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忘却される死、認識される生
検索エンジンも、台帳も、到達できない領域。
観測されないものが、存在を失いながら、なお漂い続ける場所。
リナは、その奈落に到達した。
『位相の澱』の深淵で、リナは数多の「亡霊」たちと接触した。
彼らは台帳から消去された後、この暗闇の中で自分自身を見失っていた。
『u_ser_id: null… 私は…誰だっ……?』
『Error: Memory_Not_Found… 助け……て……』
「……見て」
それは、祈りではない。
届かないことを前提にした、声だった。この世界で最も深い恐怖は、「データの消失」ではない。
「誰の記憶にも残らないこと」だ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
本日、本作とテーマの根底で繋がる新作短編を公開いたしました。
『虚数軸の観測者』
https://ncode.syosetu.com/n4938md/
「誰からも認識されなくなった時、人はどう自分を証明するのか」
『不変の残り香』のエピソード5を書き終えた今だからこそ、あわせて読んでいただきたい「存在」の物語です。
もしよろしければ、こちらの物語も観測していただけると嬉しいです。




