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失恋したギャルの「彼氏としたかったこと」に、なぜか俺が付き合っています。  作者: ころもぐら


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第28話 会いたい日の選び方

 日曜の朝、机の上のしおりを、読みかけの文庫本に挟んだ。昨夜、封筒から出して眺めていた木の絵は、本を閉じるとほとんど見えなくなる。端を少し出してみて、抜け落ちないところまで戻した。

 昨日のことを残しておきたくて、使わず置いておく方がいいかとも思った。でも、読む度に見えるなら、その方が俺には合っていそうだった。

 スマホを見ると、莉緒からはまだ連絡が来ていなかった。今日は、家の予定を確かめてから次に会う日を相談することになっている。俺も朝ご飯の後で母に聞こうと思い、先に洗濯物を持って部屋を出た。

 台所では、弟が食パンの袋を開けていた。最後の二枚だと教えてくれたので、一枚ずつにする。昨日買ったとうもろこしのことを話すと、焼きそばは食べなかったのかと聞かれた。

「俺はカレーだった」

「なんで、焼きそばあるって聞いて、カレーなの」

「あるか気にしてたの、お前だろ」

 弟は、それはそうだけど、と笑った。祭りで何を食べるかまで、去年と同じにする必要はない。俺も自分が食べたかった方を思い出して、昨日はそれでよかったと思った。

 母が戻ってきてから、来週、家の用事がある日を聞いた。水曜の昼は弟と家にいてほしいと言われたが、それ以外は今のところ決まっていないらしい。弟もその日は出かける予定がないと言うので、昼ご飯をどうするかは前日に決めることにした。

「大学へ行く日、父さんと確かめた?」

「うん。来週じゃなくて、その次の日曜。予約の案内、また見る」

 父がいる時間に経路を確認するつもりだと答えると、母はうなずいた。それと遊ぶ日を一緒にしなくていいと分かっていても、カレンダーへ並べると、何もないように見えた夏休みが少しずつ埋まっていく。

 俺は部屋へ戻って、拓海にも空いている日を聞いた。古本屋と定食屋へまた行こうという話は、まだ日にちを決めていない。莉緒からの返事を待って、残った日だけを拓海へ出すのは違うと思った。

 送ってから数学の冊子を開く。昨日の写真ばかり見ていそうだったので、まず一つ、きりのいいところまで進めるつもりだった。


 問題を二つ解いたところで、スマホが震えた。莉緒から、写真が一枚届いている。

 薄い色のTシャツの肩と、横を向いた顔の一部、その後ろでまとめた茶色い髪が写っていた。昨日買った青い飾りが、髪の上に小さく見える。鏡越しに撮ったらしく、画面の端には彼女自身の手も入っていた。

『ちゃんと見える? 何回も撮ったら、首が変になりそうだった』

 俺は少し拡大してから、見えるよ、と返した。細い白い線は店で見たときより小さく見えるが、青い色はよく分かる。

『髪まとめたとこに、青あるのいいな』

『ありがと。後ろ向いてるだけの写真にならなくてよかった』

 昨日は、撮れなかったら次に会うときでいいと言っていた。それでも送ろうとしてくれたのが嬉しくて、俺は、顔も少し見えてる、と付け足す。

『そこも見たんだ』

 返事を読んでから、言わなくてもいいことまで書いた気がした。けれど、見たのは本当だったので消さずにいると、続いてもう一つ届いた。

『今度は正面でも見てね』

 俺は、うん、と答えてから、自分の机へスマホを向けた。文庫本の端に木のしおりが出ているところを一枚撮る。課題の答えや家の紙が入らないように少し本を寄せて、彼女へ送った。

『使ってる。読むとき、木が見える』

『私はまだ手帳の横に置いてる。黄色の方も使わないと』

 彼女のしおりは花だった。昨日、同じ箱から別々に選んだことを思い出す。二枚を並べた写真は撮らなかったが、彼女の手元に何があるかは覚えていた。

 それから、莉緒が家で確認した予定を送ってくれた。火曜は母と買い物、水曜は紗季と出かける。木曜の午後なら空いていて、金曜も今のところ大丈夫だと言う。

 ちょうど拓海からも返事が来た。彼は火曜なら一日空いていて、昼も外で食べられるらしい。俺は火曜の相談を先に終え、十時半にいつもの駅前で会うことにした。店を見てから昼、暑ければ帰りは無理に歩き回らない。

 莉緒には木曜の午後がいいと返す。時間を合わせられたことだけで済ませず、何をしたいかも自分から伝えたかった。

『暑いから、屋内のとこ、見てた。駅の掲示板にあった、看板の展示って覚えてる?』

 俺は、祭りへ行く途中ではなく、その前に駅を通ったときに見た案内を思い出していた。市の歴史資料館で、街の店の看板や包装紙を集めた展示がある。昨夜、出かけた場所を地図で見ているとき、近くの施設の案内から見つけ直したものだった。

 名前だけ聞いて興味を持てるか分からなかったので、展示案内の画面も送る。古い店先の写真と、小さな紙の袋が載っていた。

『これ、袋も見られるんだ。ちょっと気になる』

 莉緒からの返事を見て、俺はひと息ついた。彼女は続けて、昔の買い物でも、持って帰るときの袋を考えていたんだね、と送ってくる。

 俺が気になったのは古い道の写真だったが、彼女はその隣の小さな写真を見ていた。二人で同じところだけ見なくても、行ってから話せることはありそうだった。

『俺、昔の道と今の地図を比べるやつ、見たい』

『うん。そっちも見たい。木曜、それ行こう』

 すぐに返事をしたくなったのに、指が一度止まる。展示が面白そうだから、空いた日を合わせたから。それだけでも、間違いではなかった。

 でも、俺が木曜をカレンダーで探した理由は、展示の開催日に丸をつけたかったからだけではない。

『あと、莉緒に会いたいから。木曜、一緒に行きたい』

 送った後でスマホを机へ置いた。問題集を見ても、さっきの数字が頭に入らない。何をいきなり言っているんだろうと思ったが、取り消したくはならなかった。

 やがて画面が光り、俺はすぐ手を伸ばした。

『私も会いたい。木曜、楽しみにしてる』

 その短い返事を二度読んでから、俺は顔を上げた。部屋の中には誰もいないのに、笑った顔を見られたような気がして、問題集のページを一枚戻す。

 そこには、ついさっき解いた問題があった。戻す必要はなかったので、まためくり直す。自分でおかしくなって笑うと、ようやく続きを読めた。


 午後、資料館の案内を二人で確かめた。市内なので自宅側の駅前から歩けるが、真昼に長く外を歩くのは避けたい。駅から館までは十分ほどで、俺は曲がる場所を地図で確認した。

 木曜は開いていて、企画展示は高校生二百円。二人とも学生証を持つことにする。写真は展示室ごとに表示があると書かれていて、何でも自由に撮れるわけではなさそうだった。

 昼は家で済ませ、十二時五十分にいつもの時計の下。十三時ごろに着き、見たいところを見てから戻る。遅くまで残る予定ではないので、帰りに寄る場所は先に詰めなかった。

『袋、写真だと小さかったから、実物見たいな』

 莉緒が送るので、俺も、道の図も細かいのは読めなかった、と返した。調べたら全部分かるのではなく、調べたからこそ、実際に見たいところが増える。

 ひと通り決めた後、俺はカレンダーへ入れて、メモの下に一行足した。

『莉緒は包装紙と袋を見たい』

 自分の見たい物の隣に書いておけば、道の写真だけを見て帰ろうとは思わない。彼女のために興味のないふりをして付き合うのではなく、その袋の何が気になったのか、隣で聞きたいと思った。

 夕方、母に火曜と木曜の予定を伝える。水曜に家にいる約束はそのままで、大学の見学とも重ならない。全部を口に出すと、母は、じゃあ水曜はお昼用意しておくね、と答えた。

 昼ご飯一つを忘れずに済んだことに安心して部屋へ戻る。机の上の文庫本を開くと、昨日まではなかった木の絵が、読んでいたページの間から出てきた。


 火曜、十時半の時計の下には、拓海もほとんど同じ時刻に着いた。片手に持っていたスマホをしまい、今日はどっちから行くと聞いてくる。

「古本屋で買ったら、重くなるから、ゲームの方先にする?」

 俺が言うと、拓海はそれがいいとうなずいた。前に逆の順番を考えてから迷ったことを覚えていたらしく、これでようやく決まったな、と笑う。

 ゲームの店では、拓海が買ったソフトの箱を俺も見た。家ではもう進めていて、弟に追いつかれないよう必死らしい。

「それ、勝負のゲームじゃなくない?」

「そうなんだけど、弟が先の話したがるんだよ」

「そこは、言うなって言えば」

「言った。だから、今、すごい顔で我慢してる」

 想像できて笑った。拓海は別の棚も見たが、買ったばかりのを終えるまでは新しいのはいらないと決めていた。俺も気になる箱を手に取って戻し、今日は買わずに店を出る。

 次の古本屋では、拓海が探していた別作品の二巻が見つかった。一巻は前に試しで買ったものだ。途中の話はしないと言いながら、裏表紙を見せてくれる。

「一巻、面白かった?」

「うん。こっちは八巻まで飛ばなくて済む」

「それ、作品の良さじゃなくて、お前の買い方だろ」

 拓海は笑って、そうだけど、と認めた。俺は文庫の棚を少し見ることにして、あとで入口近くで合流しようと話した。

 ずっと隣を歩いて、見ている物を全部説明しなくてもいい。拓海と一緒に来た店で、少しだけ別の棚を見て、あとで見つけた物を教え合える。その気楽さは、前からあったはずだった。

 俺は気になる短編集を一冊開いたが、今の本を読みかけなので買わなかった。戻ってきた拓海は二巻だけを持っていて、ほかの巻は読んでからでいいと言う。会計を終えるのを待ち、二人で外へ出た。

 日なたを歩く時間が続くと、肩に掛けた鞄のところが熱い。定食屋まで行こうと言い出した俺へ、拓海は、今日は店で水飲めるのが助かるな、と答えた。


 昼の少し前だったので、定食屋には待たずに入れた。二人掛けの席に座り、俺は前と違うしょうが焼き、拓海は魚フライを選ぶ。どちらも八百五十円のままだった。

「結局、逆になったな」

 拓海がメニューを戻しながら言った。

「前の、うまそうだったから」

「俺も。人の皿見てると、そっち食いたくなる」

 交換しなくても、また来たら今度は自分で頼める。水を飲みながら、俺は木曜にも出かけると話した。拓海がどこへ行くのかと聞くので、莉緒と資料館へ行く、と答える。

 言ってから、名前を変えたことをまだ話していなかったと気づいた。拓海の方も、少し間を置いて俺を見る。

「今、藤崎のこと?」

「うん。呼び方、変わった」

「へえ。いつ?」

「土曜。夕涼み会で、そう呼んでいいって」

 拓海は一度うなずき、じゃあ、俺がお前のこと名前で呼んだら振り向く、と聞いた。

「急になんで」

「三原って呼ぶ方が、普通になってるから。名前の方、変な感じするだろ」

「お前に呼ばれたら、何かあるのかと思う」

 俺が答えると、拓海もそうだよなと笑った。俺たちの呼び方まで変える必要はなかった。

 店の人が料理を持ってきて、話はいったん止まる。拓海は漫画を汚さないよう鞄へしまい、俺もスマホを伏せた。皿のしょうが焼きは思っていたより量があり、横のキャベツまでたれが少しかかっている。

 一口食べて、これでよかったと言うと、拓海も魚フライをかじってうなずいた。食べたいと思っていた方を頼んだのに、相手の皿を見ると、前に食べた味も少し気になる。

「そっち、前よりでかくない?」

「分かんない。お前の食ってるのも、多く見えるけど」

 二人とも笑って、自分の皿へ目を戻す。食べ終わる頃、拓海が、資料館って涼しいのか、と聞いた。

「中は涼しいと思う。古い看板と、道の写真があるんだって」

「藤崎も、そういうの好きなんだ」

「袋とか、包装紙も気になるって。俺と同じところだけじゃないけど」

 説明すると、拓海は面白そうだなと答えた。それから、この間まで地図を見る方の話だったのに、本当に見に行くところ増えたなと言う。

 俺はうなずいた。好きな人と出かけるのだから楽しくしなければ、と思いかけることは今でもある。でも、彼女が自分の見たい物を教えてくれると、一人で全部を用意しなくてもよくなった。

 水を注ぎ足した拓海が、グラスを自分の前へ戻す。食べ終えた皿はまだ二人の間にあって、俺は何となく、その端を見ていた。

「三原はさ。藤崎のこと、好きなの?」

 聞かれるかもしれないと思っていたのに、実際に言われると顔が熱くなる。拓海は声を大きくしたわけでも、笑ってこちらをのぞき込んだわけでもなかった。

 違うと言えば、そこで話は終わるだろう。まだ付き合っていないのは本当だし、二人でどこかへ出かけることを、全部恋愛の話にしなければならないわけでもない。

 でも、聞かれたのは彼女がどう思っているかではなく、俺の気持ちだった。

「うん。好きだよ」

 自分の声が、思っていたより普通に出た。拓海は短く、そっか、と答えてグラスを置く。

「本人には?」

「まだ、言ってない。俺が自分でちゃんと分かったのも、最近だし」

「そうなんだな」

 拓海はそこから、いつ言うとか、どう言えとかは聞かなかった。すぐに続きを用意されなかったので、俺も自分の言葉を足せた。

「一緒にいると楽しいのは、前からそうだったんだけど。今は、会えればどこでもいいってわけでもなくて、一緒にやりたいこと、増えるんだよな」

「それは、いいんじゃない。相手も見たいもんあるなら、話すこと困んなそうだし」

「うん。でも、俺だけ楽しみにしてないかとか、一回は思う」

 言うと、拓海は笑った。昔の公園のことを持ち出すのかと思ったが、彼は俺の伏せたスマホへ目を向けただけだった。

「それ、藤崎にも聞いてる?」

「木曜、楽しみって返ってきた」

「じゃあ、今はそれでよくない?」

 俺は、そうだな、と答えた。本人の返事を読んだときには嬉しかったのに、時間がたつと、自分でまた分からない部分を足していたらしい。

 店の奥で、食器の重なる音がした。入口に新しい客が来たので、俺たちもそろそろ立つことにする。拓海は鞄を持ちながら、誰かに話したりはしない、と言った。

「ありがとう」

「でも、木曜どうだったかは、今度聞く」

「うん。看板の話、長くなるかもしれないけど」

「そこは、途中で言う」

 笑ってくれたので、俺も笑った。大事なことを一つ話した後でも、いきなり友達との会話を変えなくてよかった。

「お前も、行きたいとこあったら、また言ってよ」

 俺が言うと、拓海は箸を置いて笑った。

「今、その話したら、ゲームの店になるぞ」

「今日行ったばっかだろ」

「じゃあ、今日はもういい」

 食後は別々に会計をして、日陰を選びながら駅前へ戻った。公園まで歩くには暑いので、今日はここで帰ろうと拓海が言う。俺も賛成し、また連絡すると手を上げた。

 楽しくなかったから帰るのではなく、暑いから帰る。その区別を相手へ聞くまでもなく分かったのは、さっきまで一緒に笑っていたからだった。


 帰宅してから、莉緒へしょうが焼きの写真を送った。料理が来たとき、箸をつける前に一枚だけ撮っていたものだ。

『今度は、そっちにしたんだね』

 彼女は前の魚フライも覚えていた。俺は、拓海が魚の方にしたと返し、木曜のことも話したと付け足す。

『名前の方、びっくりしてた?』

『ちょっと。でも、普通に話した』

『私も紗季に聞かれたら、そのまま言うね』

 誰かに言ってしまったら元へ戻れなくなる、とは思わなかった。昨日も今日も彼女は同じように返事をくれて、俺が呼びたい方の名前で呼べる。

 俺は返事をしてから、冷たい水を飲んだ。明日は昼まで家にいて、弟とご飯を食べる。その次の日の午後、彼女と会う予定がある。

 木曜までが長いと感じても、ほかの日を全部なくしたくはなかった。今日読んだ本のあらすじも、定食屋の皿のことも、会ったときに話せる。

 夜、服をしまっていたところで、莉緒から青い飾りを掌にのせた写真が届いた。今日はもう髪をほどいたらしい。

『これ、木曜も使うつもり。正面でも見てって言ったので』

『うん。覚えてる。写真より、会って見る』

 送ってから少し直接的だったかと思ったが、今度はスマホを置かずに待った。

『じゃあ、ちゃんと目、合わせてね』

 俺はその返事を見て笑い、うん、と答えた。木曜の待ち合わせでは、先に看板の案内を探すより、彼女の顔を見るつもりだった。


 翌水曜の昼は、約束どおり弟と家にいた。母が冷蔵庫に置いてくれた二人分の弁当を出すと、弟が自分の方の包みを先に見つける。

「なんで分かった?」

「こっち、卵焼き端っこじゃないから」

「端っこが、俺ってこと?」

「たぶん」

 確かめると、袋に小さく名前が貼ってあった。二人とも見ていなかっただけだと分かって笑い、俺は温める方の蓋を外す。

 弟は午後、家で友達とゲームをする予定だった。誰かが来るのではなく、別々の家から一緒に遊ぶらしい。俺は自分の部屋で本を読むつもりだったので、困ることはなかった。

「兄ちゃん、明日は出かけるんだよね」

「うん。午後から」

「俺も、明日は午後から友達のとこ。鍵持ったか聞いて」

「自分で出るとき確かめろよ」

 言いながら、俺も自分の鞄の内ポケットを思い浮かべた。最近は学生証や水筒まで持っていくので、普段の鍵が最後になりそうなこともある。

 食後は使った箸と弁当箱を流しへ運び、弟と一緒に洗った。向こうが水を切っている間に、俺は台へ落ちた水を拭く。言われたから昼まで家にいるだけでなく、今、二人でやれることがあってよかった。

 部屋で文庫を開くと、昨日より少し進んだページで木のしおりが出てきた。夕方までスマホを手に取らずに読んだ後、莉緒からの連絡を見る。今日は紗季と出かけると言っていたので、彼女も朝からずっと返事を待っていたわけではない。

『明日、学生証入れた。暑いから水も持つね』

 俺も自分の財布を開き、学生証を確かめてから返信した。借りたままの物や、持ってきてもらう物はない。明日は、いつもの時計の下へ行けばいい。

 最後に服を出し、使う鞄の横へ置いた。昨日の夜は目を合わせようと考えたのに、実際に会うところを想像すると、まだ少し照れる。

 それでも、会いたいと送ったことを後悔しなかった。彼女からも返ってきた同じ言葉を思い出し、俺は十二時五十分の表示をもう一度確かめて、カレンダーを閉じた。

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