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断章:『蠢動』
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「—ック」
「ね、ジャック」
周囲は黄昏時の黄金色に満たされている。
まぶしくて目を開けることができない。
「いつまで寝てるの?」
温かく、しかし寂しげな声。
―そうか寝ているのか。俺は。
―早く目覚めなくては。
しかし体が動かない。滑らかな白い手が、彼の頭を撫でた。その指に、黄玉の指輪がはまっているのを、かろうじて目にする。
いったい誰の声だったろう?
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『▽『オーガ・インストーラ』再起動の予兆を確認。部位は『右腕』、予想実行能力値は20%。『赤』の申請に基づき、起動中の『心臓』を含めた計画実行能力値及び実現可能性の再評価を行います。—未承認。現段階での計画再始動は認められません。』
「お堅いのね、忠実なのね」
錫を打ったように涼やかな少女の声が響く。
「やっぱりあんたとの約束、守るしかなさそうよ。ハウリー」
右手に握った深紅の枝切ばさみを、少女はもてあそんだ。
欲しくもなかったプレゼントを手にしているような、けだるげな動きだった。




