表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/46

断章:『再始動』

 全身を生命維持装置に接続したチューブに覆われ、安楽椅子に座る男が一人。生気はなく、打ち捨てられた人形のようにぐったりとしている。その視線の先に、『ゆりかご』はあった。


 『ゆりかご』という呼び名は中に収められている『それら』に由来していたから、客観的には不愛想で温かみに欠けた、強化プラスチックとガラスの装置に過ぎなかった。

 その中に収められているのは、四人の胎児である。それらからは本来あるべき命の躍動は感じられなかった。


 一人の胎児を取り囲むように、三人の胎児が配置されている様は、宗教的な意味合いを持つ象徴的な文様の一部のようにも、機械を構成する部品のようにも見えた。


 男は背もたれに体重を預け、真っ黒な板のようにうつろな瞳から覗き込むような視線を目の前の『ゆりかご』の中に投げかけている。

 彼の脳内に声なきイメージが語り掛ける。


『▽『オーガ・インストーラ』の再起動が確認されました。部位は『右腕(デクステラ)』、単体での実行能力値は20%。起動中の『心臓(コル)』を含めた計画実行能力値及び実現可能性の再評価を行います」


「—承認。計画(プロトコル):『ブレインシード』が再始動します。』


「よくやった『(ルベル)』—。」


 男は口元を動かすのさえ難儀な様子で薄い笑みを浮かべた。


「登ってこい、高い、高い、マメノキを伝って―ジャック。愛しい僕の息子」


 彼は窓の外に広がる()()を見る。一筋に伸びる樹を幻視するその視線には、それまでに見られなかった光が宿っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ