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第四章  拉致計画の完遂 23話:【無知なる聖域の終焉】

玉座の間で、宰相は冷や汗を流しながら震えていた。シンの背中を見送ったあの瞬間に感じたのは、絶望的なまでの「終わりの予感」だ。

このままでは、シンは女王を取り戻す過程で、この世界そのものを破壊し尽くしてしまう。宰相は意を決し、側近たちへ向けて最後通牒に近い命令を下した。


「全兵を動かせ。王が要塞に到達するよりも早く、女王の安全を第一に考え動くのだ。王の怒りに触れれば、我らもろともすべてが消し飛ぶぞ!」


その頃、空の遥か彼方に鎮座する天使族の要塞では、彼らなりの「勝利の祝杯」が上がっていた。

魔王たちの一派は、シンの接近を感知しながらも、その真の意味を理解できていなかった。彼らにとってシンは「怒れる人間」というカテゴリーに過ぎない。


「愚かなことだ。あの人間が、どれほどの怒りを抱こうと、我らが築いた『天上の結界』を突破できるはずがない」


天使の幹部たちは高笑いし、結界を三重、四重に強化していく。

彼らは勝ち誇っていた。「人間が怒ってこちらへ向かってきている。結界で迎撃し、そのまま王をも捕らえてしまえ」と。


それはあまりにも甘い、命取りの誤算だった。

彼らはまだ知る由もない。天空などなんの障害にもならないのだと、自分たちが引きずり込んだのが、単なる人間ではなく、物理法則も理も超越した「世界で最も恐ろしい天災」そのものだということを。


要塞を覆う美しい光の膜を、地平線の彼方から歩み寄るシンの「一歩」が、静かに、そして確実に蝕み始めていた

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