表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/42

第五章  人質ではない女王 27話:【深淵よりの審判】

「な、何事だ!? 魔導障壁が内側から書き換わっているだと!?」


魔王たちの狼狽が広間に木霊する。エルサが指揮する『千里眼の影』の手によって、彼らが万全と信じていた魔導障壁は、すでに防御の意味をなさぬ無用の長物へと成り果てていた。


敵の動揺をあざ笑うように、アリシアは悠然と魔王たちのど真ん中に立っていた。

彼女の周囲に、虹色の光を放つ術式が幾重にも重なる。それは、かつて彼女が王の傍らで習得した、防ぐ術のない最高位の「消滅魔導」だった。


「……計算通りね」


アリシアが美しく指先を鳴らした瞬間――。


魔王たちの足元の床が、まるで意思を持ったかのように一斉に崩落した。物理的な破壊ではない。空間そのものが彼女の魔力によって「存在を拒絶」され、分子レベルで霧散していく。

要塞の内壁が凄まじい爆炎に包まれ、悲鳴と金属が引き裂かれる音が混沌となって交錯する。


彼女は、ただ美しいだけの女王ではない。

かつて幾度もの死線を越え、地獄のような過酷な生を繋ぎ続けた、真の「強者」としての顔を見せる。その瞳には、女王としての気高さと、獲物を確実に仕留める冷徹な殺意が、黒い炎のように揺らめいていた。


「まだ終わっていないわ。シンがたどり着く前に、掃除を終えなくてはならないから」


彼女が二度目の指を鳴らす。

今度は、逃げ惑う魔王たちの頭上で、空間そのものが収束し始めた。圧殺される恐怖に青ざめる彼らを前に、アリシアは一切の迷いなく、ただ静かに死の宣告を下す。


要塞の奥深くにまで届く重厚な足音が近づいてくる。

王の到来を待たずして、女王は己の手で「聖域」の残骸を塵へと変えていた。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ