道をふさがれたら
ラドナ高棚共同区の事故から五日後。
東部第四支局へ、中央運航局から新しい公文書が届いた。
宛先は支局長、オスカー・レーヴェン。
今度の封筒には回答書類がなく、命令書を示す黒い線が引かれていた。
会議室には、オスカーとエルナだけがいた。
リンはまだ入院中。
アデルとフィオナは通常配達へ戻っている。
オスカーは封を切り、中の文書へ目を通した。
読み終えるまで、表情は変わらなかった。
「何と?」
エルナが尋ねる。
オスカーは命令書を机へ置いた。
「風待ち郵便局、旧風路および自然魔力流に関する、東部第四支局独自の調査を停止」
「理由は?」
「中央による統一調査へ移行するため。関係資料、回収郵便物、運航記録は、指定された監察官へ引き渡せ」
エルナは文書の末尾へ視線を落とした。
署名は、ラドナへ廃路通知を出した人物と同じだった。
国際郵便組合中央運航局。
第一運航監察官、ユリウス・ヴァーレン。
「随分、返事が早いですね」
「ああ」
ラドナからの報告書を提出して、まだ四日しか経っていない。
普段なら中央の受付から担当部署へ回るだけでも、それ以上かかる。
「どうしますか」
オスカーは命令書をもう一度読み直した。
「独自調査は停止する」
エルナの眉が僅かに動く。
「従うんですか」
「命令だからな」
オスカーは机の上にある通常配達報告の束を指した。
「ただし、配達中に確認された風路異常を報告することは禁止されていない。利用者から預かった照会を処理することも、事故郵便を正規の手順で再配達することもだ」
「資料の引渡しは?」
「原本は渡す。写しを保管してはならないとは書いていない」
エルナは一瞬黙ったあと、口元を僅かに緩めた。
「リンに似てきましたね」
「どこがだ」
「道が塞がれても、通れる場所を探すところが」
「一緒にするな」
オスカーは命令書を閉じた。
「俺は落ちない」




