最終話 アザトース
外なる神の王。アザトース。宇宙の全ては彼の見ている夢だと言う。そんな夢の世界を今、俺は壊した。そして、アザトースと一つになる。
最強と一つになる方法。それは屈服させること。自分の王として認められる事。簡単な事だ。アザトースを自分の子供にすればいい。自分が母になる。
───眠っているアザトースに感覚が押し寄せてくる。それは、愛。母からの愛だった。数千年、いや数万年の時を雨琉雪と共にする。それは次第に親子となる。感情が無かったアザトースに雨琉雪は感情を創造した。
戦おうとするから駄目なんだ。暴走した子を宥めるのはいつだって親だ。親はそれをする責任がある。
アザトースは何も答えない。話さなくても伝わるのだ。何度も殺したはずの相手に屈服し、友になり、親子となった。そんな男に対して言葉などいらなかった。
そして俺とアザトースは一つになる。永遠に一緒になる。その瞬間、存在が進化する。
───万物の王。愛と平和を司る神。アザトースへと。
「雨琉雪。貴様、何があった…」
目の前にいる男は驚愕していた。恐怖していた。圧倒的な力の差に。いきなり生じた進化に。
「こいよ。殴り合ってやるよ。お前も今日から家族だ。」
正直俺はハイになっていた。久々に最愛の人を殺した男に再会したのだ。精神も興奮するというものだ。
「貴様…あまり舐めるなよ。」
邪神は殴りかかってくる。しかし、拳には能力がのっていた。真実すらも貫通する能力。最悪アザトースを殺されるかもしれない。なら、こいつよりも早く殴り、首を吹き飛ばすまでだ。
俺は邪神にデコピンをした。すると、邪神の首は吹き飛び、俺は呆気なく勝利した。
「もう少し力を試したかったが…しょうがないな。」
そしてもう一つ変わったことがある。創造の力が使えないのだ。理由は明白だった。アザトースと融合した反動で能力が全て使えなくなったのだ。
しかし、ゆっくりと力は取り戻していける。これから更に強くなる。生き残ったレミリア、咲夜さん、フランを守れる。
そして、霊夢、魔理沙を生き返らせるつもりはない。彼女達はきっとそれを望まない。数億年、もしかしたらもっと先かもしれない。全てが終わった世界でまた会える。
俺は再び歩み始める。アザトースや、この幻想のような世界、幻想郷の住民達と。




