↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの一億円ゲーム〜この中に、主催者Xがいる〜  作者: こよみん
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/54

第1章 第24話「書いた人、隠した人」

挿絵(By みてみん)


 DAY18。

 午前6時42分。

 俺は昨夜のメッセージを読み返していた。

『D-04を書いた人物と、引き出しへ入れた人物は同じではありません。』

 差出人不明。

 STORE Xから購入した情報ではない以上、この文章が正しいという保証はない。

 それでも、考える価値はあった。

 D-04は、閉鎖時に遊戯室から移送された手紙・メモ類だ。

 その部屋の窓際机から、私物が見つかっている。

 ただし、D-04がその引き出しに入っていたかどうかは、まだ確認できていない。

 俺はノートに3つの言葉を書いた。

『書いた人』

『置いた人』

『受け取った人』

 これまで、全部同じ人物だと思い込んでいたのかもしれない。

ユウキ:「……順番に確かめよう」

     ◇

 午前8時。

 食堂でレンに話すと、彼はパンを持ったまま首を傾げた。

レン:「書いた人と置いた人が違うなら、誰かに渡してもらった手紙ってことか?」

ユウキ:「その可能性はある」

レン:「俺も昔、好きな子への手紙を友達に渡してもらったな」

ユウキ:「どうなった?」

レン:「友達がその子と付き合った」

 俺は言葉を失った。

ソウタ:「配送経路に重大な問題があるな」

レン:「俺の初恋を物流事故みたいに言うな!」

 笑いが起きた。

 だが、ソウタはすぐに真顔へ戻った。

ソウタ:「今回も同じだ。手紙の内容だけじゃなく、誰を経由したかが重要になる」

 俺は頷いた。

     ◇

 午前9時。

 資料閲覧室。

 俺たちはINFO-013の商品説明を確認した。

『指定された保管品1件について、受領担当者および受領時の記録を開示』

 価格は60,000円。

 昨日買ったINFO-012で、D-04が遊戯室から移送されたことは分かっている。

 だが、INFO-013で持ち主や筆者まで分かるとは書かれていない。

 シオンが言った。

シオン:「受領記録を買う前に、公開資料で手紙の扱いを調べよう。保管品になるまでの流れが分かるかもしれない」

リナ:「特に、子ども同士で渡す予定だった手紙の扱いだね」

 ヒナが検索欄に入力した。

『青風 手紙 預かり』

 結果は7件。

 そのうち1件が、俺たちの目を引いた。

『児童間の手紙・贈答品の取り扱いについて』

 鍵のマークはない。

 俺たちはすぐに開いた。

     ◇

 午前9時24分。

 資料には、子ども同士で手紙や記念品を渡す際の取り決めが記されていた。

『本人同士での受け渡しを原則とする』

『相手が不在の場合、職員が一時的に預かることができる』

『預かった物品は、預けた児童と受取予定者を確認する』

 俺は画面を見つめた。

ユウキ:「……相手がいないとき、預かってもらえるんだ」

 リナが続きを読んだ。

リナ:「ただし、これは通常の運用だね。D-04がこの手順で預けられたかは分からない」

 俺は頷いた。

 ナナは以前、青い部屋で誰かに手紙を書き、渡してほしいと頼んだ気がすると話していた。

 その記憶とは矛盾しない。

 だが、D-04を書いたのがナナだという証拠もない。

 俺は資料名をノートに控えた。

     ◇

 午前10時。

 ヒナが別の資料を見つけた。

ヒナ:「これ、交流会の工作活動の記録!」

『青風交流会 思い出づくり活動』

 12年前の交流会。

 子どもたちは飾りを作り、手紙を書き、希望する相手と交換していた。

 写真に写っていた『おもいで』の箱は、完成した作品を一時的に集めるためのものだった。

ユウキ:「……あの箱、保管品用じゃなかったのか」

シオン:「少なくとも、交流会の時点では工作活動の箱だったみたいだね」

 俺は施設紹介写真を開いた。

 青い壁。

 窓際机。

 その上に置かれた『おもいで』の箱。

 閉鎖時保管品の管理番号は、閉鎖準備の際に付けられている。

 なら、12年前の交流会で書かれた「04」は、正式なD-04という管理番号ではない可能性が高い。

 数字が一致している理由は、まだ説明できない。

     ◇

 午前11時。

 活動記録の末尾に、参加児童の班分けについて記載があった。

『工作活動は4つの班に分かれて実施』

 俺は身を乗り出した。

ユウキ:「4つの班……?」

 リナが画面をスクロールする。

『班番号は01〜04』

 俺は布袋から古い手紙を取り出した。

 裏側の「04」。

 青い色鉛筆で書かれた、小さな数字。

ユウキ:「……これ、班番号かもしれない」

 ソウタが頷いた。

ソウタ:「少なくとも、閉鎖時に付けられた管理番号だと決めつけるより自然だ」

 俺は手紙を見つめた。

 もし04が班番号なら、D-04との一致は偶然かもしれない。

 昨日70,000円で確認したのは、D-04が遊戯室にあったという事実だけだ。

 俺の手紙とのつながりは、まだ証明できていなかった。

     ◇

 昼休み。

 食堂でミオと向かい合った。

ユウキ:「手紙の04、班番号かもしれないんだ」

ミオ:「工作活動の?」

ユウキ:「うん。4つの班があったらしい」

 ミオは頷いた。

ミオ:「じゃあ、同じ班だった子が分かれば、何か思い出せるかもしれないね」

ユウキ:「そうなんだよ。でも、班の名簿が見つからなくて」

 俺はため息をついた。

 ミオは少し考えてから言った。

ミオ:「名簿がなくても、班ごとの写真が残っているかもしれないよ」

 俺は顔を上げた。

ユウキ:「……写真」

 これまで見てきたのは、交流会の全体写真ばかりだった。

 班ごとの写真があれば。

 04班にいた子どもたちが分かるかもしれない。

ユウキ:「ありがとう。午後、探してみる」

ミオ:「うん」

 俺は勢いよくスープを飲もうとした。

 その瞬間、昨日の失敗を思い出して手を止めた。

ミオ:「今日は冷ましてから飲むんだね」

ユウキ:「同じ事件を2日連続で起こすわけにはいかないからな」

 ミオが小さく笑った。

     ◇

 午後1時。

 俺たちは交流会の写真資料を調べ始めた。

 公開されている写真は6枚。

 A-009、A-011、A-012、A-014、A-015、A-018。

 そのほかに未公開写真があることは分かっているが、内容は不明だ。

 ヒナが1枚ずつ開いていく。

ヒナ:「班の札とか、写ってないかな」

 A-009。

 全体写真。

 A-011。

 工作中の子どもたち。

 A-012。

 窓際机の写真。

 A-014。

 左端に、顔のぼやけた子ども。

 A-015。

 紙袋を持った人物が写る。

 A-018。

 活動終了後の集合風景。

 俺たちは写真を拡大して確認した。

 だが、班番号が読めるものはなかった。

 シオンが言った。

シオン:「未公開写真に班ごとの記録がある可能性はある。でも、今は分からないね」

 俺は頷いた。

 INFO-008なら、未公開写真を1枚開示できる。

 価格は60,000円。

 ただし、どの写真が出るのか、購入前には分からない。

 今は手を出せなかった。

     ◇

 午後2時20分。

 俺はA-012をもう1度開いた。

 青い壁の遊戯室。

 窓際机。

 その上に置かれた『おもいで』の箱。

 箱の横には、折りたたまれた紙がある。

 昨日見つけたものだ。

 俺は古い手紙を取り出し、画面の紙と見比べた。

 形は似ている。

 だが、写真だけでは同じ紙か分からない。

 俺が諦めかけたとき、ヒナが言った。

ヒナ:「あれ? 箱の側面、何か貼ってない?」

 俺は画面を拡大した。

 箱の右側。

 小さな紙片が貼られている。

 文字はぼやけているが、青い色が見えた。

ユウキ:「……番号?」

 ヒナが首を傾げた。

ヒナ:「たぶん。でも読めないね」

 俺は写真を保存した。

 もし、あの箱が班ごとに分けられていたなら。

 手紙の「04」は、箱へ入れるための印だったのかもしれない。

     ◇

 午後3時。

 ナナが資料閲覧室に来た。

 俺は今日見つけた班分けの記録を見せた。

ユウキ:「交流会では、01から04までの班があったんだ」

 ナナは画面を見つめた。

ナナ:「……班」

ユウキ:「何か覚えてる?」

 彼女はしばらく黙っていた。

 やがて、小さく答えた。

ナナ:「工作のとき、同じ色の札をつけてた気がする」

ヒナ:「札?」

ナナ:「うん。服につける、小さい紙の札」

 俺は写真を開いた。

 子どもたちの胸元。

 拡大しても、文字は読めない。

 だが、何人かに四角い札がついているように見えた。

ユウキ:「……確かに、何かある」

 ナナは首を傾げた。

ナナ:「私が何番だったかは、分からないけど」

ユウキ:「それでも助かった。ありがとう」

 彼女は小さく頷いた。

     ◇

 午後4時。

 俺たちは今日の情報を整理した。

『交流会の工作活動は01〜04の4班』

『手紙の04は、班番号の可能性がある』

『閉鎖時保管品D-04との関係は未証明』

『子どもたちは班ごとの札を身につけていた可能性がある』

『A-012の「おもいで」箱の側面に、青い紙片が見える』

 シオンがホワイトボードを見つめた。

シオン:「次は班ごとの記録を探す。それと、D-04がどの段階で預けられたのか」

 俺は頷いた。

 昨夜のメッセージが正しければ、D-04を書いた人物と引き出しへ入れた人物は違う。

 なら、手紙は誰かの手を渡っている。

 その経路を調べることが、約束の相手へ近づく道になるはずだ。

     ◇

 午後5時。

 資料閲覧室を出ると、廊下でレイとすれ違った。

レイ:「今日は何か見つかった?」

ユウキ:「04が班番号かもしれないって分かった」

レイ:「なるほど」

 レイは少し考えてから言った。

レイ:「数字の意味が2つあると、厄介だね」

ユウキ:「うん。D-04と04班。どっちも関係してるのか、片方は偶然なのか……」

レイ:「まずは、混ぜずに調べることだね」

 俺は頷いた。

 それが、今の俺にできることだった。

     ◇

 夜。

 自室に戻った俺は、手紙を広げた。

 青い四角。

 丸2つ。

 裏側の「04」。

 そして、写真に写る『おもいで』の箱。

 俺はノートに書いた。

『04=班番号?』

『D-04=閉鎖時保管品』

『同じ数字でも、同じ意味とは限らない』

 そのとき、端末が震えた。

『神崎ユウキ様へ』

 差出人不明の個別メッセージ。

 俺は画面を開いた。

『04班に、たどり着きましたね。』

 俺は息をのんだ。

 続けて、文章が表示される。

『その班には、あなたが約束を交わした相手がいました。』

 俺は手紙を握りしめた。

 04班。

 そこに、俺の忘れた相手がいた。

 最後の文章が表示された。

『ですが、あなたが探しているものを引き出しへ入れた人物は、04班の子どもではありません。』

 俺は動けなくなった。

 04班の子どもではない。

 なら、別の班の子どもか。

 それとも、職員か。

 俺は昨日の記録を思い出した。

 遊戯室の私物確認を担当した、水瀬真紀。

 受領担当者の、早川恵子。

 だが、どちらかが入れたと決めつける根拠はない。

 俺はノートに、新しい疑問を書き込んだ。

『04班の約束相手は誰か』

『引き出しへ入れた人物は誰か』

 DAY18。

 第1回投票まで、あと12日。

 俺はまだ、2つ目の約束を思い出せない。

 それでも、12年前の青い部屋で、少なくとも2人が何かをつないでいた可能性が見えてきた。

 俺に手紙を渡した誰か。

 そして、引き出しへ何かを残した誰か。

 その2人を結ぶものが、D-04なのかもしれなかった。

第1章 第24話 完

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


この作品では、物語の中に少しずつ「主催者X」につながるヒントを散りばめています。


ぜひ皆さんの推理を聞かせてください!


**「Xはこの人だと思う!」**


**「このセリフが怪しい!」**


**「この行動、もしかして伏線?」**


**「この人物は逆にXではなさそう」**


など、どんな予想・考察でも大歓迎です。


もちろん、物語そのものについての感想や「このキャラが好き!」といったコメントも、とても嬉しいです。


皆さんが現時点で**誰をXだと予想しているのか**、ぜひ感想欄で教えてください。


そして「続きが気になる」「面白かった」と感じていただけましたら、評価やレビューで応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!


果たして――


**13人の中に潜む主催者Xは誰なのか?**


あなたの推理、お待ちしています!


毎日19時10分と20時10分更新予定です!!


ブックマークお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。