↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの一億円ゲーム〜この中に、主催者Xがいる〜  作者: こよみん
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/60

第1章 第26話「写真の裏に残された名前」

挿絵(By みてみん)


 DAY20。

 午前6時52分。

 俺は端末に表示された写真を見つめていた。

 12年前の青風交流会。

 04班の活動記録として撮影された、A-012。

 青い壁の遊戯室には、引き出しが2つある窓際机と、『おもいで』と書かれた箱が写っている。

 その写真の端にいる黒髪の少年。

 服の模様は、全体写真に写る幼い俺とよく似ていた。

 昨夜の個別メッセージは、こう告げていた。

『あなたが探している名前は、写真の表ではなく、裏にあります。』

 送り主は分からない。

 そもそも、どの写真の裏なのかも書かれていない。

 俺はノートを開いた。

『A-012の原本に裏面はあるか』

『04班の配布用記念写真は残っているか』

『裏面に名前が書かれているか』

 今日の目標は、この3つだ。

     ◇

 午前8時。

 食堂でレンに話すと、彼は朝食のトーストを裏返した。

レン:「裏側に秘密があるってことだな」

ユウキ:「パンの裏には何もないぞ」

レン:「焦げてる」

ソウタ:「それは秘密じゃなくて調理結果だ」

 レンは焦げた部分を見つめた。

レン:「……12年前の事件より先に、今日の朝食の真相が判明した」

 俺は笑いながら席に座った。

 昨日まで、写真の表面ばかり調べていた。

 配布用の写真なら、裏に日付や名前が書かれていてもおかしくない。

 ただし、それを確かめるまでは仮説だ。

     ◇

 午前9時。

 資料閲覧室には、シオン、リナ、ソウタ、ヒナが集まっていた。

 俺は昨夜のメッセージを見せた。

シオン:「写真の裏か。まず、公開写真の原本情報を確認しよう」

ヒナ:「デジタル化したとき、裏面を撮ってない可能性もあるね」

 俺たちはA-012の登録情報を開いた。

『資料種別:写真』

『公開画像:表面』

『原本:保管記録あり』

『裏面画像:未公開』

 俺は息をのんだ。

ユウキ:「……裏面がある」

 ヒナが頷いた。

ヒナ:「でも、裏に何か書いてあるかは、まだ分からないよ」

 その通りだった。

 俺たちは続けて、配布用記念写真の記録を探した。

 検索結果は1件。

『青風交流会・班別記念写真配布記録』

 鍵のマークがついていた。

 閲覧制限中。

ユウキ:「またか……」

 シオンは画面を見つめた。

シオン:「配布記録の登録情報だけでも見てみよう」

     ◇

 午前9時35分。

 配布記録の詳細には、写真の種類が記されていた。

『01班〜04班の班別記念写真』

『配布用写真には、班番号および撮影日を裏面に記載』

 俺は思わず顔を上げた。

ユウキ:「裏に班番号がある!」

 リナが続きの文章を読んだ。

リナ:「でも、参加者の名前を書くとは書いてないね」

 俺は頷いた。

 昨夜のメッセージが指しているのは、この写真とは限らない。

 班番号と撮影日だけなら、約束した相手の名前は分からない。

 そのとき、ヒナが画面の下を指さした。

ヒナ:「関連資料があるよ」

『記念写真・配布前確認票』

 公開範囲は一部公開。

 俺たちはすぐに開いた。

     ◇

 午前10時。

 確認票には、配布前の点検項目が並んでいた。

『班番号の記載』

『撮影日の記載』

『配布先の照合』

『児童による自由記入欄の確認』

 俺は手を止めた。

ユウキ:「自由記入欄……?」

 ヒナが頷く。

ヒナ:「写真の裏に、子どもが何か書けたんだ」

 俺たちは説明を読んだ。

『希望する児童は、写真裏面の余白に名前や短いメッセージを記入できる』

 俺は胸が高鳴るのを感じた。

 写真の裏に、名前が残っている可能性がある。

 ただし、全員が書いたとは限らない。

 それが誰の名前なのかも、まだ分からない。

     ◇

 午前11時。

 俺たちは公開写真6枚の登録情報を調べ直した。

 A-009。

 A-011。

 A-012。

 A-014。

 A-015。

 A-018。

 裏面画像の登録が確認できたのは、A-012とA-018だった。

 ただし、どちらも未公開。

 写真の裏に何が書かれているかは分からない。

 ソウタが言った。

ソウタ:「A-012は04班の活動記録。A-018は活動終了後の集合風景だったな」

シオン:「裏面があるというだけで、配布用の班別記念写真とは限らないね」

 俺は頷いた。

 まだ、買うべき情報を絞り込めていない。

     ◇

 昼休み。

 ミオと食堂の窓際に座った。

ユウキ:「写真の裏に、子どもが名前を書ける仕組みだったらしい」

ミオ:「そうなんだ」

ユウキ:「でも、どの写真を探せばいいのか分からなくて」

 ミオは少し考えた。

ミオ:「写真をもらった人が、裏に何を書いたか覚えているかもしれないね」

ユウキ:「……ナナか」

 ナナは、班別の写真をもらった記憶があると言っていた。

 俺は頷いた。

ユウキ:「午後、聞いてみる。ただ、思い出せないなら無理には聞かない」

ミオ:「うん」

 俺は食事に戻った。

 今日のスープは、きちんと冷ましてから飲む。

 ミオが俺の手元を見て、小さく笑った。

ユウキ:「何?」

ミオ:「今日は慎重だなって」

ユウキ:「スープ相手に3連敗する男にはなりたくない」

ミオ:「もう2敗してたんだ」

ユウキ:「昨日の分は、心の中で負けた」

 ミオは声を立てずに笑った。

     ◇

 午後1時30分。

 中庭でナナを見つけた。

 俺は写真の裏面について、分かったことを説明した。

ユウキ:「昔もらった写真の裏に、何か書いた記憶はある?」

 ナナは少し考えた。

ナナ:「……名前を書いた気がする」

ユウキ:「自分の?」

ナナ:「ううん。たぶん、友達の」

 俺は黙って待った。

ナナ:「写真をなくしても、誰と撮ったか分かるようにって……そんな話をした気がする」

 彼女は困ったように笑った。

ナナ:「でも、誰の名前だったかは思い出せない」

ユウキ:「ありがとう。それだけでも助かる」

 俺は頷いた。

 写真の裏に名前を書いた子どもがいた。

 少なくとも、ナナの記憶は公開資料の記載と矛盾しない。

 ただし、彼女が持っていた写真と、俺が探している写真が同じかどうかは不明だ。

     ◇

 午後2時。

 資料閲覧室へ戻ると、ヒナが新しい資料を見つけていた。

ヒナ:「ユウキくん! これ、見て!」

『交流会・写真整理作業記録』

 俺は画面をのぞき込んだ。

 記録には、写真を整理した際の注意事項が書かれていた。

『配布用写真の余剰分は、記録写真とは別に保管』

『裏面に児童の記入がある写真は、個人情報保護のため公開対象外とする』

 俺は息をのんだ。

ユウキ:「……裏に名前がある写真は、公開されない」

 リナが頷いた。

リナ:「だから、表面の写真だけを探しても見つからない可能性があるね」

 俺たちは関連資料を開いた。

『配布用写真・余剰分保管一覧』

 鍵のマーク。

 閲覧制限中。

 だが、登録情報にはこう記されていた。

『04班:余剰写真1枚』

 俺は画面を見つめた。

ユウキ:「……1枚、残ってる」

 04班の配布用写真。

 その余剰分が、施設の記録として残されていた。

 裏に名前が書かれているかは分からない。

 でも、探す対象はようやく1枚に絞られた。

     ◇

 午後3時。

 俺たちはその写真の登録番号を調べた。

『配布用写真・04班』

『資料番号:P-004』

『公開画像なし』

 P-004。

 A-012とは別の資料だった。

 俺はノートに大きく書いた。

『P-004』

 シオンが頷いた。

シオン:「これなら、写真を指定する情報商品があれば調べられる」

 俺たちはSTORE Xを確認した。

 INFO-008は、未公開写真を1枚開示する商品。

 価格は60,000円。

 商品説明を読み直す。

『指定可能な資料番号が存在する場合、購入時に指定できます』

 俺は息をのんだ。

ユウキ:「……P-004を指定できる」

 ただし、購入前に写真の表裏どちらが開示されるかは分からない。

 俺たちは商品説明を最後まで確認した。

『開示対象:指定写真の登録画像一式』

 ヒナが言った。

ヒナ:「裏面が登録されていれば、一緒に見られる可能性があるね」

 俺は頷いた。

 だが、今すぐ購入することはしなかった。

 60,000円。

 生活費を考えれば、軽い金額ではない。

     ◇

 午後4時。

 俺たちは調査結果をまとめた。

『04班の配布用写真が1枚、余剰分として残存』

『資料番号はP-004』

『裏面の自由記入欄には、名前やメッセージを書けた』

『P-004の裏面に何が書かれているかは未確認』

『INFO-008でP-004を指定できる可能性あり』

 ソウタが腕を組んだ。

ソウタ:「次に買うなら、INFO-008だな」

 シオンが頷く。

シオン:「ただし、購入前にP-004が指定対象に含まれるか、STORE Xで確認したほうがいい」

ユウキ:「うん。明日、みんなに相談する」

 俺はホワイトボードを見つめた。

 写真の裏。

 そこに、名前があるかもしれない。

 でも、まだ分からない。

     ◇

 午後5時。

 資料閲覧室を出ると、レイが廊下にいた。

レイ:「写真、見つかった?」

ユウキ:「04班の配布用写真が1枚残ってた。P-004って番号だった」

 レイは頷いた。

レイ:「裏面は?」

ユウキ:「未公開。60,000円で見られるかもしれない」

 レイは少し考えた。

レイ:「写真の裏に名前があっても、それが誰の名前かは別問題だね」

ユウキ:「……そうだな」

 俺は頷いた。

 自分の名前。

 友達の名前。

 渡したい相手の名前。

 どれが書かれているかは、見てみないと分からない。

     ◇

 夜。

 自室に戻った俺は、古い手紙を広げた。

 青い四角。

 丸2つ。

 裏側の「04」。

 そして、今日見つけた写真番号。

『P-004』

 数字は似ている。

 だが、手紙の04は交流会の班番号である可能性が高い。

 P-004は、後から付けられた写真の管理番号だ。

 俺はノートに書いた。

『同じ数字でも、意味を混ぜない』

 そのとき、端末が震えた。

『神崎ユウキ様へ』

 差出人不明の個別メッセージ。

 俺は開いた。

『P-004を見つけましたね。』

 俺は息をのんだ。

 続けて、文章が表示される。

『その写真の裏には、2人の名前が残されています。』

 俺は画面を見つめた。

 2人。

 俺が約束した相手も、2人。

 偶然だろうか。

 最後の文章が表示された。

『ただし、その2人が、あなたの約束した2人だとは限りません。』

 俺は思わず苦笑した。

ユウキ:「……そこは教えてくれないんだな」

 端末は沈黙したままだった。

 俺は写真番号をノートに書き込んだ。

『P-004』

 明日、購入を相談する。

 その裏に書かれた名前を、俺は自分の目で確かめたい。

 DAY20。

 第1回投票まで、あと10日。

 俺はまだ、2つ目の約束を思い出せない。

 だが、12年前の青い部屋で交わされた何かが、1枚の写真の裏に残されている。

 その名前を読んだとき。

 俺は、忘れていた誰かの顔を思い出せるのだろうか。

第1章 第26話 完

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


この作品では、物語の中に少しずつ「主催者X」につながるヒントを散りばめています。


ぜひ皆さんの推理を聞かせてください!


**「Xはこの人だと思う!」**


**「このセリフが怪しい!」**


**「この行動、もしかして伏線?」**


**「この人物は逆にXではなさそう」**


など、どんな予想・考察でも大歓迎です。


もちろん、物語そのものについての感想や「このキャラが好き!」といったコメントも、とても嬉しいです。


皆さんが現時点で**誰をXだと予想しているのか**、ぜひ感想欄で教えてください。


そして「続きが気になる」「面白かった」と感じていただけましたら、評価やレビューで応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!


果たして――


**13人の中に潜む主催者Xは誰なのか?**


あなたの推理、お待ちしています!


毎日19時10分と20時10分更新予定です!!


ブックマークお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。