創造神と邪神
霊夢と魔理沙の死。しかしそれは俺に大きな力を与えた。邪神という圧倒的な力に立ち向かう勇気、人間の強さ。それが今の俺にはある。
「雨琉雪。」
目の前には白く、長髪の男が立っていた。目を合わせるだけで感じる恐怖、そして憎悪。今すぐ襲いかかってズタズタになるまで顔を引き裂いてやりたかった。
邪神は俺を見るなり鼻で笑った。まるで赤子を見るような目だった。
「私を封印した創造神が、まさかここまで弱体化しているとはな。」
確かにそうだ。こいつを封印したのが前世の俺なのならば、今の俺はとてつもなく弱体化していると言える。
「だが、お前は前世でも俺よりも弱く、そして強かった。だからお前がまた俺を超え、封印するかもしれない。それだけは避けなければならない。」
邪神はまるで漫画で生物界最強の男と呼ばれた人の様な構えを取り、ゆっくりと近づいてきた。それは余裕なのか、それとも本気なのか分からなかった。
───顕現
俺がここ数年で身に着けた業。光と闇の剣、それを合成した虚無の剣。全てを破壊する殺意の剣。
俺はその剣を思い切り振った。確実に邪神の体を抉ったはずだった。
「その程度なのかぁ…」
邪神はまるで小さいお菓子を摘むように人差し指と親指で斬撃を受け止めた。触れただけで確実に相手を殺害する斬撃を素手で受け止めたのだ。
「雨琉雪…お前は、弱くなりすぎた。」
邪神は一瞬で距離を詰め、俺の心臓に触れた。その瞬間、体の感覚が消えた。
「俺を散々苛つかせた腹いせだ。苦しむがいいさ。雨琉雪。」
意識の深い底。こうなって欲しくないという闇の世界。そんな世界に俺は足を踏み入れてしまった。
「雪は…殺させない。」
霊夢、魔理沙、レミリア、咲夜さん、フラン、この世界で関わった全ての人が死んでいく。誰もが無残に、残酷に。
俺は頭を抑え、「もうやめてくれ。」と叫んだ。しかし映像は止まらない。確実に精神を破壊してくる。
次第に音すらも聞こえなくなってくる。俺は深い絶望を味わう。考える事すら、辞めたくなる。
───雪。
誰かが語りかけてくる。その声は聞き馴染みがある人のものだった。優しく、強く、俺の大好きな人の声だった。
「また明日。」
霊夢。彼女は俺に全てを託した。そんな彼女がまた明日と言った。会いたがってくれた。それなのに、俺は諦めようとした。そんな自分が許せなかった。
真実?恐怖?絶望?それが何だよ。それすらも克服し、立ち向かう。それが人間だ。人間讃歌だ。全てを託し、新たな人類へと進化する。俺では邪神に勝てない。なら、次に託す。
俺の体は少しづつ変化を始める。創造神が新たな神へと進化する。存在が、真実を超える。外なる神すらも超える万物の王、そして、愛と平和を司る。名を付けるなら、とある物語で最強と呼ばれた、アザトース。




