だい6わ:きしさまのちかいは、おもい。でも、こんどはしんじてもいいのかな
「ラルラリア、これ、君が好きそうな珍しい果実だ。街で見つけたから買ってきたぞ」
今日もアルヴィスが、私の塔にやってきた。
仕事の合間を縫って、私が頼んでもいないのに。前の世界のあの方なら、「これを買ったんだから、お返しにこれくらいしろよ」って必ず言った。何かをもらうことは、鎖を繋がれることと同じだと思ってた。
「ねえ、何が目的なの? そんなに優しくして、私に何をしてほしいわけ?」思わず、トゲのある言い方をしてしまった。空気を読めない私は、こういう時、可愛くお礼を言うなんてできない。
でも、アルヴィスは傷ついた顔もせず、ただ静かに私を見つめた。「何もしなくていい。君が、ここで笑って食べていれば、それで十分だ」「意味わかんない。損してるよ、あんた」私はぷいっと横を向いた。すると、アルヴィスが私の前に膝をついた。
騎士が王に誓いを立てる時みたいな、真剣な姿で。「ラルラリア。君は『性格に難がある』とか『自分勝手』だとか言うけれど、私はそうは思わない。
君はただ、自分に嘘をつけないだけだ。その潔さを、私は守りたい」大きな手が、私の頭にそっと触れる。前の世界のあの方は、私の頭を撫でながら「君は僕がいないとダメだね」って呪いをかけた。
でも、アルヴィスの手は、ただ温かくて、私を自由にしてくれる。「君がもし、また誰かに『悪い役』を押し付けられそうになったら、私がその台本を切り裂こう。
君は、君の好きなように、幸せになっていいんだ」
バカみたい。空気を読まない私が、今、どんな顔をすればいいか分からない。胸の奥が、ぎゅーっと熱くなって、視界がちょっとだけ滲んだ。
「アルヴィスさん、重い。重すぎる」「はは、そうか。すまない」アルヴィスは困ったように笑って、手を離した。でも、その温かさは残ったままだった。こんどは、信じてもいいのかな。この優しい騎士さまの隣なら、私はもっと、私を好きになれる気がした。




