↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの一億円ゲーム〜この中に、主催者Xがいる〜  作者: こよみん
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/59

第1章 第22話「預けた人の名前」

挿絵(By みてみん)


 DAY16。

 午前7時05分。

 俺は古い手紙を机に広げていた。

 青い色鉛筆で描かれた四角と、丸2つ。

 裏側には、小さな数字。

『04』

 昨日、この数字と一致する管理番号を見つけた。

『D-04』

 青風こども生活支援センターが閉鎖された際、保管された手紙・メモ類のうちの1件だ。

 ただし、俺の手紙に書かれた「04」が、その管理番号を指すとは限らない。

 昨夜の匿名メッセージには、こう書かれていた。

『まずは、誰がD-04を預けたのかを調べてください。』

 俺はノートを開いた。

『持ち主と預けた人物は、同じとは限らない』

 そう書いてから、少し考えた。

 俺が持っている手紙は、誰かから渡されたものだ。

 もしD-04も、別の誰かが預けたものだったら。

 そこには、少なくとも2人の人間が関わっている可能性がある。

 俺は手紙を布袋に戻した。

ユウキ:「……今日は名前を探そう」

     ◇

 午前8時。

 食堂でレンに昨夜のメッセージを見せた。

レン:「預けた人か。持ち主じゃないんだな」

ユウキ:「そう書いてある」

レン:「じゃあ、施設の職員が預かった可能性もあるってことか」

ユウキ:「うん」

 レンは朝食のパンをちぎりながら考え込んだ。

レン:「俺も昔、友達からゲームを預かったことあるぞ」

ユウキ:「へえ」

レン:「返す前に引っ越されて、今も実家にある」

ユウキ:「それ、返したほうがいいんじゃないか?」

レン:「連絡先が分からないんだよ」

 隣で聞いていたソウタが顔を上げた。

ソウタ:「それは笑い話じゃなくて、返却先不明の保管品だな」

レン:「俺の実家も青風の管理記録に載せてくれ」

ユウキ:「12年後に100,000円で情報売られるぞ」

 レンは真顔でパンを置いた。

レン:「絶対に返却記録を残すわ」

     ◇

 午前9時。

 資料閲覧室には、シオン、リナ、ヒナが集まっていた。

 俺はD-04の預け入れ記録を探したいと伝えた。

シオン:「個別記録を買わずに、預けた人だけ分かる資料があるか調べよう」

リナ:「保管品一覧の作成手順から探すのがよさそう」

 俺たちは公開資料を検索した。

『保管品 預け入れ』

『閉鎖時 受領』

『保管品 管理責任者』

 結果は複数あったが、ほとんどは一般的な手順書だった。

 その中で、リナが1件の資料を開いた。

『閉鎖時保管品・受領記録の記載要領』

 俺たちは画面をのぞき込んだ。

『預け入れ者と所有者が異なる場合、それぞれを別欄に記載する』

 俺は思わず頷いた。

ユウキ:「やっぱり、別なんだ」

 シオンが続きの文章を指さす。

『預け入れ者の氏名が不明な場合は、受領した職員名と発見場所を記載する』

 俺はそこで手を止めた。

 名前が分からなくても、発見場所が残っている可能性がある。

 青い部屋。

 引き出し。

 もしD-04がそこで見つかったなら、記録につながるかもしれない。

     ◇

 午前10時12分。

 ソウタが資料一覧の中から、古い作業報告を見つけた。

ソウタ:「神崎。これを見ろ」

『閉鎖準備・私物確認作業報告』

 公開されているのは概要だけだった。

 俺たちは文章を読み進めた。

『各室に残された私物を確認し、返却可能なものと一時保管するものに分類』

『作業には施設職員および事務担当者が従事』

『発見場所ごとの確認表を作成』

 俺は画面を見つめた。

ユウキ:「発見場所ごとの確認表……」

 ヒナが検索欄に入力する。

『遊戯室 確認表』

 検索結果は1件。

『閉鎖準備・遊戯室確認表』

 鍵のマークがついていた。

『一部公開』

 俺たちは顔を見合わせた。

シオン:「開いてみよう」

     ◇

 午前10時25分。

 確認表には、備品の状態と、残された私物の有無が記されていた。

『本棚:異常なし』

『工作用品棚:整理済み』

『窓際机:引き出し内に私物あり』

 俺は息をのんだ。

ユウキ:「……窓際机!」

 ヒナが施設紹介写真を開いた。

 青い壁。

 窓際に置かれた、引き出し2つの机。

 位置は一致している。

 ただし、同じ机だと断定するには、まだ情報が足りない。

 俺たちは確認表の続きを読んだ。

『私物は確認後、事務室へ移送』

『受領担当者:早川恵子』

 俺は画面を見つめた。

 早川恵子。

 青風こども生活支援センターの施設長。

 閉鎖時保管品一覧の管理責任者でもあった人物だ。

ユウキ:「……早川さんが受け取ってる」

 リナが頷いた。

リナ:「ただし、ここに書かれているのは受領担当者。誰が最初に預けたのかは、まだ分からないね」

 俺は深く息を吐いた。

 名前が出てきた。

 でも、探している答えそのものではなかった。

     ◇

 午前11時。

 俺たちは確認表の末尾にある注記を読んだ。

『私物の詳細は、別紙「遊戯室・保管品引継票」に記載』

 ヒナが検索する。

 結果は1件。

『遊戯室・保管品引継票』

『閲覧制限中』

 俺は天井を見上げた。

ユウキ:「……また鍵か」

レン:「この島、鍵のマークだけで1冊図鑑作れそうだな」

ソウタ:「図鑑を作る暇があったら検索しろ」

レン:「第1巻『開かない資料たち』」

ユウキ:「売れなさそう」

 笑いながらも、俺は画面を閉じなかった。

 引継票。

 そこには、発見場所と預け入れ者が記録されているかもしれない。

 少なくとも、調べるべき資料は見つかった。

     ◇

 昼休み。

 食堂でミオに今日の進展を話した。

ユウキ:「青い部屋の窓際机から、私物が見つかってた」

ミオ:「そうなんだ」

ユウキ:「早川さんが受け取った記録もあった。でも、誰が預けたのかはまだ分からない」

 ミオは静かに頷いた。

ミオ:「預けた人が分かれば、持ち主にも近づけるかもしれないね」

ユウキ:「うん。そう思ってる」

 俺はスープを飲んだ。

 少し冷めていた。

ミオ:「今日は、ちゃんと食べてる?」

ユウキ:「食べてる。昨日のレンの証言は信用しないでくれ」

 少し離れた席からレンが振り向いた。

レン:「俺の証言、まだ争われてるの?」

ユウキ:「サラダの件はもう終わった!」

 ミオは小さく笑った。

 俺もつられて笑った。

 調査のことばかり考えていた頭が、少し軽くなった。

     ◇

 午後1時30分。

 資料閲覧室へ戻ると、リナが新しい検索結果を見つけていた。

リナ:「引継票そのものは見られないけど、作成者の情報は公開されてる」

 俺は画面をのぞき込んだ。

『遊戯室・保管品引継票』

『作成者:青風こども生活支援センター職員』

『確認者:早川恵子』

 作成者の氏名は伏せられていた。

 だが、関連資料の欄に別の文書があった。

『閉鎖準備・作業担当者一覧』

 俺たちはすぐに開いた。

 そこには、担当部署と作業内容が記されていた。

 遊戯室。

 事務室。

 資料保管室。

 それぞれに、担当者の氏名が載っている。

 遊戯室の欄。

『私物確認・引継票作成担当:水瀬真紀』

 俺は手を止めた。

ユウキ:「……水瀬?」

 ヒナが隣で目を丸くした。

ヒナ:「ナナちゃんと同じ名字だ」

 俺は画面を見つめた。

 水瀬真紀。

 初めて見る名前だった。

 同じ名字というだけで、ナナと関係があるとは限らない。

 だが、確認する価値はある。

     ◇

 午後2時。

 俺はナナを探した。

 彼女は中庭のベンチに座っていた。

 声をかけると、少し驚いたように顔を上げた。

ナナ:「ユウキくん。どうしたの?」

ユウキ:「少し聞きたいことがあるんだ。答えにくかったら、無理に答えなくていい」

 ナナは小さく頷いた。

 俺は端末に表示した名前を見せた。

『水瀬真紀』

ユウキ:「この人、知ってる?」

 ナナの表情が変わった。

 彼女はしばらく画面を見つめた。

 そして、小さな声で答えた。

ナナ:「……私のお母さん」

 俺は息をのんだ。

ユウキ:「お母さんが、青風で働いてたのか?」

ナナ:「……うん」

 彼女は膝の上で手を握った。

ナナ:「でも、詳しいことはあまり聞いてない。私も小さかったから」

 俺は頷いた。

ユウキ:「今日、青風の閉鎖準備の記録を見つけたんだ。お母さんが遊戯室の私物確認を担当してた」

 ナナは目を伏せた。

ナナ:「……そうなんだ」

ユウキ:「青い壁の部屋、覚えてる?」

 彼女は少し考えた。

ナナ:「……うん。たぶん」

 俺は黙って待った。

 ナナはゆっくりと言葉を続けた。

ナナ:「窓の近くに、机があったと思う」

 俺は息を止めた。

ナナ:「そこで、手紙を書いたことがある気がする」

 昨日、彼女が話してくれた記憶とつながった。

 俺は端末を握りしめた。

ユウキ:「その手紙、誰に渡したか覚えてる?」

 ナナは首を横に振った。

ナナ:「……ごめん。そこまでは」

ユウキ:「いや、ありがとう」

 俺は頷いた。

 少なくとも、ナナの母親は閉鎖時の遊戯室を確認していた。

 そして、ナナ自身にも、その部屋で手紙を書いた記憶がある。

 2つの事実が、初めて同じ場所で重なった。

     ◇

 午後3時30分。

 俺はナナの許可を得て、調査メンバーに話を共有した。

 ただし、彼女が覚えていないことまで推測で広めないようにした。

 シオンがホワイトボードに書く。

『水瀬真紀:遊戯室の私物確認・引継票作成担当』

『水瀬ナナの母親』

『ナナには、青い壁の部屋で手紙を書いた記憶がある』

 ソウタが腕を組んだ。

ソウタ:「これで、引継票の作成者候補は分かった」

リナ:「でも、D-04が遊戯室で見つかったものかは、まだ未確認だね」

ユウキ:「うん」

 俺はホワイトボードを見つめた。

 ナナの母親。

 早川施設長。

 青い部屋。

 そして、D-04。

 つながりそうで、まだつながらない。

     ◇

 午後5時。

 資料閲覧室を出ると、レイが廊下にいた。

レイ:「今日は、名前が見つかったみたいだね」

ユウキ:「うん。ナナのお母さんが、遊戯室の私物確認を担当してた」

 レイは頷いた。

レイ:「名前が分かったなら、次はその人が何を見たかだね」

ユウキ:「そうだな」

 俺は少し考えてから言った。

ユウキ:「でも、ナナに無理に聞くのは違う気がする」

レイ:「本人が知らないことまで、娘だからって答えられるわけじゃないからね」

 俺は頷いた。

 ナナも、12年前の事件に関わる記憶を抱えている。

 だからこそ、調査のために追い詰めたくはなかった。

     ◇

 夜。

 自室に戻った俺は、今日の記録を整理した。

『遊戯室の窓際机から私物が見つかっていた』

『受領担当者は早川恵子』

『引継票の作成担当者は水瀬真紀』

『水瀬真紀はナナの母親』

『D-04が遊戯室の私物かどうかは未確認』

 俺はペンを置いた。

 昨日の匿名メッセージ。

『まずは、誰がD-04を預けたのかを調べてください。』

 今日分かったのは、遊戯室の私物を確認した担当者の名前だ。

 D-04の預け入れ者そのものは、まだ分からない。

 だが、少しずつ近づいている。

 そのとき、端末が震えた。

『STORE Xよりお知らせ』

 新しい情報商品が追加された。

『INFO-012:遊戯室・保管品引継票について』

 価格は、70,000円。

 俺は商品説明を開いた。

『本商品では、遊戯室から移送された保管品の管理番号および分類を開示します』

 管理番号と分類。

 これを買えば、D-04が遊戯室から移送されたものか確認できる。

 ただし、持ち主や内容は分からない。

 俺は購入画面を閉じた。

 明日、みんなに相談しよう。

 そう考えた直後。

 端末に新しい通知が届いた。

『神崎ユウキ様へ』

 差出人不明の個別メッセージ。

 俺は開いた。

『水瀬真紀という名前に、たどり着きましたね。』

 俺は息をのんだ。

 続けて、文章が表示される。

『その人は、あなたが探しているものを見ています。』

 俺は画面を見つめた。

 ナナのお母さんが、引き出しの中身を見た?

 最後の1行が表示された。

『でも、最初にそれを引き出しへ入れたのは、その人ではありません。』

 俺は手紙を取り出した。

 青い四角。

 丸2つ。

 そして、「04」。

 最初に引き出しへ入れた人物。

 それが、俺の約束した相手なのだろうか。

 俺はノートに、新しい調査項目を書き込んだ。

『D-04を最初に引き出しへ入れた人物』

 DAY16。

 第1回投票まで、あと14日。

 俺はまだ、2つ目の約束を思い出せない。

 だが、青い部屋に残されたものは、確かに誰かの手を経て、閉鎖時の記録へと移されていた。

 そして、その記録の向こうには――。

 12年前の俺が忘れてしまった、もう1人の名前があるのかもしれなかった。

第1章 第22話 完

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


この作品では、物語の中に少しずつ「主催者X」につながるヒントを散りばめています。


ぜひ皆さんの推理を聞かせてください!


**「Xはこの人だと思う!」**


**「このセリフが怪しい!」**


**「この行動、もしかして伏線?」**


**「この人物は逆にXではなさそう」**


など、どんな予想・考察でも大歓迎です。


もちろん、物語そのものについての感想や「このキャラが好き!」といったコメントも、とても嬉しいです。


皆さんが現時点で**誰をXだと予想しているのか**、ぜひ感想欄で教えてください。


そして「続きが気になる」「面白かった」と感じていただけましたら、評価やレビューで応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!


果たして――


**13人の中に潜む主催者Xは誰なのか?**


あなたの推理、お待ちしています!


毎日19時10分と20時10分更新予定です!!


ブックマークお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。