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僕らの一億円ゲーム〜この中に、主催者Xがいる〜  作者: こよみん
第1章

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28/54

第1章 第28話「黒い封筒の搬入経路」

挿絵(By みてみん)


 DAY22。

 午前6時40分。

 俺はノートに書かれた名前を見つめていた。

『九条レイ』

 昨日、04班の記念写真を調べたことで、レイの親族が青風の記録整理に関わっていたと分かった。

 さらに、ヒナがDAY3に撮影した写真には、管理棟付近に立つレイの姿が写っていた。

 本人も、自分だと認めている。

 ただし、管理棟へ入ったことは否定した。

 北の展望台へ向かう途中だったという説明も、地図と矛盾していない。

 俺はノートの横に、大きく書いた。

『疑惑と証拠を混同しない』

 初日に現れた黒い封筒。

 STORE Xの検証済み情報によれば、あれは参加者13人のうち1人が島へ持ち込んだものだ。

 だが、誰が持ち込んだのかは分かっていない。

 そして昨夜、新しい情報商品が追加された。

『INFO-014:黒い封筒の搬入経路』

『価格:80,000円』

 俺は端末を閉じた。

ユウキ:「……今日は、こっちを調べよう」

     ◇

 午前8時。

 食堂でレンに話すと、彼は残高画面を見て顔をしかめた。

レン:「80,000円……。最近、数字の桁がおかしくない?」

ユウキ:「最初からおかしいだろ。賞金1億円だぞ」

レン:「それは夢のある桁。こっちは現実のある桁」

 ソウタが隣から口を挟んだ。

ソウタ:「現実のある桁って何だ」

レン:「残高を見た瞬間、現実に戻される桁」

 俺は笑いながらも、端末を見つめた。

 生活費は毎月100,000円。

 すでに何度も共同購入をしている。

 これ以上、無計画に情報を買えば、来月までの生活が厳しくなる人も出る。

ユウキ:「買うかどうかは、説明を読んでから決めよう」

     ◇

 午前9時。

 資料閲覧室。

 シオンがINFO-014の商品説明を開いた。

『当該封筒が島へ持ち込まれた際の搬入経路に関する情報を開示します』

 それだけだった。

 持ち込んだ人物の名前。

 搬入日時。

 封筒の内容。

 どこまで分かるのかは書かれていない。

シオン:「80,000円払っても、持ち込んだ人が分かる保証はないね」

リナ:「まず、島の搬入経路そのものを調べよう」

 俺たちは公開されている島内案内を開いた。

 島へ入る経路は、南側の港が基本だ。

 参加者の到着時も、そこから移動した。

 管理棟には物資の受け取り口があるが、参加者が自由に利用できる施設ではない。

 ヒナが地図を拡大した。

ヒナ:「管理棟の裏にも道があるね」

カイト:「搬入用の通路だな。建物の裏へ回れる」

 俺は画面を見つめた。

 DAY3にレイが立っていたのは、管理棟の北側。

 搬入用通路とは、建物を挟んで反対側だった。

ユウキ:「……写真の場所だけじゃ、搬入との関係は分からないな」

 シオンが頷いた。

     ◇

 午前10時。

 俺たちは、黒い封筒について分かっていることを整理した。

『参加者13人のうち1人が島へ持ち込んだ』

『持ち込んだ人物と、書いた人物は同じとは限らない』

『持ち込んだ人物と、置いた人物も同じとは限らない』

 ソウタが腕を組んだ。

ソウタ:「そもそも、封筒が管理棟を通った証拠はない」

ユウキ:「……そうだな」

 俺はレイの名前をノートに書き、その横に疑問符をつけた。

 レイの親族が青風の記録整理に関わっていたことも、黒い封筒を持ち込んだ証拠にはならない。

 ただ、確認したいことは増えていた。

     ◇

 午前11時。

 食堂に集まった参加者たちへ、INFO-014について説明した。

ユウキ:「黒い封筒の搬入経路が分かる情報が追加された。でも、持ち込んだ人の名前まで分かるとは書かれてない」

 ハルカが頷いた。

ハルカ:「今月はもう、かなり情報を買ってるものね」

 セナも静かに言った。

セナ:「生活費を残すことも考えたいです」

 俺は頷いた。

ユウキ:「だから、今日は購入を急がない。まず、無料で確認できることを調べたい」

 カイトが腕を組んだ。

カイト:「それがいい。港から管理棟までの道なら、俺も確認できる」

 そのとき、レイが口を開いた。

レイ:「搬入経路を知りたいなら、港の記録も見たほうがいいんじゃない?」

 俺は彼を見た。

ユウキ:「港の記録?」

レイ:「参加者が到着したとき、荷物を確認されたでしょ」

 確かに、島へ来たとき、俺たちは荷物の確認を受けている。

 だが、その記録が公開されているかは分からない。

 俺は頷いた。

ユウキ:「調べてみる」

 レイはそれ以上、何も言わなかった。

     ◇

 午後1時。

 資料閲覧室へ戻った俺たちは、到着時の案内を調べた。

 検索結果の中に、1件の資料があった。

『参加者持込品・確認手順』

 俺たちは開いた。

『到着時、参加者の手荷物を確認する』

『確認対象は危険物および持込禁止品とする』

『私物の内容をすべて記録するものではない』

 俺は画面を見つめた。

ユウキ:「……封筒を持ってても、記録に残らない可能性があるのか」

 リナが頷いた。

リナ:「持込禁止品じゃなければ、細かい記録がないかもしれないね」

 続いて、手荷物確認の実施記録を探した。

『DAY1 参加者到着時確認』

『対象人数:13人』

『持込禁止品:確認なし』

 記載は、それだけだった。

 誰が何を持っていたかは分からない。

     ◇

 午後2時。

 ヒナがDAY1の写真を見返していた。

ヒナ:「到着したとき、何枚か撮ってたんだよね」

 画面には、南側の港が写っている。

 桟橋。

 参加者たち。

 荷物を持って歩く姿。

 俺たちは1枚ずつ確認した。

 レンは大きなバッグ。

 カイトは黒いリュック。

 アカリは明るい色のキャリーケース。

 レイは、小さな肩掛けバッグを持っていた。

 俺は写真を拡大した。

 バッグの外側に、細長い黒いものが見える。

ユウキ:「……これ、何だ?」

 ヒナが顔を近づけた。

ヒナ:「バッグの留め具かな?」

 画像が粗く、形ははっきりしない。

 封筒にも見えなくはない。

 だが、金具や布の一部かもしれない。

 俺は写真を保存した。

ユウキ:「これだけじゃ、何も言えないな」

 ヒナが頷いた。

     ◇

 午後3時。

 俺たちはレイに写真を見せた。

レイ:「……僕のバッグだね」

ユウキ:「この黒い部分、何か覚えてる?」

 レイは画面を見た。

レイ:「留め具だと思う。今も同じバッグを使ってるよ」

 彼は肩掛けバッグを持ってきた。

 外側には、黒い革の留め具がついている。

 写真の形とよく似ていた。

 俺は息を吐いた。

ユウキ:「……そうか。ありがとう」

 レイはバッグを肩にかけた。

レイ:「ほかにも聞きたいことがある?」

 俺は少し迷った。

 だが、ここで聞かずに疑いだけを膨らませるのは違う。

ユウキ:「黒い封筒を、島へ持ち込んだ?」

 レイは俺を見た。

 短い沈黙。

レイ:「その質問には、今は答えない」

 俺は言葉を失った。

ユウキ:「……どうして?」

レイ:「僕にも、確認したいことがあるから」

 彼は静かに続けた。

レイ:「答えたことで、ほかの人の判断を変えてしまうかもしれない。だから、今は話さない」

 俺は彼を見つめた。

 否定ではない。

 肯定でもない。

 ただ、答えを避けた。

 それが何を意味するのか、俺には分からなかった。

     ◇

 午後4時。

 俺はレイとの会話を、シオンとソウタに共有した。

 シオンはノートを開いた。

シオン:「レイは、封筒を持ち込んだかという質問への回答を保留した」

ソウタ:「否定しなかったことは事実だが、持ち込んだ証拠ではない」

ユウキ:「うん」

 俺は頷いた。

 それでも、胸の奥に引っかかるものが残っていた。

 レイは何を確認したいのだろう。

 なぜ、今は答えられないのだろう。

 そのとき、ヒナが端末を持ってきた。

ヒナ:「ユウキくん。DAY1の写真、もう1枚見つけた」

 画面には、港から中央施設へ向かう道が写っていた。

 参加者たちが、列になって歩いている。

 その後方。

 レイが誰かと並んで歩いていた。

 相手は、画面の端に半分だけ写っている。

 顔は見えない。

 だが、その人物の手元には、黒い長方形のものがあった。

 俺は息をのんだ。

ユウキ:「……封筒?」

 ヒナが首を横に振った。

ヒナ:「分からない。でも、形は似てる」

 俺たちは写真を拡大した。

 黒い長方形。

 薄い紙のようにも見える。

 だが、写真だけでは断定できない。

 そして、レイがそれを持っているわけでもなかった。

     ◇

 午後5時。

 俺たちは今日の情報を整理した。

『DAY1の持込品確認記録には、個別の私物内容が残っていない』

『レイのバッグの黒い部分は、留め具と考えられる』

『レイは黒い封筒を持ち込んだかという質問への回答を保留』

『DAY1の写真に、レイの近くで黒い長方形のものを持つ人物が写る』

『人物の正体と物の内容は未確認』

 シオンがホワイトボードを見つめた。

シオン:「次は、写真に写っている人物を特定したいね」

 俺は頷いた。

 レイを疑う理由は増えた。

 だが、彼がXだと判断できる証拠は、まだない。

     ◇

 夜。

 自室に戻った俺は、DAY1の写真を開いた。

 港から中央施設へ向かう道。

 レイ。

 隣にいる、顔の見えない人物。

 その手元の黒い長方形。

 俺は写真を見つめた。

 もし、これが初日の黒い封筒なら。

 持っていたのは、レイではない。

 だが、レイはその人物のすぐ近くにいた。

 俺はノートに書いた。

『黒いものを持つ人物の特定』

 そのとき、端末が震えた。

『STORE Xよりお知らせ』

 新しい情報商品が追加された。

『INFO-015:DAY1の参加者移動記録』

『価格:50,000円』

 商品説明には、こう書かれていた。

『DAY1、港から中央施設へ移動した際の参加者の並び順を開示します』

 俺は息をのんだ。

 並び順が分かれば、写真に写る人物を絞り込めるかもしれない。

 ただし、黒い長方形の正体までは分からない。

 俺は購入画面を閉じた。

 明日、みんなに相談しよう。

 そう考えた直後。

 端末に、もう1件の通知が届いた。

『神崎ユウキ様へ』

 差出人不明の個別メッセージ。

 俺は開いた。

『黒い封筒を持ち込んだ人物と、写真に写る人物を、同一だと決めつけないでください。』

 俺は画面を見つめた。

 送り主は、俺が何を調べているのか知っているようだった。

 だが、どうやって知ったのかは分からない。

 最後の文章が表示される。

『第1回投票まで、あと8日。』

『あなたは、誰の言葉を信じますか?』

 俺は端末を伏せた。

 誰の言葉を信じるか。

 そんなこと、まだ決められない。

 俺はレイの言葉を思い出した。

『その質問には、今は答えない。』

 DAY22。

 第1回X投票まで、あと8日。

 俺たちは、初めて具体的な疑惑を抱えたまま、投票の日へ近づいていた。

第1章 第28話 完

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


この作品では、物語の中に少しずつ「主催者X」につながるヒントを散りばめています。


ぜひ皆さんの推理を聞かせてください!


**「Xはこの人だと思う!」**


**「このセリフが怪しい!」**


**「この行動、もしかして伏線?」**


**「この人物は逆にXではなさそう」**


など、どんな予想・考察でも大歓迎です。


もちろん、物語そのものについての感想や「このキャラが好き!」といったコメントも、とても嬉しいです。


皆さんが現時点で**誰をXだと予想しているのか**、ぜひ感想欄で教えてください。


そして「続きが気になる」「面白かった」と感じていただけましたら、評価やレビューで応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!


果たして――


**13人の中に潜む主催者Xは誰なのか?**


あなたの推理、お待ちしています!


毎日19時10分と20時10分更新予定です!!


ブックマークお願いします♪


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