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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑩~真白の森に命の雫を~  作者: norito&mikoto
第5章 雪下の宝を散りばめて

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第4話・その魂に闘志の炎を~虚弱な呪師らはお昼寝す~

第5章 雪下の宝を散りばめて



      第4話・その魂に闘志の炎を~虚弱な呪師らはお昼寝す~



 食べ過ぎた……



 材料はほぼ同じ。


 違いは下処理と採取してきた野草や香草程度。



 なのに、ステールが作るドロドロの男飯との違いを、見た目からもはっきりと突き付けてきたインスとアインが作った……力仕事は全部クロードとステールではあったが……昼食のあまりの旨さに、思わず全員が食べ過ぎてしまった。



「……く、苦しい……」



 ステールに無理やり詰め込まれるまでもなく、しっかりと食べ過ぎてしまったのはインスも同じ。



 しかも、昼食の準備で体力も使い果たしてしまい、今すぐにでも眠ってしまいたい。



 ふと気づくと、食後にあたたかなミルクを飲んでいたアインは舟を漕いでいて……



「………………」



 コップの中身を零さないうちにそっと回収した。



「……アイン君。ここは寒いでしょう? もう少し、暖かいところに移動しましょう」


「……ん……は、ぃ……」



 それから、そっと声をかければ、ゆらゆらと頭を揺らしたままで辛うじて返事が返ってくる。



 けれど、移動するのは無理そうで、その場から一切動こうとしない。



「………………」



 少し困ったようにアインを抱いて、インスはゆっくりと立ち上がる。



「……っ……」



 だが、インス自身も疲労が限界を突破しており、アインを取り落としはしないが、足元がおぼつかない。


 足元がおぼつかないのに、上半身は一切揺らしていないのだから流石というべきか……



「危ないな……」



 様子に、同じく食べ過ぎたステールが眉を顰め、クロードを見る。



 視線を送られるまでもなく無言で立ち上がったクロードは、アインを抱いたままふらつくインスに手を貸して、天幕テントまで移動させた。



「…………ん……ク、ロード……さん……?」



 移動した先で、座らせたインスを自身に凭れかけさせる。



「……これは……ちょっと……」


「……寝ろ……」



 半分眠りかけているかのような声で抗議するが、クロードは一言そう告げた。



「…………しかた……なぃ、です……ね……」


「……ん……。寝ろ……」


「……は、ぃ……」



 背中から来るクロードの体温に、一気に意識が遠退く。


 腕に抱いたアインごと毛布に包まれて、返事をした直後には、インスからも、アインからも、規則正しい寝息が聞こえてくる。



「……寝たか……?」


「……ああ……」


「……まったく……体力も戻り切ってないのに無理しやがって……」



 そっと、出入り口の幕をめくって声をかけたステールに、クロードは短く頷く。


 返答に、呆れを隠さないで言えば、クロードもほんの少し、困ったように眉を寄せる。



「……でも、楽しそうだった……」


「まあな……こいつらは、まだまだ子供だからな……たまの屋外料理にはしゃぐのは分からんでもない……アインは初めてだろうしな……」



 クロードが言えば、ステールもそれに関しては同意なので素直に頷く。



 ステールの言う通り、インスはともかく、アインは間違いなく初めてのことだらけだろう。


 何もかもが珍しくて、楽しむのも分からないわけではない。



 しかし、その結果が、異常なほどのサバイバル能力の証明と、信じられないほどの料理の知識。


 恐らく、魔法さえ使える状態だったのなら、アイン一人でも昼食に出してきた料理を作れたのだろう。



 何しろ、メニューを提案し、その作り方まで伝えてきていたのはアインの方だ。



 インスもまさか、アインがこれほどの知識を持っているとは思わなかったのだろう。


 アインの提案通りのメニューにしても良かったのであろうが、スープだけはステールが作ったのと同じ材料にこだわった。



 ステールへの苦情の側面があったのも間違いないが、アレはアレでアインがどう指示を出すかを観察していた部分も見受けられる。



「……いや……完全に、インスが俺をバカにしていただけだな……」



 そう思いかけるが、待てよと考え直す。



 腕を組み、すうすうと寝息を立てるインスを見下ろして、こいつが「アインの能力」を疑うか? と検討してみる。



(…………………天地がひっくり返ってもないな……)



 ややあって、そう結論付けた。



 つまり……



(……つまり、スープを()()()全く同じ材料()()で作ったのは、明確に俺への苦情ということだろう……)



 いわゆるマウントも取っているのが分かって、ムッと唇をへの字に曲げる。



「……とりあえず、俺は片づけて、早めに夕食の支度を始める……その前にさっきの散策でアインが見つけた巣穴やなんかも見て来るとするか……クロード。少し、狩りと採取に行ってきても大丈夫そうか?」


「……ん……大丈夫。どうする?」



 つらつらと考え込んで告げるステールに、少し首を傾げたクロードが問う。



「もちろん、夕食でそいつらをアッと言わせてやるんだよ」



 ニヤリと笑うステールの目には………



「………………」



 間違いなく、リベンジの炎が渦巻いていて、クロードは何とも言いようがなくて、困ったように眉を寄せた。


第5章第4話をお読みいただきありがとうございます。


美味しい食事の後は、どうしても眠くなりますよね。


限界を超えて食べ過ぎてしまったインスとアインが天幕で休息を取る、少し穏やかな時間でした。


二人を天幕へ運ぶクロードのさりげない気遣いや、すやすやと眠る天才二人を見て密かに闘志を燃やすステールの姿をお楽しみいただけていれば幸いです。


果たしてステールのリベンジの夕食作りはどうなるのか……?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。


ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第10弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


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