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第七章 要塞の崩壊と再会 33話【神話の終焉】

シンが拳を大地へ突き下ろしたその刹那、まずは音の消えた世界が訪れた。あまりの破壊エネルギーの巨大さに、大気そのものが硬直し、光さえも屈折して歪む。


コンマ数秒の後、世界は絶叫と共に弾けた。


天空を支配し、数千年の栄華を誇った魔導要塞、その堅牢な防壁を支える巨大都市、そして要塞を埋め尽くしていた魔王たちの軍勢――それら全てが、魔術的な防御を一切考慮しない「純粋な質量と衝撃」によって、分子レベルで粉砕されていく。


「我が国が……っ、そんな、はずが……!」


傲慢に微笑んでいた天使族の魔王、そして狡猾に奸計を巡らせていた悪魔族の幹部たち。彼らの最後の叫びは、王の衝撃波がもたらす音速を超えた轟音にかき消され、誰の耳に届くこともなかった。

防御術式を展開しようとした指先は虚空を掴む間に霧散し、彼ら自身もまた、崩壊する要塞の瓦礫と共に、微細な塵となって大気へ還元されていく。


空を覆っていた人工的な障壁は、王の拳ひとつで、歴史の教科書から消え去るような跡形もない破壊を受けた。


要塞を形成していた数々の浮遊岩盤が、まるで砂のようにサラサラと崩れ落ちる。かつて世界を威圧し、女王を囚えるという大罪を犯した傲慢の聖域は、王の怒りの前で、ただの無価値な瓦礫の塊と化した。


崩れ落ちる空の果て。吹き荒れる塵と爆炎の向こうで、シンはただ、瓦礫の中にあってもなお気高く立つアリシアの姿だけを見つめていた。

世界がどうなろうとも、彼女さえ無事であればそれでいい。王の瞳には、もはや滅びゆく敵の姿など一片の影も映っていなかった。


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