは限らない」

 俺はレイを見た。

ユウキ:「そのことを確かめたかったのか?」

レイ:「それもある」

 彼は端末を開いた。

レイ:「僕が初日に撮った写真を見せるよ」

 表示されたのは、中央施設へ向かう通路だった。

 画面の端に、黒い封筒が見える。

 俺は息をのんだ。

ユウキ:「……これ!」

 壁際の小さな台。

 その上に、黒い封筒が置かれている。

 写真の撮影時刻は、DAY1の午後。

 俺たちが封筒を見つける前だった。

レイ:「道を確認していたときに撮った。あとで写真を見返して、写っていたことに気づいたんだ」

 俺は画面を見つめた。

 レイが封筒の存在を、ほかの参加者より早く知っていた可能性がある。

 そして、彼はその写真を今まで見せていなかった。

     ◇

 午後2時。

 ソウタが眼鏡の位置を直し、写真の情報を確認した。

ソウタ:「撮影日時はDAY1。画像の登録情報にも、その時刻が残ってる」

ヒナ:「写真を撮った場所も、通路の形から分かりそう」

 カイトが島内地図を開いた。

カイト:「中央施設の西側だな。この台、今もあるぞ」

 俺はレイを見た。

ユウキ:「……なんで、今まで見せなかった?」

 レイは静かに答えた。

レイ:「封筒が写っていることに気づいたのは、あとからだった。それに、写真だけでは何も分からないと思ったから」

ユウキ:「でも、INFO-001を買ったときにも、封筒の話をしたよな」

レイ:「うん」

 彼は否定しなかった。

レイ:「そのときに出すべきだったかもしれない」

 俺は言葉を失った。

 レイの説明には筋が通っている。

 だが、写真を持っていた事実を伏せていたことも、確かだった。

     ◇

 午後3時。

 俺たちは写真を全員に共有した。

 アカリが驚いた声を上げる。

アカリ:「えっ、レイくん、こんなの撮ってたの?」

レイ:「うん」

カイト:「なんで早く言わなかったんだよ」

レイ:「写真の意味が分からなかったから」

 カイトは腕を組んだ。

カイト:「分かんなくても、出してくれりゃよかっただろ」

 レイは黙った。

 ハルカが間に入る。

ハルカ:「責める前に、写真から分かることを整理しましょう」

 シオンが頷いた。

シオン:「確実なのは、封筒が発見される前に、西側通路の台に置かれていたこと。レイがそれを撮影していたこと」

ソウタ:「そして、写真に置いた人物は写っていない」

 俺は頷いた。

 レイが封筒を置いた証拠ではない。

 ただし、彼は重要な写真を持っていた。

 その事実に、何人かの視線が集まっていた。

     ◇

 午後4時。

 俺はレイと2人で、西側通路へ向かった。

 写真に写っていた台は、今もそこにあった。

 黒い封筒はない。

 俺は写真と実際の景色を見比べた。

ユウキ:「この位置から撮ったんだな」

レイ:「うん」

 レイは少し離れた場所に立った。

ユウキ:「封筒を見たとき、何か思わなかった?」

レイ:「撮影したときは、封筒だと意識してなかった」

ユウキ:「あとから気づいたときは?」

 レイは少し間を置いた。

レイ:「……誰かが、僕たちに見つけさせたかったのかもしれないと思った」

 俺は台を見つめた。

 通路を歩けば、目に入る場所だ。

 偶然置かれたのか。

 見つけてもらうために置かれたのか。

 その違いは、写真だけでは分からない。

ユウキ:「レイ。もう1回聞く」

 彼が俺を見る。

ユウキ:「黒い封筒を、島へ持ち込んだ?」

 レイは目をそらさなかった。

レイ:「……第1回投票の前には、答える」

ユウキ:「今は?」

レイ:「まだ、確認できていないことがある」

 俺は拳を握った。

 投票まで、あと7日。

 答えを待つには、長くない。

     ◇

 午後5時。

 食堂に戻ると、ミオが窓際の席にいた。

ミオ:「レイくんと話せた?」

ユウキ:「うん。でも、肝心なことはまだ聞けなかった」

 俺は隣に座った。

ユウキ:「あいつがXかどうか、分からない」

ミオ:「まだ7日あるよ」

ユウキ:「……そうだな」

 ミオは俺のノートを見た。

ミオ:「今日、分かったこともあるんでしょう?」

 俺は頷いた。

 黒い長方形は案内冊子だった可能性が高い。

 封筒は、発見前から西側通路に置かれていた。

 レイはその写真を撮っていた。

 疑惑は消えていない。

 だが、形は変わった。

ユウキ:「投票までに、ちゃんと確かめる」

ミオ:「うん」

 ミオは静かに頷いた。

     ◇

 夜。

 自室に戻った俺は、今日の情報をノートにまとめた。

『DAY1の黒い長方形は、案内冊子の可能性が高い』

『レイは封筒発見前の写真を持っていた』

『封筒は西側通路の台に置かれていた』

『レイは搬入についての回答を保留』

『第1回投票前には答えると発言』

 俺はペンを置いた。

 レイを疑う理由はある。

 だが、彼がXだと断定できる証拠はない。

 そして、まだ確認できていないことがある。

 レイは、なぜ写真を撮ったのか。

 なぜ、その写真をすぐに共有しなかったのか。

 彼の親族と、青風の記録整理はどうつながっているのか。

 そのとき、端末が震えた。

『神崎ユウキ様へ』

 差出人不明の個別メッセージ。

 俺は開いた。

『黒い封筒が置かれていた場所を確認しましたね。』

 続けて、文章が表示された。

『写真に写っていないものまで、写っていると思わないでください。』

 俺は画面を見つめた。

 最後の1行。

『九条レイが答えなかった質問には、まだ続きがあります。』

 俺は息をのんだ。

 続き。

 黒い封筒を持ち込んだかどうか。

 それだけでは、終わらないということか。

 俺は端末を伏せた。

 DAY23。

 第1回X投票まで、あと7日。

 銀髪の青年は、まだ答えを隠している。

 だが、俺たちもまだ、正しい質問をできていないのかもしれなかった。

第1章 第29話 完

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


この作品では、物語の中に少しずつ「主催者X」につながるヒントを散りばめています。


ぜひ皆さんの推理を聞かせてください!


**「Xはこの人だと思う!」**


**「このセリフが怪しい!」**


**「この行動、もしかして伏線?」**


**「この人物は逆にXではなさそう」**


など、どんな予想・考察でも大歓迎です。


もちろん、物語そのものについての感想や「このキャラが好き!」といったコメントも、とても嬉しいです。


皆さんが現時点で**誰をXだと予想しているのか**、ぜひ感想欄で教えてください。


そして「続きが気になる」「面白かった」と感じていただけましたら、評価やレビューで応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!


果たして――


**13人の中に潜む主催者Xは誰なのか?**


あなたの推理、お待ちしています!


毎日19時10分と20時10分更新予定です!!


ブックマークお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。