第1章 第21話「04番の持ち主」
DAY15。
午前6時48分。
俺は机の上に古い手紙を広げていた。
右下に描かれた、青い四角と丸2つ。
その裏側に、昨夜見つけた小さな数字。
『04』
これが閉鎖時保管品の管理番号なら、引き出しの中身に近づけるかもしれない。
だが、数字は2桁しかない。
そもそも、管理番号なのかどうかも分からなかった。
ユウキ:「……まず、番号の付け方を調べないとな」
俺は手紙を布袋へ戻した。
12年前の誰かが、なくさないでほしいと頼んだもの。
それを、今度こそ見落としたくなかった。
◇
午前8時。
食堂でレンに数字を見せると、彼は腕を組んだ。
レン:「04か。4番目ってことか?」
ユウキ:「分からない。保管品は37件あったけど」
レン:「じゃあ、4番目の品物を調べればいいんじゃないか?」
ソウタ:「管理番号の規則が分からないのに、どうやって指定するんだ」
レン:「04って入力する」
ソウタ:「それで100,000円失ったらどうする」
レンは少し考えた。
レン:「……俺が全力で謝る」
ユウキ:「謝罪の価格が高すぎる」
俺たちは笑った。
INFO-011は、指定した保管品1件の個別記録を開示する商品だ。
価格は100,000円。
手紙の数字だけで購入するには、危険すぎる。
◇
午前9時。
資料閲覧室に集まった俺たちは、閉鎖時保管品の管理手順を読み直した。
シオンが画面を指さす。
シオン:「ここ。管理番号の説明がある」
俺は身を乗り出した。
『保管品の管理番号は、分類記号と通し番号を組み合わせて付与する』
続く例示。
『例:文具・学用品 B-01』
リナがノートを開いた。
リナ:「つまり、04だけでは足りない。分類記号が必要だね」
ユウキ:「手紙・メモ類なら、何の記号なんだ?」
俺たちは分類表を探した。
ほどなくして、ソウタが見つけた。
『A:衣類・布製品』
『B:文具・学用品』
『C:写真・印刷物』
『D:手紙・メモ類』
『E:小型記念品』
『F:その他』
俺は息をのんだ。
ユウキ:「……D-04」
手紙・メモ類は、全部で4件。
もし古い手紙の「04」が保管品番号の一部なら、D-04という品目が存在するはずだ。
ただし、手紙に書かれた数字が、それを指す証拠はまだない。
◇
午前10時。
俺たちは保管品の管理番号を検索した。
『D-04』
検索結果は1件。
『閉鎖時保管品・個別記録』
『管理番号:D-04』
『閲覧制限中』
俺は画面を見つめた。
ユウキ:「……あった」
ヒナが隣で声を上げる。
ヒナ:「本当にある!」
シオンはすぐに言った。
シオン:「番号の存在は確認できた。でも、手紙の04がこれを意味するかは別だよ」
ユウキ:「うん。分かってる」
それでも、胸が高鳴った。
昨日まで、何を探せばいいのかすら分からなかった。
今は、具体的な記録が1件ある。
だが、その中身を見るには100,000円が必要だった。
◇
午前11時。
俺はみんなにD-04のことを説明した。
手紙の数字。
管理番号の規則。
そして、実在するD-04の記録。
話を聞いたカイトが腕を組んだ。
カイト:「100,000円か……」
ハルカ:「今月はもう何度も情報を買っているし、慎重に考えたいわね」
俺は頷いた。
INFO-001、INFO-006、INFO-010。
共同購入した情報は、少しずつ真相へ近づく助けになっている。
だが、生活費は減っている。
俺個人の手紙を調べるために、また全員へ負担を頼むわけにはいかない。
ユウキ:「今回は、すぐ買わない。まず無料で調べられることを探すよ」
レンが俺を見た。
レン:「無理すんなよ。手伝えることは手伝うから」
ユウキ:「ありがとう」
俺は頷いた。
◇
昼休み。
食堂の窓際で、ミオと昼食を取った。
ミオ:「D-04、見つかったんだね」
ユウキ:「うん。でも、記録は買わないと見られない」
ミオ:「そっか」
俺はスプーンを置いた。
ユウキ:「ちょっと焦ってたのかもしれない。数字を見つけたから、すぐ答えが出ると思った」
ミオは静かに聞いていた。
ミオ:「数字が分かっただけでも、昨日とは違うよ」
ユウキ:「そうかな」
ミオ:「うん。何を確かめればいいか、はっきりしたから」
俺は頷いた。
D-04。
それが何なのか。
今は、そこを確かめればいい。
◇
午後1時30分。
俺たちは無料で公開されている返却記録を調べた。
個別の氏名は伏せられている。
だが、分類ごとの返却状況は載っていた。
『手紙・メモ類 4件』
『返却済み 2件』
『返却未確認 2件』
俺は画面を見つめた。
ユウキ:「……2件、返却が確認できてない」
リナが頷く。
リナ:「ただし、D-04がどちらなのかは分からないね」
俺たちは記録の注記を読んだ。
『返却未確認には、受領記録が残存していない場合を含む』
ソウタが言った。
ソウタ:「返却未確認は、現在も保管されているって意味じゃない」
ユウキ:「……そうだな」
ここでも、分かったことと分からないことを分ける必要があった。
◇
午後3時。
ヒナが古い活動報告の写真を開いた。
ヒナ:「ねえ、これ見て。記念品制作の日の写真」
画面には、青い壁の遊戯室が写っている。
机の上には、色鉛筆と『おもいで』の箱。
俺は何度も見た写真を、もう1度確認した。
すると、ヒナが箱の横を指さした。
ヒナ:「ここに、小さい紙が置いてある」
拡大すると、机の上に折りたたまれた紙が見えた。
ただし、文字は読めない。
ユウキ:「……俺の手紙に似てる」
そう言ってから、首を振った。
ユウキ:「いや、折りたたまれた紙なんて、いくらでもあるか」
ヒナは頷いた。
ヒナ:「でも、あの部屋で手紙をやり取りしてた可能性はあるね」
俺は写真を保存した。
証拠ではない。
それでも、忘れずに記録しておこう。
◇
午後4時。
俺たちは今日の調査結果をまとめた。
『保管品番号は分類記号+通し番号』
『Dは手紙・メモ類』
『D-04の個別記録は実在する』
『手紙・メモ類4件のうち、返却済み2件、返却未確認2件』
『D-04の内容・持ち主・返却状況は未判明』
シオンがホワイトボードを見つめた。
シオン:「次に必要なのは、D-04とユウキの手紙をつなぐ根拠だね」
ユウキ:「うん。数字が一致するだけじゃ、100,000円を使う理由としては弱い」
俺は古い手紙を取り出した。
青い色鉛筆の「04」。
誰が、何のために書いたのだろう。
◇
午後5時。
資料閲覧室を出ると、廊下でナナに会った。
ナナ:「ユウキくん。今日は、何か分かった?」
ユウキ:「保管品の番号を調べたんだ。D-04っていう手紙の記録があった」
ナナは足を止めた。
ナナ:「……D-04?」
ユウキ:「うん。どうかした?」
彼女は少し考えてから、首を横に振った。
ナナ:「ごめん。数字だけじゃ、何も思い出せない」
ユウキ:「そっか。ありがとう」
俺は無理に聞かなかった。
ナナは、青風で誰かに手紙を書いた記憶があると言っていた。
でも、それがD-04と関係するかは分からない。
俺たちは食堂の前で別れた。
◇
夜。
自室に戻った俺は、手紙を光に透かした。
青い四角。
丸2つ。
そして、「04」。
俺はふと、数字の位置が気になった。
「04」は、絵の裏側にある。
表から見れば、引き出しの絵。
裏から見れば、番号。
もしかして、これは机の絵じゃなくて――。
俺はノートに、四角と丸2つを描いた。
その下に「04」と書く。
だが、答えは出なかった。
そのとき、端末が震えた。
『神崎ユウキ様へ』
差出人不明の個別メッセージ。
俺は開いた。
『D-04を見つけましたね。』
心臓が跳ねた。
続けて、文章が表示される。
『ですが、その記録を買っても、あなたが探しているものの現在の場所は分かりません。』
俺は息をのんだ。
100,000円を払っても、場所は分からない?
商品説明には、個別記録を開示するとしか書かれていない。
確かに、現在の保管先まで分かるとは書いていなかった。
最後の文章が表示された。
『まずは、誰がD-04を預けたのかを調べてください。』
俺は画面を見つめた。
預けた人物。
持ち主とは、違うのかもしれない。
俺は手紙を見た。
『ぜったいに、なくさないでね。』
12年前。
誰かが俺に手紙を渡した。
そして、別の何かが、青い部屋の引き出しに残された。
もし、それを預けた人物が分かれば。
約束した2人のうち、誰かに近づけるかもしれない。
俺はノートに、新しい調査項目を書き込んだ。
『D-04の預け入れ記録』
DAY15。
第1回投票まで、あと15日。
俺はまだ、D-04の中身を知らない。
だが、探すべきものは、少しずつ具体的になっていた。
そして、俺はまだ気づいていなかった。
D-04を預けた人物の名前が、すでに公開資料の中に残されていることに。
第1章 第21話 完
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
この作品では、物語の中に少しずつ「主催者X」につながるヒントを散りばめています。
ぜひ皆さんの推理を聞かせてください!
**「Xはこの人だと思う!」**
**「このセリフが怪しい!」**
**「この行動、もしかして伏線?」**
**「この人物は逆にXではなさそう」**
など、どんな予想・考察でも大歓迎です。
もちろん、物語そのものについての感想や「このキャラが好き!」といったコメントも、とても嬉しいです。
皆さんが現時点で**誰をXだと予想しているのか**、ぜひ感想欄で教えてください。
そして「続きが気になる」「面白かった」と感じていただけましたら、評価やレビューで応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!
果たして――
**13人の中に潜む主催者Xは誰なのか?**
あなたの推理、お待ちしています!
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