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第七章 要塞の崩壊と再会 34話【静寂の訪れ】

数分後、大陸を鳴動させた未曾有の衝撃波がようやく収束した。

後に残されたのは、かつて天空に君臨し、傲慢を極めた魔導要塞があった場所を埋め尽くす「見渡す限りの瓦礫の山」と、耳が痛くなるほど不気味な静寂だけだった。


舞い上がる爆煙がゆっくりと引いていく中、女王アリシアがその身を呈して展開し続けた『絶対同調結界』が淡い光を放って解けていく。結界の背後からは、宰相の精鋭部隊『千里眼の影』と、救出された難民たちが無傷で姿を現した。


彼らは目の前の光景を直視し、言葉を失った。そこにある瓦礫の海が、ほんの数分前まで確固として存在していた「かつての国」であるという事実を、理屈が受け入れを拒否しているのだ。


「……結界、なんとか間に合ったわね。みんな、怪我はない?」


アリシアが気丈に声をかけるが、エルサをはじめとする隊員たちは、ただ呆然と立ち尽くすばかりだった。彼らが目撃したのは、人知を超えた暴力――神話の崩壊そのものだったからだ。


一方、そんな混乱の爆心地。

すべてを灰に帰したその中心で、シンだけが一人、瓦礫の山に足を踏ん張って立ち尽くしていた。


突き出したままの右拳からは、衝撃に耐えきれなかったのか、あるいは敵を消し去った代償か、真っ赤な血がポタリ、ポタリと冷たい瓦礫に滴り落ちている。シンは肩を大きく上下させ、荒い呼吸を繰り返していた。


敵は根絶やしにした。障壁も、要塞も、王の怒りに触れたすべてを地図から消し去った。

しかし、そのダークルビーの瞳からは、まだ荒ぶる狂気は完全には消えていなかった。むしろ、愛する女王が目の前にいるにもかかわらず、彼の瞳の奥には、どこか激しい焦燥と、計り知れない孤独の濁りが深く沈殿している。


彼は勝ったのではない。ただ、あまりにも広い空白を、自分の手で作り上げてしまったのだ。

シンは血に濡れた拳をゆっくりと握りしめ、瓦礫の向こうにいるアリシアを射抜くように見つめた。その瞳にあるのは、安らぎか、それとも未だ癒えぬ深い飢えか。

静寂の中で、王の鼓動だけが、重苦しく響き渡っていた。


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