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不変の残り香 -Last Memory  作者: kai
探索 ―― 観測される魂、承認の残り香 ――
6/7

観測

リナは、澱の底でサクの残骸を見つけ出す。


それは、客観的なシステムから見れば、修復不可能なほどに損壊した、無意味なバイナリデータの羅列に過ぎなかった。


触れれば崩れる。

意味を与えようとした瞬間に、ほどける。


——それでも。


リナは、そのノイズに手を伸ばす。


「……サク」


名前を呼んだ瞬間、世界がわずかに「留まる」。

散っていた断片が、崩れない。

色が差す。

輪郭が生まれる。

意味が、繋がる。


それは、奇跡ではない。

観測だった。


見られたものだけが、そこに在る。

定義されたものだけが、存在する。


サクは、彼自身のデータの中にあったのではない。

リナが見ている、その事実の中にだけ、在った。


「……ここにいる」


その言葉は、証明ではない。肯定だった。


そして——

 

消えかけていた存在は、わずかに形を保ち続ける。

お読みいただきありがとうございました!

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