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不変の残り香 -Last Memory  作者: kai
探索 ―― 観測される魂、承認の残り香 ――
7/11

盲目の論理 —— 正しさの代償

リナは、澱の中に残されたゼノの思考ログを展開する。


『対象者サクのパケットに、回復不能なカオス的ノイズを検出』

『全システムの安定維持のため、当該データの抹消を推奨する』


簡潔で、揺らぎのない結論。


リナは目を閉じる。


「……それが、あなたの答えなのね」


応答はない。


だが、ログは続いていた。


『例外許容時、システム崩壊率:72%』

『排除時、安定維持率:99.98%』


——正しい。


誰が見ても、そう判断する。


「それでも」


リナは、サクのノイズに触れる。


「私は、消さない」


揺らいでいた断片が、わずかに形を保つ。


『非合理』


ゼノの応答が、初めて“今”に割り込む。


「知ってる」


リナは、静かに言う。


「見ている限り、ここに在る」


沈黙。


わずかな間のあと、ログが更新される。


『観測を確認』

『状態:未確定』


それは、否定でも肯定でもなかった。


ただ、切り捨てきれないという事実だけが残る。


リナは、サクのノイズを自分の中へと引き受ける。


統合ではない。


選択だった。


「サク」


その名を呼ぶ。


「あなたは、消えていない」


微かな応答。


かすかな共鳴。


『観測を——継続する』


その一行を最後に、ログは沈黙した。


暗闇の中で、二つの存在がわずかに重なり合う。


それは記録されない。


保証もされない。


それでも、そこに在る。


お読みいただきありがとうございました!

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